今でもたまに思い出す、保育園での小さな逃走劇
保育園のホットミルクが嫌いだった。牛乳が嫌いなのに更にあったかくなって、謎の薄い膜まで張られて、気持ち悪いったらありゃしない!
そんなホットミルクから逃げた記憶がぽつんとある。今となってはホットミルクが毎日出ていたのか、曜日で出ていたのかも思い出せない。その日、近所に住んでた仲良しの女の子にホットミルクを飲みに行こうと誘われたけど、わたし飲まない!とさくら組さんの教室に入ることを拒んだ。彼女はホットミルクが嫌いでは無かったと思うけど、一緒に教室にいかず遊んでくれた。
当時から気の小さいわたしは「ホットミルク飲まないと怒られるかな?」と少しの罪悪感を抱えながら遊んでいた。そんなことを考えていたら、来た。ホットミルクの使者が「あ!いた!ほら、おいで!あと2人だけだよ!」と。
見つかった。逃げられない。先生に「牛乳きら〜い!飲まな〜い!」と反抗すると「いいからおいで!」と飲ませたい一心での反撃。大人の「いいからおいで」は今でも少し怖い。(別にこの件のせいじゃない)その間お友達は(わたしはどっちでもいいのよ)と静かに眺めていた。
すると先生が「本当にいいの?今日お誕生日会の日だからカルピスだよ?」と困った顔をしながら問いかけてくる。
え?カルピスなん?
「やったーーーーーー!飲むーーーーーー!もっと早く言ってよカルピス大好きーーーー!」おともだちはビックリした顔をしながら、わたしと一緒にさくら組さんの教室に向かった。ごめんね、めぐちゃん。カルピスだったらもっと早く行けばよかったね。
教室について自分のプラスチックのスヌーピーマグカップにカルピスを注いでもらう。同じ白い液体でもカルピスと牛乳では大違い。辻ちゃんと加護ちゃんくらい違う。
3秒ほどでカルピスを飲み干し「おいしい!先生おかわりないの?」と、鼻の下にカルピスの白い髭をつけながらハアハア言っているわたしを先生はさっきと同じ困った顔で、でも少し笑いながら「もっと早くくればおかわりできたのに」とラグビー部が使うような金の大きなヤカンを片付けた。
わたしの記憶にある1番最初の逃走劇。