002:トリックリエイター
私は作家のアシスタントをしている。
アシスタントというと、作家の先生の補助であらゆることをやるイメージだろう。
ただ、私はそうではない。
作家になりたいわけでもなかったし、文章がうまいわけでもない。というか、むしろ下手だ。最近「句読点」の重要性を理解できたくらいだから。え、普通?わかんない?私もわからない。
自分のシゴトを細かくいうと、作家の先生といっても、推理やミステリー作家の先生が多い。分かる人はいるかもしれないけど、「推理」「ミステリー」では、色々なトリックというのがある。トリックというのは、例えば犯人が「自分は無罪である」であるとか、または「誰が犯人か分からなくする」ような工夫やアイデアのことかな。
トリックは当然、先生が作ることが多い。でも、その先生がトリック好きだからうまくトリックが発動するわけでもないんだ。あと、トリックとして面白いものが作中にはまるわけではないんだ。
ってことを、このシゴトを通して実感してる。そういうのって多分色々なシゴトであるんじゃないかな。
そこで、私の出番ってわけさね。
トリックを、推理作家やミステリー作家に提供する。当然、トリックのアイデアの描き方(書き方でなく)がポイントとなる。
どういうトリックかをプレゼンするというと大袈裟なんだけど、絵コンテみたいなものを描いたり、それは伝えるのは結構工夫している。
あと、ミステリーとか推理とか、そもそも一ファンとして好きで読んできたってのもある。でないと、続けられないしやれなかったんじゃないかな。
報酬とかは結構バラバラではあるんだけど、実績がたまってきたので、どちらかというと最近は「トリックを作って提供」ということでなく、「トリックの作り方を教える」ということで、アマチュア作家やプロ志望者に向けて話すこともでてきているんだ。といっても、講演に呼んでもらったりとか、そういう自然な感じで少しずつだね。
単なる推理ファンが、なんかトリック楽しいなーと言ってるだけではできなかったと思うよ。もちろんそういう楽しみ方をする人がいないと成り立たない。だけど、シゴトとするなら、トリックが面白いだけでなく、トリックをどう作るかまで踏み込みたいか?ってことかも。そういう視点に興味があるなら、このシゴトは面白いと思う。
トリックを作るのは楽しいから、これ活かして他のこともやろうかなと最近は考えているよ。