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Recycle Mafia #3-3 parallel world
目の前に迫る銀色の影。瞬間的に目の前が見えなくなっていた。
気が着くと、ベッドの上だった。
恐る恐る、包帯をはずし、鏡を見た。次の瞬間、涙が溢れた。
ナチは斜視の手術をしたことを思い出していた。
手術前は、まるで、自分だけが不幸を背負ったような顔をしていた。それが、簡単な手術で見事に蘇った。
手術後、今までの自分を恥じた。元通りの活発な生活に戻ろうとしても、戻れない自分にジレンマを感じた。
そ
Recycle Mafia 3-2 dark story
数秒・・いや、数分・・・いや、数時間。
いったいどれ位時間が経ったか解らない。
気を失っていた。
首の辺りが重だるい。
辺りを見回すが、何もない。ただの部屋だ。どこだ?ここはいったい。
ふと、前歯が無い事に気が着く。殴られ前歯を折られたことを思い出す。
「あの野郎!」
歯と歯のあいだから、呻きに似た声が漏れる。いつか仕返ししてやる。
だが、ここはどこだ?
そして、今どうなってる?
記憶を呼び戻
Recycle Mafia #3-1 outro(after the rain)
1年後・・・
月曜日 AM8:00
「おはよう!」
シンゴが事務所に入ってきた。ナチは「おはよ」とだけ言って、目はパソコンの画面と睨めっこ。
江東区木場のチョッと裏通り。
1階は店舗兼倉庫。基本的に作業場となっている。
2階は事務所兼溜まり場。寝泊りも出来るスペースとなっている。事務所内は清潔に保たれている。ナチは綺麗好きだ。
2階にある事務所は主にナチの作業場であって、パソコンが一台、プリ
Recycle Mafia #2-16 make story
老人は全て素直に語ってくれた・・・・とは思わないが、そう信じる以外3人に選択肢は無かった。
この場所に連れて来られた理由。
そもそも、この場所。それは、横浜の中華街のはずれにある巨大な中華飯店「桃源楼」は、横浜を拠点にする、中華マフィアの本部だ。
中華マフィアと言っても、上海、北京、福建、東北系、台湾、香港、と色々な勢力があるが、ここは今一番勢力がある福建マフィアの本部だ。
数年前までは、歌舞伎
Recycle Mafia #2-15(045)
「老板(ラオバン)お連れしました。」
シンゴ達は中華レストランの奥の個室に通された。
老板とは、中国語で、「社長」という意味。
個室の入り口では、スーツを着た色黒のアスリート体型の、ヤクザというよりどちらかと言うとスポーツマン風の男2人がシンゴ達を迎えた。
部屋に入って驚愕した。
円卓を挟んで、真ん中の椅子にどっしりと座っている男、いや、老人。
「ラオバン」と呼ばれていた老人。
「オーナー・・
Recycle Mafia #2-14 collect(893)
撒いたと思った。
後方に見える車。気にしない事にした。きっと、関係ない。
インプレッサはそのまま大黒ふ頭方面に行くしかなかった。
大師の料金所を通過し、浜川崎で降りた。
この場所は平日はトラックで混雑しているが、日曜日の朝ともなれば、すいすいだ。
「!」
後方から二台スポーツカーの独特の野太い排気音が迫ってくる。
ピッタリ後ろに付いた。
ミラーをみて、絶望した。
GTRだ。
日産GT-R。スカ
Recycle Mafia #2-13 collect(逃走)
日曜日の爽やかな朝に黒服。
完全に普通の人間じゃない。
893。
このワードしか思い浮かばない。
イチは、シンゴに視線を素早く飛ばした。シンゴはナチに同じ事をした。ナチの目は真っ直ぐシンゴの目を捉えた。
(逃げるぞ)
この893どもが何者で何目的かは解らないが、身の危険が迫っているには変わりない。カトウは置いていくつもりだった。
最初の予定。
真美と明をまだ救っていない。ここでカトウを離したら
Recycle Mafia #2-12 collect
「やめろ!!」
何かに取りつかれたように、カトウの首に腕をからめたイチにシンゴが怒鳴った。
ふと我に返ったようにイチがその腕を緩めた。
「なんでだよ。こいつは俺がヤッてやる。後のことは任せろよ」
イチがシンゴをにらみ言い返してきた。
「ダメだよ。」
ナチが言った。
するとイチは腕を解き、悔し紛れにカトウの腰当たりを蹴って言った。
