見出し画像

テレビと私


私はテレビを見ない。
「見たいテレビを録画する」という行為をしないし、番組表をチェックすることもない。ニュースはネットで十分だし、ドラマや映画も体調を悪くするのであまり見ない。流行ったり話題になるようなドラマも特に見たいとは思わない。天気予報は知らないまま行動するタイプだし、お笑いやバラエティも1.2分で飽きてしまう。音楽番組を見てもアイドルは全員同じ顔に見える。いまだにSnowManとかSixTONESとか一人も名前が言えない。結構終わってる系のテレビ難民である。

じゃあ我が家では何を見ているかっていうと、大抵は息子が大きなテレビにYouTubeをつけているんだ。もしくはその合間を縫って旦那さんがプロレスラーの「ゼァちゃんねる」とやらを見ている。オッサンがずっと語りまくるような内容でまるで興味のわかない。とりあえず画面はずっとついているという感じだ。
だから息子が生まれてからこの六年間、私が自らテレビを見た総時間はきっと数十分。結婚前は見ていた気がするけど、それでも仕事が忙しくてただただ画面はつけているだけ。内容がどうとか、面白くて笑える!なんて殆どなかった気がするし、常にテレビの前でスマホをいじっているようなものだった。
というわけで今、我が家からテレビがなくなっても私はまったく困らないだろう。(テレビを否定しているわけではないよ。本当に見ないだけ。)


そんな私が最近、ふと思い出すんだ。



昔は家族でテレビを楽しみにしていたこと。


子供の頃はいつもテレビがそばにあった。お父さんもお母さんもテレビを見ていたし、お兄ちゃんとリモコンの取り合いもした。リビングの中心にはいつもテレビがあって、光があった。

夏休みのお昼にやっていた「キッズウォー」をお兄ちゃんとお母さんと見ていたあの感じは堪らなく好きだったし、「笑っていいとも」とか幻のよう。「クイズミリオネア」は、CMを待ってくれない父がすぐにチャンネルを変えるせいで結果がいつもわからなくて気持ち悪かった。それに小学五年生だったかな?クラスの全員がハマった「水10」。あんなに面白い番組はもうないんじゃないかって、世代は集まって語れるだろう。日曜日の夜は「ちびまる子ちゃん」からの「サザエさん」そして合間に流れる東芝のCM...。


あの懐かしさはもう戻ってこないのだろうとがっかりするんだ。私たちは「スマホ」という最強の文明を得たと同時に失ったことがある。それはきっと「団欒」だと。

ひとつの時代が古くなって、大衆の前からテレビという「団欒」が一つ消えて、もう返ってこない。今や一人一人が自分だけの画面を持って、同じ場所にいるのに違うものを見ている。それぞれのリビングにいる時代が来てしまった。そんなことをふと私は少し寂しく思うんだ。あの頃は良かったなぁなんて、光が消えたように虚無感を覚える。真っ暗のテレビがなんか少しだけよそよそしく見える。

これが歳をとるってことなのかな。
おばさんになるってことなのか。

そういえばしっかり30代になってシワやシミが増えて、こうして新しいものや流行りが疎ましくなる。懐かしさこそ正義みたいになる。時代は周り続けるってどこかで知っているはずなのに、YouTubeには気が乗らない。テレビの前で今日もあの頃を思い出す。あぁ、ワクワクしてたな。あったかかったな。


いつの時代も愛だけは離さないように柔軟でいたいものです。

いいなと思ったら応援しよう!