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無断転載を許し、オリジナルを許さないYouTube。この環境はなぜ生まれたのか?

"質のいい無断転載"ばかりの現在のYouTube

 "質のいい無断転載"ばかりの現在のYouTube。
 その有効な手段が、どのようにして無断転載を正当化するのか、あるいはトレンドに乗じることについて潔白さを証明するかが、今のユーチューバーたちの致し方ない生存戦略となっている。
 真にクリエイティブな人々と、そのアップロードする動画にとって、YouTubeは最悪の環境であると考えられる。
 以下に理由を示していく。

フォーマットやトレンドへの依存

Quoraの投稿。

YouTubeには真にクリエイティブな動画が非常に少ない。
 どちらかというとトレンドに乗じたり、何かしらのフォーマットの上で様々な動画が作成されていることが多い。

そもそもオリジナルコンテンツ、クリエイティブな動画とは何か

(ミエルカより引用)
オリジナルコンテンツとは、独自性のある経験や、信頼性の高い一次情報を取り入れたコンテンツのことです。

https://mieru-ca.com/blog/original-content/

 オリジナルコンテンツとは、独自性のある経験や信頼性の高い一次情報を取り入れたコンテンツである。
 これらを含有するコンテンツがどれくらいあるかということについて、感覚的には皆さんおおむねわかっていると思うが、これがYouTubeにおいて非常に少なく感じられる。
 世の中の多くの作品は何かの基盤の上に立っていることが多い。例えば、聖書をモチーフにしたアニメ作品はたくさんあるが、それらがオリジナリティに欠けるかと言われるとそうではない。
 しかし、YouTube上のコンテンツはその次元ではないくらいにクリエイティビティが欠けていると考えた。

無断転載動画の問題

 例えば「ドラえもん」で検索すると、公式の映像は一つも出てこない。まず、11万回再生の無断転載のドラえもんの動画が出てくる。

 例えば「刃牙」と検索すると、刃牙シリーズ公式YouTubeチャンネルではなく、無断転載の動画の方が上に出てくる。
 この状況はYouTube動画制作者にとって非常に良くない環境である。自社の最も有益なコンテンツよりも、1年前に投稿された誰が上げたのかも分からない無断転載動画の方が再生数を稼げている。このような状況が1年間も放置されている。
 レコメンドシステムの問題が伺える。

無断転載動画の短期的メリットと長期的デメリット

 視聴者にとっては、アニメ作品を無料で見れるという短期的なメリットがある。
 しかし、長期的に考えると、公式からの映像供給が無くなったり、個人の動画投稿者の場合、投稿意欲を失ってしまうことで、そもそものコンテンツの源流が止まってしまう可能性がある。

コンテンツIDの問題

Content ID は、一定の基準を満たす著作権者が利用できます。著作権者が承認を受けるには、YouTube に頻繁にアップロードされる大量コンテンツの独占的権利所有者である必要があります。

https://support.google.com/youtube/answer/2797370?hl=ja

 YouTubeは著作権者を守るために、コンテンツIDというシステムを設けているが、このシステムに関しても運用がし難い。
 一定の基準を満たす著作権者が利用できるとあるが、この基準が曖昧で分かりづらい。なんなら第三者に悪用されることすらある。

Content ID の利用資格はさまざまな基準に基づいています。こうした基準には、著作権者のコンテンツが Content ID を通じて申し立て可能であるかどうかや、実際の必要性があるかどうかも含まれます。著作権者は、独占的な権利を管理するコンテンツについて、著作権を保有していることを証明できる必要があります。

https://support.google.com/youtube/answer/1311402

ニコニコ動画との比較

https://www.youtube.com/watch?v=LNFKxmoT2uQ

 ひろゆき氏は、ニコニコ動画とYouTubeの差について、テレビ番組の無断転載を黙認しているかどうかが両者の明暗を分けたと述べている。
 ニコニコ動画はテレビ番組の無断転載に厳しく取り組んでいたが、YouTubeは申告制の形をとっている。
 こういった姿勢のために現在のYouTubeがどうなっているかを考えると、不条理さを感じられるだろう、こういったコンテンツに支配されるために機会を失うクリエイターもいるだろう。

YouTubeアルゴリズムの影響

 YouTubeのレコメンドアルゴリズムは、検索履歴や視聴履歴を強く参照している。これにより、類似した動画ばかりが推薦され、トレンドに過敏になる投稿者がクリエイティビティを発揮しづらくなっている。
 無断転載動画も繰り返し表示され、クリエイティビティを削ぐ一因となっていると考えられる。

TikTokとの比較

 YouTubeと比較して、TikTokは音楽という統一性に依存することで、ある程度のクリエイティビティを担保できているように感じられる。
 少なくとも現行のYouTubeよりもクリエイティビティに富んだ動画が拡散されやすいのではないだろうか。

トップYouTuberの現状

 ヒカキン氏は、日本のトップYouTuberであるにもかかわらず、独自のコンテンツではなく他者のコンテンツに頼った動画を作らざるを得ない状況である。
 このことから、まして弱小YouTuberにとっては、クリエイティビティを発揮する機会がほとんどないと考えられる。

YouTubeの経営方針

 YouTubeCEOは、クリエイターのクリエイティビティに関する問題を無視し、NFTsの導入や広告ブロッカーへの対処に躍起になっている。
 NFTs市場は飽和状態にあり、ブロックチェーン技術の確立も難しい。
 YouTubeの機能そのものも飽和状態であり、不要な機能を増やし既存の機能を完成させない行動が見られる。

プレミアムユーザーの体験悪化

 プレミアムユーザーに広告が表示されるなど、ユーザー体験が悪化している。
 総じてYouTubeにはクリエイティビティが低くなる要因が多く、質の低い動画が氾濫していると考えられる。

結論

 YouTubeには、真にクリエイティブな動画が非常に少ない。これは、YouTubeのシステム、アルゴリズム、経営方針など、様々な要因が絡み合って生まれた結果であると考えられる。

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