独自の調査データと反響からR&Dの複業を考える。
こんにちは、RD LINKの三浦です。
私たちは「食品」「化粧品」「バイオ」業界のR&D経験者の複業をサポートしているエージェントです。サービスリリースから約1年半経った今でも、他にはない専門領域でのサービスだと自負しています。
今回は少しずつ溜まってきたRD LINKの登録エキスパートや受注案件のデータや反響の声から、現在のR&D分野の複業について考えてみたいと思います。
あくまでも独自データですので悪しからず。
複業がもたらす職務経歴の拡張と人生の豊かさ
「複業は自分のキャリア開発に繋がると思いますか」
弊社の登録エキスパートにアンケートをした結果です。回答数は52で一般論として語るにはデータとして少ないことは承知ですが、R&D分野の複業に関する情報がほとんどない中では、調査としての一つの参考にはなるかなと思います。
ちなみに、RD LINKに登録いただいている時点で複業に興味がある方々なので、複業に肯定的であるのは当然ですね(笑)
興味深かったのは、この問いに対してフリーコメントで記入いただいた理由です。以下一部抜粋します。
「世界を広げることで経験値が上がり範囲が広がる」「それなりに知識の更新が必要になる」「現状よりもやや外れた案件を解決することで職務経歴が拡張できる」など、一つの世界の中だけでなく複数の仕事に関わることで得られる状態をわかりやすく言語化していただけていると思います。
様々な組織文化、様々な人、様々な開発テーマに関わることで、現状の自分に少し負荷をかけることができ、そこに新たな学びが生まれるということなのだと、私自身も一歩理解が深まりました。
また、複業という働き方を別の視点で考えることができたコメントが下記です。
弊社の質問内容が「キャリア開発に繋がると思うか」というものだったので、そうは思わない理由としてこのようにコメントいただいたのだと思いますが、これは私たちが1年間事業を行う中で感じてきた、エキスパートの思考の特徴を表す一つだなと感じました。
RD LINKのエキスパートの方々がよく口にする言葉に「自分で役に立てるなら」「貢献できるなら」というものがあります。また仕事を受けるか決める際に企業ビジョンへの共感を大切にする方も多いです。
つまり自己実現を第一目的としているんですよね。その傾向は特に定年退職を迎えたシニア層の方に多く見られます。
複業というとキャリア開発や収入アップにフォーカスされがちですが、組織の枠を越えて個として自由度高く働くことで、自分のしたいことと社会貢献を繋げやすくなる。それが人生の豊かさももたらすようです。
こちらのエキスパートインタビューでも「求められる充実感」について話されています。
新規登録は毎月15名前後
RD LINKにご登録いただいたエキスパート人数は弊社の23期末時点で合計156名となりました。
2020年8月までは、クライアント先や知人の方々に個人的に登録いただけたものがほとんどでした。このようにnoteでの発信を始めたり業界専門メディアに広告を出すなど、認知度を高めるための活動を始めた以降は、毎月15人前後の方に新規でご登録いただけるようになりました。
さて、この数字をどう捉えるか。
月間15人の新規登録って、数字で見るととても少なくないですか(笑)でもRD LINKの領域である理系職の複業はそもそもニッチです。
私たちが働き方を支援しているのは、
食品・健康食品、化粧品・化学、医薬品、バイオ・ヘルスケア業界
で
研究、商品開発、品質管理・保証、生産管理・技術といった専門職
の経験を持っている方です。
業界に特化していることで、サービスの対象人数が減ります。そこからR&D経験者に絞ると該当者はグッと減ります。
このように分母が少ない職域の中で、複業できる(したい)方、あるいはフリーランスで活動している方を対象とすると、非常に小さな市場であることがわかります。
そもそも企業のR&D部門は採用枠が多くありません。品質管理や生産管理などの他の専門職を含めても、営業やマーケティング職のように該当人口が多くないんですよね。
そう考えると、毎月15名の方が興味を持って門を叩いてくれるのは、今のRD LINKの知名度を考えると決して少なくはない。
まだ複業が認められていない企業が大半だと思いますし、フリーランスやセカンドキャリア組の方もRD LINKのようなエージェントの存在を知らないことがほとんどだと思います。
私は2012~2020年まで転職支援の部署にいましたが、2012年当時は月間600件ほどだったエントリー数が2020年には1200件まで伸び、転職市場でのR&D人材の流動化は活発化しました。R&Dの複業市場はこれからだと思います。
