控えめだけど実は革命
人生も折り返し地点。今まで歩いてきた道と、これから進んでいく道、両方を見渡せる、ちょっと特別な場所。若い頃の失敗を認め、ささやかでもいいからこれまでの成功を喜び、まだ見ぬ未来への道をじっくり考えるタイミング。
振り返ってみると、若い頃は世界を白黒はっきりとした単純なもので見ていた気がする。複雑な人間関係、野心と妥協、理想と現実が入り混じる駆け引き。あの頃の自分は、若さゆえの純粋な信念と自信過剰で、そういう微妙なところを見逃していたんだなと思う。
人生の中盤に差し掛かると、世界は灰色だらけの、複雑で、時に訳のわからない、進歩と後退、希望と絶望がごちゃ混ぜになった姿を見せてくる。若い頃の理想に燃えて「簡単に解決できる!」と思っていた社会問題も、蓋を開けてみれば根が深く、地道で多角的な努力が必要な、複雑なシステム上の課題として立ちはだかる。
世界の不完全さに文句を言ったり、恵まれない人の不幸を嘆いたり、社会の仕組みに組み込まれた不正義に怒ったりすることもできる。でも、静かに決意を固めて、現実的な行動を起こす、たとえそれが小さな一歩でも、そんなふうに違う道を選ぶこともできるはず。
「大きなことを成し遂げたり、立派なことを言ったりしないと、世の中は変わらない」と思いがちだけど、本当に大切な変化は、日々の暮らしのちょっとしたこと、意識して何かを選ぶこと、周りの人たちとの関係を築くこと、そして自分がどんな風に生きていくかを示すこと、そういったことの中にあるのかもしれない。
一番大切なのは、深く考える力を育み、相手の気持ちを理解し、未来を生きる人たちへの責任感を持つこと。持続可能で公平な未来の種は、立派な言葉を並べるよりも、一人ひとりの行動と静かな決意という豊かな土壌に蒔かれるものだろう。
だから、後半生は、世界を征服しようとするよりも、自分の周りの小さな世界を丁寧に耕し、本当に大切な人たちとの関係を育み、できる範囲で、今より少しでもマシな未来を作ることに貢献していくことになるんだと思う。それは、経験豊富な旅人の、控えめだけど確かな野心。バリケードで戦う革命ではなく、心の奥底と日々の選択の中で静かに起こしていく革命だ。
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