人間関係モノローグ【アプリの向こう側】
30代後半に差し掛かった頃、私はある決断をした。それは、出会い系アプリに登録することだった。結婚願望はあった。友人の多くは結婚し、子供を持つようになっていた。焦りを感じていたのも事実だ。職場と家の往復で出会いは限られていたし、合コンや紹介にも疲れていた。出会い系アプリは、私にとって最後の砦だったのかもしれない。最初の頃は、期待と不安が入り混じっていた。プロフィール写真を選び、自己紹介文を考え、いいね!を送ったり、メッセージをやり取りしたり。すべてが新鮮で、どこかゲームのような感覚もあった。やがて、実際に会うようにもなった。アプリを通して出会った男性たちは、年齢も職業も性格もさまざまだった。誠実で素敵な人もいた。しかし、多くは一過性の関係を求めているだけで、真剣に結婚を考えているようには見えなかった。体だけの関係を求めてくる人もいた。アプリの世界は、私が想像していた以上に冷酷で、残酷だった。何度か、傷つくこともあった。軽い気持ちで遊ばれてしまったり、嘘をつかれたり。アプリでの出会いに疲れ果て、退会することも考えた。それでも、私はアプリを続けることを選んだ。結婚への希望を捨てきれなかったからだ。心のどこかで、アプリの向こう側に運命の人がいると信じていた。何人もの男性と出会い、別れを繰り返す中で、私は自分自身と向き合うようになった。結婚相手に求める条件、自分が本当に望んでいること、そして、自分自身の魅力と欠点。アプリでの出会いは、私にとって自己成長の機会でもあったのかもしれない。アプリでの出会いを繰り返す中で、あることに気づいた。アプリで出会う男性たちは、皆、何かしら欠点や問題を抱えているということだ。完璧な人間なんていない。私自身も同じだ。欠点を受け入れ、許し合うことができるかどうか。それが、アプリで出会った人と長く付き合っていくための鍵なのかもしれない。10年近くアプリを続けてきた。その間に、たくさんの男性と出会った。今でも連絡を取り合っている人もいる。でも、結婚には至らなかった。アプリでの出会いは、私にとって複雑な感情を残した。希望、失望、喜び、悲しみ、諦め。私はアプリでの出会いを後悔していない。アプリを通して、いろんなことを経験し、学ぶことができた。自分自身と向き合い、成長することができた。多くの人と出会い、貴重な時間を過ごすことができた。アプリの向こう側には、確かにいろいろな人が存在する。運命の人がいるかもしれないし、傷つくこともあるかもしれない。これからもアプリを使っていきたいと思っている。いつか、アプリを通して運命の人に出会えることを信じて。アプリの向こう側にある、新しい世界を見てみたいと思っている。すべて、幻想だとわかっていても。