生物進化に学ぶ創造力の養い方

自然界にあるものの姿は本当に美しい。新緑の季節になって山に行ってみると、木々が風に揺れる様子や、鳥のさえずりなどを聞いているだけで癒される。

「自然の下僕であり解明者である人間は、彼が自然の秩序について、実地により、もしくは精神によって観察しただけを、為しかつ知るのであって、それ以上は知らないし為すこともできない。」(フランシス・ベーコン)

こうした自然の姿に触れていると、人が考えることなど些細なことのように思えてしまうが、今ある自然の姿も、長い時を経た進化の過程を経て生まれたものだ。

新進気鋭のデザイナーNosigner代表の太刀川英輔氏による「進化思考」では、この生物進化のプロセスから学び取ることのできる、創造力の伸ばし方の要点が分かり易く紹介されている。

本書によれば、進化プロセスの要諦は

変異と適応

だという。

そして、創造のプロセスも、この「変異と適応」に極めて近く、「変異」について9パターンに、「適応」については4つの要素に分けて考察がされており、それぞれのパターン毎に、具体的に創造力を養うためのワークが用意されている。

ワークの具体例としては、自分の中で何か進化させたい対象Xを決めた上で、9パターンに沿って、例えばその数量や重さを変えてみたり(変量)、対象物の要素を一部抜いてみたり(欠失)、極端に増やしてみたり(増殖)、別の対象Yと交換する、といったものがあり、どれもやってみると脳が刺激される。

創造力とはそもそも何なのか。そして、それはどうすれば高めることができるのか。人は後天的に創造力を身に付けることができるのか。といった問いに対して、デザイナーである著者ならではの視点として、実際にこの思考法を使ってデザインされたプロダクトの紹介などもされており、概念的な話だけでなく、実際に形にする、行動に移していくことを考えるのに、とても役立ちそうだ。


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キダッチ
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