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「軽井沢のセンセ」からの暗号(28)〜渋沢栄一氏と新紙幣と忌部氏の謎!!!

新紙幣発行の日の阿波と安房

 不思議なことに、前回の作品を読んでくれた数少ない友人の一人が、なぜか忌部氏に詳しいということを偶然知り、ひろこは久しぶりに連絡を取った。

 前作登場の、北区出身の憧れの女優さんと偶然同じ名前だ。

 時は7月3日の暑い夏、新紙幣の発行の日。

 数年前に例の取材で王子神社さんに伺った際、真向かいの北区役所に、渋沢栄一氏のたれ幕がかかっていたことを思い出す。確かあの時は、新紙幣の肖像が渋沢氏に決定してからしばらくの頃で、北区の至る所で華やかな雰囲気が感じられた。

 今、あれは現実のものとなり、時は確実にめぐっているのだ。

 「ひろっぴ~元気だった?」

 「今日はありがとう!恭子ちゃん、名前が同じだとやっぱり美しいね」

 「きゃはは、何言ってんの~。そうそうそれで、忌部氏だっけ?」

 恭子ちゃんはいろいろなことを教えてくれた。

 本で学ぶよりもより一層立体的でわかりやすく、大いに学んだ。

 「千葉の房総の総ってね、麻の意味なの。」

 「えっ、そうなの?」

 「そうそう、そうそう」

 ダジャレだか、掛詞だかに反応する暇もなく、真剣に耳を傾けた。

 「麻って、神さまとつながる大事な素材なのね。もともと四国の阿波の忌部氏が黒潮に乗って房総半島に上陸して、良質な麻を栽培して・・・。だから、安房は、阿波からなわけ」

 「ああ、そこからなのね、すごーい。それにしても、古代の豪族さんみたいな昔の方々の中で、忌部氏が一番、なんか珍しく聞こえるよね」

 「それはね。忌部氏はかなり力があったから、時の権力者からというか、政治的な理由で警戒されて、きっと一番、押さえつけられたのかもね」

 久しぶりの積もる話に話は盛り上がり、カフェを出てJR新宿駅まで一緒に歩いた。

 彼女のクリアな声は、雑踏の中でもはっきりと聞こえ

 そのメッセージは、ひろこの心の中で鳴り響き続けた。

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たきのさくら
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