登録エキスパートの年齢層と雇用形態
最高齢は79歳、最若齢は28歳。
現在のエキスパートの年齢層は40代~60代が大半を占めています。会社員の方が約半分、続いてフリーランス、そして定年(早期)退職や退職間近でセカンドキャリアを考えている方と続きます。
雇用形態と年齢層は大体リンクしており、先ほどのアンケートとは別に、コンサルタントとの面談や普段のコミュニケーションの中から得る情報になりますが、会社員の方は30~40代の方が多く、何かやってみたい、外の世界を見てみたい、知見の幅を広めたい、将来的に独立したいといった目的で登録される方が多くいます。
フリーランスの方の年齢層は様々ですが、登録の目的としては仕事の受注先を増やしたい、新しい仕事を開拓したいという声が多いです。
セカンドキャリア層の方々は、自分にできることがあるなら貢献したいという想いを持っている方々が非常に多いと感じます。
最高齢の79歳の方はご自身で顧問やアドバイザーなど現役で働かれている方で、正直なところ、思った以上に60代70代の方の登録が多く、登録情報を見るたびに人生100年時代を肌で感じる日々です。
RD LINKの案件は「何ができるか」がベースとなり、年齢は一切関係ありません。その上で仕事を受けるどうかは、個人のライフスタイルや他の仕事との業務バランスに合わせてご自身で判断いただけるのが良いところではないかなと思っています。
稼動しているのはフリーランスやセカンドキャリア組
現在20件のプロジェクト稼働がありますが、登録いただいているエキスパートの中で実際に動いている人という視点では、今のところフリーランスとセカンドキャリア層というのが実情です。
RD LINKのクライアント企業がエキスパートに求める期待は抱えている課題の解決に向けた伴走であり、言われた仕事を指示通り進める業務ではありません。
そのため、時間に制約のある会社員の方の場合は、どうしてもご本人の都合上難しくなってしまいます。スキルの話ではなく、時間の話です。
いくら複業の時代になってきたとはいえ、会社員の方はまずは所属企業できちんと評価されることが大切であり、そこに支障が出ない範囲で複業をしたいと考えるのは当然です。
そうすると現状のRD LINKの案件は少し重い。
また残念ながら、企業側でも他の企業の在籍者を受け入れることには不安や抵抗感を感じるところがまだまだ多くあり、フリーランスやセカンドキャリア組の方が受け入れられやすい状況です。
この辺りは私たちも課題感を抱えており、なるべく多くの方がそれぞれの可能な範囲で貢献できる仕事を用意できるようにしていきたいと考えています。
登録エキスパートの経験業界と職種
食品、化粧品は保守的、バイオ医薬品は活発
エキスパートの経験業界と職種はこんな感じですね。
私の肌感覚や業界紙の担当者との会話を通しては、食品業界と化粧品業界はまだまだ複業へのハードルがあるように感じています。
バイオ業界は会社が複業を認めているケースも多く、会社員の方からもコンスタントにご登録をいただきます。企業側も外部人材受け入れに積極的なところが多く、業界として比較的活発な印象を受けます。
食品・健康食品業界の3割については、健康食品業界からのご登録者が多い状況です。現職で食品メーカーに在籍している方はほとんどおらず、既に退職して他の企業の顧問をされている方が多いことからも、食品業界で会社員の複業はかなりハードルが高いのだろうと思っています。
転職支援の時もそうでしたが、食品メーカーや化粧品メーカーはR&D分野に関してはプロパー社員で固めていて中途採用はしないという企業もあるぐらい秘密保持意識もシビアですし、ブランドイメージをとても大切にする傾向があるため、そのあたりが人材の流動化のハードルとなっているのではないでしょうか。
化粧品業界では独立してフリーランスで活動している方も多いように感じていますが、会社員の方もフリーランスの方にもなかなかご登録いただけていないので、私たちの知名度の低さはさておき、業界内の繋がりで仕事が動いているのかなと想像しています。
RD LINKの良さのひとつとして、RDサポートという会社が23年間業界特化で築いてきた企業とのパイプから受託できる案件があるので、自分の個人的な繋がりとは全く別ルートとして新しい仕事に出会えるチャンスができます。
なので、フリーランスの方にもぜひ仕事を広げる窓口のひとつとしてエキスパート登録をいただけるといいなと思っています!
