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キャリアについて本音で話せる相談相手はいますか?
こんにちは。RD LINKキャリアコンサルタントの高本です。
SNS上では「45歳定年説」の発言で激震が走っていますね。たった一言の発言に対してこれだけ多くの方が反応しているということは、働くということに対して不安や関心がある方が多いという証拠だと思います。
日本が戦後から高度成長期の時代には、「働く=生きるため(生活のため)」という考えが浸透していましたが、成熟期に入った令和の今は、「働く=よりよく生きるため」ということなのかもしれません。
つい先日パーソル研究所と慶応義塾大学の前野教授との共同研究プロジェクト「はたらく人の幸福学プロジェクト」の研究結果を興味深く拝見しました。
さてさて、今日の記事はそんなかしこまった話ではなく、私個人がキャリアコンサルティングの現場にいて、ずっと課題感を感じている「社内に自分のキャリアについて相談できる人がいない現実」について考察してみました。
社内で相談できる相手がいないという現実
会社で働いている方にお聞きします。みなさん、社内に将来のキャリア(転職、独立、複業、進学など)について本音で相談できる人っていますか?
自分の上司に「実はこのままでは自分が成長しないので、旅に出たいんです」なんて正直に言えますか?私自身の過去を振り返ってみても、そんなこと口が裂けても言えませんでした。「旅に出たい」といったら最後、次の異動で本社から一番遠い支社に異動になっていたと思います(笑)これはどんな職種の人にも当てはまると思いますが、理系研究職の方は特に悩んでいるように感じます。
つい先日、優秀な若手研究員のMさんとお話しましたが、「今の会社で研究を続けていて本当に将来大丈夫でしょうか?」と相談されました。
聞けば大学院で専攻していたことも活かせているし、研究所の環境も良いし、先輩も良い人だと言います。でも何か違うとモヤモヤしているそうです。今のままだと井の中の蛙になってしまうのではないか、専門性が高いがゆえに、社会の変化についていけないのではないか、と悩んでいるようです。
「社内で相談できる人はいる?」と聞くといないとのこと。「自分の人生のことを会社に相談なんてできませんよ。あいつはやる気がないと思われたら終わりです。転職する場合にはこっそり動きます。」とのこと。
利害関係が本音トークの邪魔をする
すべてがそうだとは言えませんが、こうなる理由としては利害関係が発生するからではないかと思います。
上司は会社の発展という目的の中で部下を育成する役割を担っている。部下の人生を応援してしまえば自分の目的(組織発展)は実現できない可能性が高い。だからそこまで関与はできない。心の奥では応援したい気持ちもあるが、本気で関わる勇気はない。
逆に部下もせっかく得た会社という居場所だから簡単に失いたくない。次の安全な場所を確保できる保証がないのに自ら危険を冒したくない。だから査定に響くような相談はなるべくしないでおこう。
そんな光景が目に浮かびます。これ、とても残念ですよね。いくら1on1で話を聞く時間を持っても何も解決しません(コーチングも仕事にしている私としては、まだまだ1on1の取り組み方に課題がある企業が多いという別の問題も感じていますが…)。
ベテランも社内では本音を言えない
自分のキャリアについて社内で相談できないのは、若手だけではありません。実は逆の立場である上司やベテラン社員も同じように悩んでいます。
50代に入りそろそろ定年(やはり今の日本は定年にとらわれてますね)が見えてきた大手製薬メーカー勤務のWさん。「早期退職制度に応募しようか迷っているんです。条件はいいけど辞めたら自分の年齢で仕事ってあるのでしょうか?」と相談に来られました。
「社内で相談できる人はいましたか?」と同じように聞くと、「まさか、誰にも言えません!早期退職したいと思っていることがばれたらすぐに異動になります。」とのこと。信頼できる相談相手がいないから客観的に意見をもらえそうなうちに相談したいと思ったそうです。
個人のキャリアを応援する風潮が不足
多くの方の相談を聞きながら感じることは、将来の社会や産業の発展のためには個人のキャリアを応援する風潮を、働く私たち自身で作っていく必要があるのではないか、ということです。
これからは、「働く=よりよく生きるため」がより浸透していくと思います。
そのため企業が個人を選ぶ時代は終わりを迎え、かといって個人が企業を選ぶのではく、企業と個人の双方が選びあう時代になるのではないかと思っています。
そんな時代を迎えるにあたって必要なのは、企業も個人も成長できる環境づくり。企業の発展が個人の成長に繋がり、個人の成長が企業の発展に繋がる。
そんなことは前から言われているしわかっているという声が聞こえてきそうですが、それに本気で向き合っている企業が多くないので、社内で本音を話せない(聞けない)のではないでしょうか?
必要なのは本音で話せる相手
私たちキャリアコンサルタントは相談者の方とは上司部下という関係性でもないですし、基本的には利害関係はないので、俯瞰した立場でお話を聞いています。その方の人生にとって何が大事なのか、今の会社を辞めた場合のメリットとデメリットの割合はどうか、衝動的に考えてないのか、ご家族はどう思っているのか… 多角的な視点から本音で向き合っています。
なので、時には「退職しないほうがいいですよ。」とか「今の環境からの逃避ではないですか?」といった少し耳の痛い話もすることもあります。もちろん逆に「チャレンジしてみたらどうか?」「今始めておけば将来の準備ができますよ。」とやる気を後押しし、新たな場所に旅にでることを素直に応援もしています。
忖度する必要がないので、みなさんも本音で相談してくれるのではないかと思っています。
組織を越えた相談相手の存在
社内で本音を話せ、個人を応援しあえる環境になるのはまだ少し先になりそうです。では、今できることは何かというと、組織を超えた相談相手を見つけることです。
私たちエージェントもそのひとつですが、複業もまたひとつのきっかけになるのではないでしょうか。
今いる組織以外で仕事をすることで新たな出会いが生まれます。一緒にプロジェクトに向き合うのでお互いの信頼関係も深まっていきます。自社では出会えなかった人生の先輩や違う立場の方に相談してみたら、忖度なくアドバイスをもらえるかもしれません。
実際、RD LINKにご登録いただくセカンドキャリア層の方々の話を聞くと、「自分の経験を後進のために使いたい」「組織のしがらみを離れて役に立ちたい」とおっしゃいます。多くの成功と失敗を経て今を生きているベテランからは、忖度ない意見が聞けると思います。もちろん、応援してもらったからには、本気で自己実現に向けて進んでいくことがその方に対しての礼儀ですよね。
またベテランの方でも、組織を越えたしがらみのない世界で同年代の方と話す機会や、若い方々からの本音のキャリア相談に乗る機会があることで得られる、新しい価値観や気付きがあるのではないでしょうか。
今回事例としてご紹介した若手社員のMさんやベテラン社員のWさんのように、キャリアのモヤモヤを抱えている研究者や開発者、理系専門職の方は多いのではないかと思います。
社外メンターという形以外でも、私たちでよければいつでもお声がけください!多くの方が「自分が働きたくて働いている」という社会を実現すべく、私たちRD LINKも進んでいきます。
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