逆光に浮かぶ🌃
いつも人とは違うを意識して、その結果「美術科」がある高校へ入り「デザイン科」のある大学へ進み「カーデザイナー」になったわけだが。やはりその分野の中でもさらに人とは違うを勝ち取りたかった。
日本人初のフェラーリチーフデザイナーだった奥山清行氏は「自分の強みはリアビューだ。理由は誰も得意としていないから」と自らの著書で述べていた。
私も多くの人が苦手としているアングルや表現手法に積極的に取り組むようになった。それが自分の強みになる時を目指して…
逆光を好むのには理由がある。クルマというのはシルエットでほとんどのことが決まる。車格や車系、駆動形式、大衆車なのかスポーツカーなのか、はたまたスーパーカーなのか。シルエットがその全てを物語る。シルエットだけでなんのクルマかわかること、これはカーデザインの基本でもある。
私はデザイナーのそんな意図を読み取って最適なアングルで最適な光源を選びその美しさを多くの人に広めたいと思った。
つよい逆光によって生まれる影は無駄なものを削ぎ落とし、そのものが本来持ち合わせる最も重要な部分を際立たせる。
そしてクルマを境界に光と影に分けられた世界は冷たくしっとりとした空気感を漂わせる。
描かれていない部分は、各々が都合よく解釈するので観る人の数だけ絵に対する印象が変わるかもしれないし、また、各々が想像力を掻き立てられる。そんな「他人の感性に影響を与える」ような絵を描きたいと思ったのだ。