「そうだったな。で、どーするんだこいつは」
すると、カトウ
Recycle Mafia #2-11 attack 3
玄関を開けるとすぐに上がり階段がある。
靴を脱いで、階段を上がる。心臓の鼓動が止まらない。
二階に着くと、廊下があり突き当りの部屋に入って行く。
冬なのに冷房がかかっている。乱雑にひかれた布団。端の方に盛り上がりがある。
恐る恐る布団をめくると、Tシャツ短パン姿の髪の長い女性が横たわっている。
明らかな異臭。敷布団には血が固まったどす黒いシミと茶色、黄色の恐らく糞尿や嘔吐した後シミがある。女性を仰
Recycle Mafia #2-10 attack 2
餓鬼どもの溜まり場の公園から、トモの家までは車で10分かからない距離だ。
シンゴは、イチの話を聞くために一旦遠回りをしてから、ナチが見張りをしている公園に車を向けることにした。
ステアリングをにぎる手がかすかに震えているのが自分で解る。
少し広い小道に入って車を停車させて、シンゴが言った。
「さ、どういうことか説明してもらおうか」
「ゴメン。でも、俺なりの計算のうちなんだ。」
「予行演習ってか
Recycle Mafia #2-9 attack
「寝れた?」
午前6時イチからメールがきた。
眠れるはずがなかった。緊張と興奮で体がガチガチで神経も高ぶっていた。
ただ、気持ちはいくらか落ち着いていた。
「寝れないよ。でも、肝心な時に電池切れになるわけにはいかないよね。ハルシオンあるから飲んで寝るよ。イチは寝れそう?」
「大丈夫。俺も薬あるから。じゃ、おやすみ」
シンゴは不眠症で心療内科に今でも通っているほど、寝つきが悪いのだ。
ハルシ
Recycle Mafia#2-8 approach
金曜日
この日も爽やかな秋晴れ。
こんな日は、彼女と手をつないで、紅葉狩りにでも行きたい気分だ。しかしそれは叶わない。
そんな彼女もいないかわりに、周りにはむさ苦しい男ばかりだ。そして、狩るのは、もみじじゃなくて小汚い不良だ。人生損な役割ばかりを与えられるものだ。
この日、シンゴは群馬県富岡市の車工場からランサーを引き取り、上信越道から関越へ入り、少し渋滞していたが、外環へ入りそこから
Recycle Mafia #2-7 last plan
火曜日
澄み渡った青空。まさに秋晴れの朝を迎えた。
食欲の秋。運動の秋。読書の秋。芸術の秋。こんな爽やかなワードが並ぶのが普通の秋だが、シンゴ達の頭には、あのアキ。
朝から、どんより暗い気持ちと、逆に体を嫌でも突き動かす何かを感じていた。
昨夜話し合って、シンゴやナチはどうか解らないけど、少なくともイチは、何かすっきりするものがあった。
まだまだ、問題は山積みだけど、なんてい
Recycle Mafia #2-6 #third plan
秋の夜風を背中に受けながら、小走りで駅に向かう。
いつもなら電車とバスで移動なのだが、今日は仲間を待たせているので、タクシーで行くことにした。深夜料金なので、結構高いが・・仕方が無い。それに今日聞いた内容をいち早く仲間に伝える必要があった。
駅前でタクシーに乗り込むと、「木場公園まで」とだけ伝え、シートに深々と座った。
夜の荒川を渡り、江東区に吸い込まれていく。
空は晴れていて、月が良く見える
Recycle Mafia #2-5 second plan
人間の欲望は果てしない」
って誰かが言ってたっけ。
つまり生きるってことは、探求し続けることなのだ。
「生きる=DIG」
食べることだって、常に旨いものを探している。
寝るにしても、いかにいい眠りができるか、寝具の技術は進歩し続けている。
セックスだってそう。色んな器具や変態。多種多様なプレイがあるのだって人間だけだ。
どんなに、グーたらな人間でも、「いかに楽して暮らせるか」って事を探求してい
Recycle Mafia #2-4 first plan
秋の夜の公園。
噴水前のベンチで、明はひととおり話終えると、安心したようで、ポロポロと涙をこぼした。
イチはそんな明の肩をそっと抱き寄せ、頭をなでてやった。
「よく今まで頑張ったな」
「安心していいぞ。」
とだけ言ってやった。が、何の根拠もなかった。
でも心に誓った。奴らを許さない。この町、いや、この世界には要らない。自分でも、背筋が凍るくらい冷徹な思考が背筋を這い上がった。
真美を想った。不