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116.必要なものは向こうからやって来る
誠錬寮に隣接する教務支庁の事務所で、支部会報を編集しようと起動したパソコンが急に立ち上がらなくなった。
原因が全くわからない。
ただ、精密機器にとんと疎い(辛うじて会報をつくっている)超アナログな私の手に負える状況ではないのは明らかだった。
比較的近所に住んでいる地域教友のモウさん(50代男性・サラリーマン)にSОSの連絡を入れ、仕事終わりに立ち寄っていただいた。
この時点で、もしも比較的詳しいモウさんをもってしてもパソコン復旧の目途が立たないようなら、今月の支部報は不測の事態によりあわや休報という瀬戸際寸前だった。
件の沈黙パソコンを確認しながら、スマホを開いて解決方法を検索するモウさん。不具合時の対処用の説明動画を確認すると、
「えぇっ~、こんなことやる必要があるの?!」
と思わず素の驚き顔を見せる彼。
どうやら本体の分解作業が必要らしい。
隣で固唾を飲んで見守りながら、内心、
今回ばっかりはさすがにヤバいのかもしれない…(;´・ω・)
と早くも諦めムードに入る私。
だが、それから暫く立って、遅い時間にいつまでも事務所の明かりが灯っているので誠錬寮の若い寮生さんが、
「あの…どうしたんですか?」
そう言って様子を見に顔をのぞかせる。
手先が器用な彼。
モウさんと二人で相談し、協力し合いながらドライバーでパソコンを分解し、色々触ったり、溜まった綿ゴミを掃除したりとあれこれ試みる。
やがて、彼等の連携が功を奏す。
パソコンの画面が見事正常に立ち上がった時、モウさんと寮生さんは、
「や、やった! 立ち上がった!」
思わず声をあげ、両手でハイタッチしながら歓喜する二人。モウさんなんか、万歳していた。どうやら相当難しいオペだったようだ。
彼等の仕事ぶりにウンウンと頷き、両手を組んで感心しながら、一切何もせずただ傍観していただけの私。
この二人がたまたまこの場にいなければ、少なくとも今月の支部報は存在し得なかっただろう。
大恩人・モウさんの帰りを見送り、それから気を取り直してすぐに会報編集作業にかかる。
随分時間は押しているが、どうにかこうにか間に合いそうだ。
己の為すべきことを為す
ピーナッツ、御年34歳(※コラム執筆当時)。
特別なスキル、何もなし。
至って平凡。なんなら、その能力は一般標準値よりも全般的に低め。
ただ、戸別訪問に一軒一軒淡々と歩くだけ。
時々おさづけを取り次ぐだけ。
たま~に不思議な奇跡やや起こり目。
以前、誰かがこんなことを言っていた。
「お道の布教師は何でも屋、オールラウンダーじゃなければつとまらないよ。そう甘くないんだ」
…そのオールラウンダーという理想のモデルから対極の立ち位置、“特別なこと何もできない屋”として今日までからくも生き永らえてきた。
PC関係の知識にもまるっきり疎いのに、付け焼刃のぬるい技術でいつも会報の編集作業をしている。
それでもありがたいことに、コラムを読んで「あなたの書く文章のファンだ」と言ってくれる人や、ある時のコラムを読んでわざわざ電話をかけてきてくれたり、手紙を書いてよこしてくれたりする人が出てきてくれるので、それが大変励みになっている。
不思議にもそういう人達は、ゴリゴリのお道の真ん中・王道路線の人ではなく、ある方が熱心にをいがけで繋いで、天理時報特別号と一緒に支部報を手渡してそれを受け取ってくれていた信者じゃない人ばかり、そういう方々が共感したり、共鳴してくれていた。
普遍性を求め、それを見つめ深掘るうちに、教外一般者にこそ刺さっていく言葉を紡げているみたい。多分だけど。
おっと、話がそれた。
そんな低スペックな私にとって類まれなる幸運は、圧倒的なまでの人とのご縁に恵まれまくってきたことだ。
過去幾たびも、環境が変わる度に、その都度その時々その場所で、私にないものを補ってくれたり、教えてくれたり、導いてくれたりしてくれる人間が常にすぐ傍にたくさん集まってきた。
今回だって、モウさん達がその例に漏れない。
そういう人達の助力を得て、いろんな局面を乗り切ってきたことを、支部報を編集しながらまた改めて思い出す。
“己の為すべきことを為せ。それさえ確かに押さえておいたなら、必要なものなら、取りに行ったり探したりせずとも、向こうの方からやって来る”
計算や先取りをして無理にかき集めずとも、天の摂理に則った為すべきことを為していれば、時期がくれば必要な人材、物、状況は自ずと整ってくる。
おぼろげながら芽生えてきた座右の銘がそれだった。
今のところ、それでどうにかこうにかやっている。
この調子でいけるとこまでいってやりたい。
大丈夫だ。いける…よね(;´・ω・)?
【2017.9】
おまけ
今回の記事に関連した過去の記事はこちらです。
もしまだ未読でしたらぜひご一読ください↓
さて、年の暮れです。
大雪です。
娘ちゃんは今日、お熱を出してしまいました。
彼女と父は仲良しなので、昨晩も一緒にタブレットでアマプラのハンターハンターを観ながら、私はハイボール飲みながら二人でお菓子をつまんでいました。超濃厚接触だったので、もしかしたらこの後発熱するかもしれません。やっべー(^_^;)
なんというか、“徳がある人”の特徴って、「自分は徳があって恵まれている」って心底思えていることだと思うんですけど、それ式で言うと、ピーナッツはマジで本当に徳がありまくっています。
大した力量もないのに、それなりに生活させてもらえてるし。
友人知人は心強いし。
美味しいウィスキーに巡り合うし。
ありがたいです、本当に。
冬休みに入り、高校生の長男は毎日教会まで行って教会長であるじいちゃん達のお手伝いで屋根の雪下ろしをしたり、薪小屋から火にくべる用の薪を運んだりして日中過ごしています。そして夜になると短期のアルバイトに出かけます。
息子が早くも頼もしい戦力として祖父母にもてはやされているので、ピーナッツは今日も自分の仕事に専念できました。
次男は所属するバスケチームの6年生が抜けて代替わりし、いよいよ自分達が主要メンバーとなり、以前にも増して熱が入っています。今も体育館で夜練の真っ最中です。熱血母ちゃんがそれを後押ししています。
そんなごくありふれた家族の徒然なる日々ですが、おかげ様で幸せな2024年の一年間を過ごさせてもらいました。
来年は更にもっと、たくさんのことが花開いていく、そんな予感がしています。もうこんだけ大雪なんだから、春になってからの反動が今から楽しみです。
というわけで皆さん、来年もどうぞピーナッツの駄文を見かけたら立ち寄って目を通してやってください。
今年一年ありがとうございました。
それではまた(^O^)