私的2022映画・勝手にアカデミー賞
勝手にアカデミー賞やっちゃいます!
毎年勝手にベスト映画を決めるお祭りを一人寂しく開催しているのですが、今回はnoteを始めたこともありここにしたためようかと思います!
ルール
まずはルールです。
・2022年に私が「観た」映画です。つまり、完成時期が2022とは限りません。サブスクなどでみた映画も含まれていますので悪しからず。
・私が「良かった」と思う映画をつけます。映画における「良さ」は千差万別です。「面白い」とはいってません。もちろん面白いのもありましたが!
・アカデミー賞的な感じでやろうと思います。したがって、賞はいくつかあります。実際はもっと多いんですが、この8部門の賞をご用意いたしました。
作品賞・監督賞・主演男優賞・主演女優賞・助演男優賞・助演女優賞・脚本賞・映像賞・美術賞
・ノミネート作品は10作品です。
ノミネート作品(順不同)
ノミネート作品は以下の10作品になります!軽く一言ずつ紹介。
1. 『ちょっと思い出しただけ』
監督:松居大吾
出演:池松壮亮、伊藤沙莉、河合優実
一言コメント:
大人の淡白さがある空気感がものすごく良かったです。一歩間違えたら、自分の過ちとか不貞をただ振り返って正当化してエモい気持ちになるだけのつまらない映画になりうるジャンルなのだけど、そうではなく、きちんと過去の自分を肯定も否定もした上で、ちゃんと相手へのリスペクトがある。そういう芯のある強さがよかったし、だからこそ映画最後のケーキの件、この映画を象徴する良さがありました。
2. 『こちらあみ子』
監督:森井勇佑
原作:今村夏子
出演:大沢一菜、井浦新、尾野真千子
一言コメント:
ものすごくパワーのある映画でした。
いわゆるグレーゾーンにある女の子の見る世界にグッと寄ったような映画でした。
彼女の言動を正面から受け取ろうとしない大人たちとのギャップに苦しめられた。
彼女なりに感じる不条理、優しさ、鬱屈さ、愛情、そういった色んな感情を詰め込んだような映画でした。
3. 『猫は逃げた』
監督:今泉力哉
脚本:城定秀夫
出演:井之脇海、山元奈衣瑠、毎熊克哉、手島実優
一言コメント:
猫をきっかけにバラバラだった人達がそこに集まって、言葉を交わす。
「正しいこと」ばかりで世界は回らないし、正しいだけで上手くいくとも限らない。曖昧な気持ちのままでいること、ずっと好きでい続けられるかもわからない、でもきっと人間の関係を繋ぎ止めるのは、セックスでも日々の感謝の言葉でもなく、1匹の小さな猫だっていうこともあるかもしれないな、と思いました。
4. 『スノーピアサー』
監督:ポン・ジュノ
出演:クリス・エヴァンス、ソン・ガンホ、ティルダ・
スウィントン
一言コメント:
永遠に走り続ける列車の中という閉塞感と、最後尾から先頭まで突き進んでいくというアクション映画感のあるワクワクさのある造りが素晴らしかった。
エンタメ色はしっかり残しつつ、資本主義による格差に対するポン・ジュノの目線は鋭くて、そういったバランス感覚に優れた映画だなと。
チャーリーとチョコレート工場の匂わせ方も良かった!考察が楽しかったですね。
5. 『この日々が凪いだら』
監督:常間地裕
出演:瀬戸かほ、サトウヒロキ
一言コメント
「なんでもないような明日を待ってるだけの、あなたがいるような今がとても幸せ」
主題歌の歌詞が本当によくこの映画を表現してるなと。
社会に「お前の代わりはいくらでもいる」って突きつけられた時に、その人がその人じゃないといけない理由を、周りの大事な人にだけでも与えて与えてもらえる関係を抱きしめていきたいなと思いました。
6. 『NOPE』
監督:ジョーダン・ピール
出演:ダニエル・カルーヤ、キキ・パーマー、スティーブン・ユアン
一言コメント
まず、妹がレズビアンであることが、この映画になんの関係もなかったところが良かった。
ジョーダンピールの、得体の知れない何かに追われる怖さとそれを克服する構成はやっぱり面白い。
今作はジョーダンピールの意図するブラックジョークが少し読み取るのが難しかった印象はある。
7. 『偶然と想像』
監督:濱口竜介
出演:古川琴音、玄理、森郁月、甲斐翔真、占部房子、河井青葉
一言コメント:
映画の中における「笑い」の重要性を思い知った。
登場人物は、どこかおかしくて、そのすれ違いによる会話は、機知に富んでいるところもありながら、思わず笑ってしまうような魅力があった。
偶然を発露として、想像が生まれる。想像を発露として偶然が起きる。映画のタイトルに通底しながらも、3つのおかしな会話劇が繰り広げられていく。
特に3つ目のお話が最高に好きでしたね。
8.『ペルシャンレッスン』
監督:ヴァディム・パールマン
出演:ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート、ラース・アイディンガー
一言コメント:
架空の言語をユダヤ人がナチスドイツの大尉に教えるという設定の時点で面白いのが決定してました。
これどういう終わらせ方にするんだろうと思っていたけど、グッとくるような、かつ安直ではない終わらせ方に脱帽でした。考え抜かれていたな…。
9. 『君だけが知らない』
監督:ソ・ユミン
出演:ソ・イェジ、キム・ガンウ
一言コメント:
本当に脚本の構成が素晴らしかった。ミスリーディングや、二転三転するストーリーライン。韓国の上質なサスペンスエンタメの血筋が濃く流れていたな、と思いました。
一番最初のシーンから余すことなく、綿密に練り上げられた構成は、本当に2時間飽きることなく見ることが出来ました。
10. 『私をくいとめて』
監督:大九明子
出演:のん、林遣都
一言コメント
とにかく能年玲奈の演技が輝いてました。主観にぐっと寄ったような映画って、やはり主演の子の強い魅力がないといけないんだけど、能年玲奈の演じる役のクセの強さだったり、内向的な考え方が映画に乗っかって、とてつもない魅力を放っていました。
結果発表の前に。。
惜しくもノミネートから外れてしまった作品ではありますが、素晴らしい作品たちを少しだけ紹介させてください。めちゃくちゃ迷った結果外したものです。
・『神は見返りを求める』
・『静かな雨』
・『あのこと』
・『君が世界の始まり』
・『窓辺にて』
・『男の優しさは全部下心なんですって』
この辺もとっても好きな作品たちでした!
結果発表!!!
脚本賞:濱口竜介(『偶然と想像』)
美術賞: 『Nope』
映像賞:岩永洋(『こちらあみ子』)
助演男優賞:ラース・アイディンガー (『ペルシャンレッスン』)
助演女優賞:手島実優 (『猫は逃げた』)
主演男優賞:池松壮亮(『ちょっと思い出しただけ』)
主演女優賞:のん(『私をくいとめて』)
監督賞:今泉力哉(『猫は逃げた』)
作品賞:『こちらあみ子』
最後に
今年は90本ほどの映画を観ました。例年よりは少なかったけれど、でも上質な作品に沢山出会えたな。
『こちらあみ子』は、終わったあとに、ものすごい心に残った映画だったので、自分にとってとても大事な映画だったんだなって今振り返ってみて思いました。
映画は、わからない、正しくない、共感できない、そういうものを包み込む強さがあるな、と思ってます。沢山の映画を観て、沢山の人や感情を知って、そうして人に少しでも優しくなれたらな、と思います。
それでは良いお年をお過ごしください。