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障害厚生年金の初診日の扱いが変わるかもしれません。でも、「それで不公平が解消します?」との指摘はしておきたい
社会保険労務士の松原です。
【本日のテーマ】
障害厚生年金の初診日の扱いが変わるかもしれません。でも「それで不公平が解消します?」との指摘はしておきたい
ではどうぞ ↓
ことの発端は、このニュース。
社会保障審議会が障害年金の改善策を議論 「厚生年金」の支給要件緩和を検討/産経新聞
https://www.sankei.com/article/20240513-BPANLVQZ4RJKFOCN5ILEJKEJGI/
![](https://assets.st-note.com/img/1717541690348-p6JoHEn7cj.png?width=1200)
どういう内容かというと。
会社員・公務員の退職直後や転職の間の一時的なタイミングで国民年金1号被保険者になった時に「初診日」がある場合、その傷病が後に障害年金の受給対象となったとしても、障害基礎年金の対象とされる。退職までにどんだけ厚生年金保険料を支払っていたとしても、障害給付にはそれが反映されない。
ー このような構造的な仕組みが不利益ではないか?との指摘がずっとされてきました。
なぜなら、障害厚生年金は3級から給付対象になりますが、障害基礎年金は2級以上しかありません。退職直後や転職の間の一時的なタイミングで国民年金1号被保険者の時に初診日がある場合、3級と認定された場合は障害年金が1円も受けられないのです。
また、障害厚生年金と障害基礎年金では、金額も相当違います。詳細は端折りますが、「初診日が障害厚生年金で認められたら良かったのに…」というケースが大いにあり得るのです。
そりゃね、交通事故や急性疾患はいつ起こるかわかりません。だから、そのエピソードが起こった日を初診日に固定する厳格な規定は合理的と言える。だけど、次の勤務先が決まっているほんの僅かな期間にそれが起こったような場合でも、そこまで厳しくする必要あります?という議論はあったんですね。まー、本当に次の勤務先に入社できるかどうかはその時が来るまでわからない以上、(これは、制度上こうするしかありません)という枠組みを当てはめるほかやりようがないというのはわかるのですが。なんとなく釈然としません。だから、報道にあるような要件緩和には賛成です。
なのですが、「それだけで良いのですか?」という指摘はしておきたい。
どういうことかと言いますと。
障害厚生年金と障害基礎年金の、そもそもの制度差を埋めることが検討されているように思えないから。先に書いたように、障害厚生年金は3級から給付対象になりますが、障害基礎年金は2級以上しかありません。それに、障害厚生年金と障害基礎年金では、金額も相当違います。
【だったら、“障害基礎年金3級”を作ったらいいんじゃないの?】
![](https://assets.st-note.com/img/1717544027111-kI2KoDbYJX.png)
障害年金の金額を見てみましょう。
障害基礎年金2級を基準にするとわかりやすいです。
令和6年度の障害基礎年金2級は、816,000円。
1級は、2級の1.25倍の1,020,000円。
仮に障害基礎年金3級を何円にするかを検討すると、合理的に考えたら障害基礎年金2級の75%の額にすれば良いと思うんですね。真ん中を固定し、その上と下の比率を揃えたら計算しやすい。
実際にやってみますと、612,000円になります。
そしてこの「612,000円」て、「障害厚生年金3級の最低保障額」と同額なんですね。最低保障額っていうのは、「法律で定める計算方法で求めた額がこの額より低かったら、この額に切り上げます」という基準額です。口語にすると、「初診日が厚生年金の方が3級と認められたら、いくら少なくても年間612,000円はお支払します。」=“受けられる”ということです(ちなみに、障害基礎年金2級の75%が障害厚生年金3級の最低保障額と同額となるのは、過去年度も同じです。百円未満の端数を切り上げたらそうなります)。
であればだよ。審査の結果障害等級3級に該当した場合は、「初診日が厚生年金加入中でも国民年金加入中でもどちらの場合であっても、極論、日本国の公的年金制度に加入してさえいれば、年間612,000円は必ずお支払します。」ってことにしてしまえばいいんじゃないですか?
なぜそうしないのだろう?
たしかに制度性格に差はありますよ。厚生年金は会社が保険料を半分負担しているとか、国民年金には福祉の考え方が濃く反映されているとか。だから、制度に差があるのは仕方ない的な。だったら、歓迎はされないだろうけど所得制限するとか(ただし相当高い基準で)、そして所得制限をする分は基準年金額を引き上げるとか。権利擁護のためのアイデアって、賢い官僚の皆さんなら思いついてもおかしくないような気がするんですけどね。そういうのが置いてけぼりです。
毎度毎度このように、根本的な話は先送り。仕組みを変える、要件を緩和するといったところで小手先技術の上書き保存のやり直しに改正を重ねるだけ。中身が余計分かりにくくならなければ良いが。
ということで。この件は大きなトピックです。続報があればまた書きます。(はっきり言って、どういう格好で着地するのか予想がつきませんが)
まとめ:
【初診日の違いによる不公平感をなくし、行政による支援を公正に受けられるようにするには、障害基礎年金3級の創設が必要】
と提案いたします
この記事はここまでです。
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