業界や企業の制約で、外の企業のプロジェクトに入るということがやりにくい環境は当面続くと思いますが、弊社がエージェントとして間に入り、契約まわりなどを調整していくことで、少しでも安心していただき制約が緩和されるといいなと考えています。
受注案件の業界と職種
こちらは参考までにですが、弊社の案件の状況になります。
業界や領域を絞っているサービスなので、受注する案件属性がグラフのようになるのは当然かなと思います。
企業からはコンスタントにご依頼をいただいており、以前インタビューでもお話しいただいたように、必要な時に必要な専門知見を得られるメリットを感じていただけるようです。
最近見えてきたこととして、2つ特記します。
1つめは、研究開発について。
職種グラフでは研究開発として2割を占めていますが、分解すると「研究」部分の案件はほとんどありません。
生み出す部分は自社でできる、あるいはやりたい企業がほとんどで、生み出したシーズをどう使っていくかといった応用研究以降の開発部分でのアドバイスを希望する案件がほとんどです。
転職に合わせた職種のカテゴライズをしてきましたが、エキスパートの仕事内容のカテゴライズはもう少し複雑かもしれないと思っています。
2つめは、「マーケ視点を持つ開発者」という需要について。
「とても良い素材を見つけたのでこれで商品を作れば売れる」という開発側の視点と、「売れるためにはそもそも市場に受け入れられるものでなければいけない」というマーケテイング側の視点のギャップに頭を悩ます企業は多くあります。
そして、それこそが外部人材を入れることで解消できる部分だということに、クライアント企業も私たちも気付き始めました。
今企業は「この商品にあえて消費者はお金を払うのか?」という視点を持った開発アドバイスを求めています。
開発側の専門的な話を翻訳してマーケティングに繋げていける人材はとても重宝されます。
自分の経験ではエキスパートの役割はできないかも。という先入観は不要です。少しでも複業に興味を持っていただけた場合は、まずはぜひ話を聞かせていただきたいです。
RD LINKのポイントは、コンサルタントがエキスパートの経験やスキルと企業のニーズをマッチングするということです。客観的な第三者が介在することで自分の制限を外すことができ、思わぬ経験を活かせたりするので、新たな可能性が広がります。
特にR&D分野の方は専門性が高いゆえに自分で自分の幅を狭めがちですが、最初のエキスパートのアンケートでもあったように、「自分の経験から少し外れたところ」が活きる可能性があります。その可能性をぜひ見つけに来てください。
働き方に正解はない
最後に、もう一度エキスパートアンケートの内容を。
「理系職の方が複業することについてどう思いますか」
働き方に正解はありません。働くことは生きること。自分自身に合った「はたらく」を実現できる世の中になるように、RD LINKではこれからも理系専門職の複業という働き方をサポートしていきます。
【7/16(金)18時~ サービス説明会@ウェビナー開催します】
【RD LINKのサイトはコチラです↓】
▽▼エキスパート登録にご興味のある方はコチラ▼▽
https://rdlink.jp/
▽▼法人の方はコチラ▼▽
https://rdlink.jp/biz