願わくば新幹線のように
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東海道新幹線で66、山陽新幹線で142。
合わせてこの数になる。
東京から博多まで繋がっていて、数多のお客さんを運んでいる大鉄路こと東海道·山陽新幹線のトンネルの数らしい。
山陽新幹線は山々が聳えているので、トンネル区間の割合は50%を超えるらしい。
文字通り「貫いている」わけで、名実ともに大動脈といえる鉄路の代表格に据えられるのは文句のつけようがない。
跳ね返していきたい
この大動脈の、端から端まで。
なかなか行く機会がないが、つい先日そのような機会があった。
出発地の東京は早朝から雨。
そのときは全然気づかなかったが、その後雨の勢いも増すらしい。
少しは遅れるのか…止まらなければいいな…とよぎりながら乗っていたが、そんな素振りはおかげさまで全く無かった。
むしろ、窓に水滴すらついていない。
いや、雨は東京より本降りなのになんで?
270とか280キロで関東平野をぬるっと抜けつつもぶっ飛ばしているからか、むしろ跳ね返しているまであって久しぶりのスピード感に感嘆していた。
ふと、自分もこうでありたいなと思った。
聞き上手と聞こえはいいが、要は自分に当たった雨粒のようなものでも気にする性質で、雨粒ひとつ付かないようにセンシティブに生きているわけではないが、何かと考えたりする。
ただ、乗っているこいつはお構いない。
車体はきっとずぶ濡れなのに、乾いているようにも見える突き抜け具合。
「出る杭は打たれる」とは言うけれど、同時に「出る杭は突き抜ければ打たれない」と聞く。
その答えがここにある。気がした。
でもね
とはいえ自分は平凡人間なので周りと同じくらいしか杭は出せないので、打たれた経験はないのだが、多少のことは気にせずに突っ走れるような心も持ちたいと思った。
が。
こいつは突っ走り過ぎるのがお望みなのか、自らの通過音のこだまを置き去りにして、光すら颯爽と突き放す感すらある。
そこまで生き急ぐのは本望ではないし、そんなことを仕事やら私生活でも貫いたらば…気づけば周りがいなくなることが確実なので、ひたすら急ぎ過ぎるのはこいつに譲ることにしたい。
それを4時間ちょっとを過ごした空間でふと思いついたときには、博多駅のホームに滑り込もうとしていた。
ニート期間でずっと止まりっぱなしの自分には、当分は急ぎ過ぎるくらいで丁度いいのかもしれない。