UXリサーチの調査手法とは?使い分けまで解説!
最近UXを向上させるためには何から取り組めばよいのか、と悩むことが多いので今回はUXリサーチに焦点を当ててまとめてみました。
UXリサーチはUXデザインの一種
そもそもUXリサーチは、大前提としてUXデザインの一手法です。
UXリサーチを通して解決すべき問題を定義したり、仮説を検証したりなどを繰り返すことでユーザーにより良いサービスや体験を提供することを目指します。
UXデザインのプロセスは、正しい問題を見つける探索フェーズと正しい解決方法を見つける検証フェーズに分かれます。
この探索フェーズと検証フェーズでそれぞれの目的に応じて、適切なリサーチ手法を選び実行しUXデザインプロセスを推進するのがまずこの段階です。UXリサーチを取り入れる場合、探索型リサーチと検証型リサーチどちらかから入っていくことが多いように思います。
探索フェーズのUXリサーチ
今直面している課題やその解決法が定まっていない初期の企画段階で探索的のUXリサーチを行います。
「解決するべき課題は何か?」の探索をゴールとし、リサーチで得た結果をもとに解決策の仮説を立て、プロダクト開発につなげます。
検証フェーズのリサーチ
課題が明らかになり、解決策の仮説があるときに有効なのが検証型のUXリサーチです。
立案した仮説がユーザーに受け入れられるのか、ニーズを満たせるかなどを検証するために調査を行います。この段階では、開発を進めプロトタイプを作成し、ユーザーに試してもらう「検証調査」を行うこともあります。
調査手法と使い分けのポイント
UXリサーチの手法は数多くありますが、わかりやすく理解するため、前で説明した「探索フェーズ」と「検証フェーズ」に加え、定量調査・定性調査の掛け合わせの4つで分類します。
【探索フェーズ/検証フェーズ】 × 【定量/定性】
①探索フェーズ×定量調査
・インターネット調査
調査対象者(回答者)に対してインターネット上でアンケートを配信し、回答をしてもらいデータを回収する方法です。
探索フェーズのUXリサーチでは、ターゲットとなるユーザーの行動、価値観などを定量的に把握するために行います。
・デスクリサーチ
デスクリサーチとは、文献や統計データ、記事データベースなど、既に公表されている情報を収集することです。UXリサーチでは、競合のサービスの利用者数などを把握するなど、企画の初期段階で用いることが多いです。
②検証フェーズ×定量調査
・ABテスト
一定期間にサイトに訪れるユーザーに対して、2つ(以上)の異なるwebサイトのデザイン・レイアウトやアプリのプロトタイプを用意して、どちらがより良い成果(クリック率、コンバージョン率など)を出せるかを検証する手法です。
ABテストは、実際のユーザーの反応をもとにどちらが優れているかを客観的に比較できるため便利な手法ですが、ある程度の数を集めないと優劣の判断ができないため、アクセス数の少ないページで用いることが難しく、数字以外のユーザーがクリックした理由などの定性情報はわからない点は注意が必要です。
・アクセス解析
Webサイトに訪れたユーザーの行動や特性を、Google AnalysisやGoogle Search Consoleなどのツールを利用し、自動的にデータを蓄積したり分析したりする手法です。
データとして、訪問者数、各ページのアクセス数、検索キーワード、流入経路、サイト内での行動履歴、離脱率などを取得でき、ユーザーの関心やコンバージョンに至るまでの行動を分析することができます。
一方、アクセス解析では、現状の数値結果しかわからないため、競合との比較や数値の理由がわからないことがデメリットになります。
③探索フェーズ×定性調査
・ユーザーインタビュー
実際にプロダクトを利用している方に対して詳しく話を聞く手法です。
サイト、アプリ、サービス、製品について、ユーザーがどう思っているのか、どのような改善を望んでいるのかなど、特定のテーマについて知ることを目的に、質問を進めていきます。
「インタビュー」の方法は1つではなく、目的や実施タイミングなどにより分類されます。
例:デプスインタビュー、グループインタビュー、構造化インタビュー、半構造化インタビュー、非構造化インタビュー、探索型インタビュー、検証型インタビュー
・エキスパートインタビュー
エキスパートインタビューとは、特定の業界やマーケット、商品分野、海外情報などに知見を持つ専門家や有識者、経験豊富なビジネスパーソンなどに直接インタビューをする方法です。
一般ユーザーからは聞けない、専門的な内容をヒアリングできるため、自社に知見がない領域でのサービス開発などをするときに用いられます。
④検証フェーズ×定性調査
・ユーザービリティテスト
ユーザビリティテストとは、ユーザーに、実行してほしいタスクに沿ってプロダクトやプロトタイプを実際に使用してもらい、使用中の行動を観察したり、使用後に使い勝手の評価をしてもらったりして、スムーズに使用できるか、ニーズを満たしているかなどを測定する調査手法です。
Webサイトやアプリのインターフェースについては、5人に対してユーザビリティテストを実施すれば、問題の85%は抽出できるといわれています。
・ヒューリスティック分析
ヒューリスティック分析は、UI/UXの専門家が特定のガイドラインに沿ってユーザビリティを評価する手法です。
特定のガイドラインとは、ユーザビリティの第一人者であるヤコブ・ニールセン博士提唱の「一般的な経験則に基づいたUI設計の10個の原則」が有名です。
・認知的ウォークスルー
認知的ウォークスルーは、専門家が想定ユーザーになりきり、ユーザーが実際に使う場面を想定して手順通りにタスクを実行できるかという観点で操作する手法です。
定性調査と定量調査の組み合わせ
定性調査、定量調査にはそれぞれメリット・デメリットがあります。
定性調査では対象者の人数が少なく、定量調査では情報の深堀ができません。UXリサーチは、2つのデメリットを補うために、組み合わせて実施することが有効です。
・定性→定量
例えば、製品やサービスに対するユーザーの意識を数字で把握したいとき、どんな質問や選択肢を用意すればいいか迷ったら、まずは定性調査で顧客の心理や傾向を把握し、それから定量調査で仮説を検証していきます。
・定量→定性
数値データから得られた結果に加えて、ユーザーがサービスや製品をどのような状況や背景で利用しているのかを知りたい場合は、まず定量調査で仮説を立て、それから定性調査で詳しく掘り下げて検証していきます。
まとめ
UXリサーチは、手当たり次第に何でもやれば良いというものではありません。上記のように、量的・質的、探索的・検証的と、目的や収集すべきデータに応じた、使い分けや手法の組み合わせが重要であることを学びました。
新規開発の初期段階、既存事業のリニューアル段階など、どのような目的で、ユーザーの何を知りたいのかを明確にし、適切な調査手法を選択することが大事であると感じました。
参考URL
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