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自律神経失調症の治療方針

今日は、地下鉄に乗って、トラウマケアのトレーニングコースの同期生の先生のクリニックへ。
グループで日頃の治療上の疑問や課題をコンサルテーションしてもらう勉強会です。

講師の先生は、浅井咲子さん。
一緒の空間にいるだけで、自律神経の調和のとれた空気が周りに広がるような、明るくて素敵な先生です。
自律神経のしくみについて、まだ医学書にも載っていない最先端の多重迷走神経理論を発見したポージェス博士のお弟子さんで、日本における第一人者の一人です。

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心療内科で出会う患者さんは、間違いなく非常に繊細な神経系の持ち主。
早く治したい気持はやまやまなのですが、そのような神経系を持った方では、強度の強い治療をしたくなって、そのたびに逆に神経に負担をかけて”ロックアップ”させてしまっているのです。

以前に「トラウマ治療の専門家ほどトラウマ治療をしない」という記事を書いたように、トラウマ記憶や症状を変容させる治療方針はとりません。

日常のちょっとした刺激で、すでに神経の興奮がバーっと高まる過敏なシステムを、少し上がってはこまめに解放して、自己調整ができる下地を作っていく作業を地道に繰り返す方針になります。

3分間診療で、ちょっとした世間話をしていて、どこが精神療法だ、というお叱りを受けることがありますが、実は浅くて現実的な話題を低刺激で繰り返すのが、神経生理学的にはとても理にかなっていたのです。

それでも、早く良くなりたい!
と願っている皆さんの代わりに、咲子さんに、日常生活で自分たちでもできる、心がけはないかと、質問してきましたよ。
咲子さんの答えは、

不快な感覚が始まったら、
周りを見回したり、聴いたりする、
不快じゃないものを探す、
タッピング、
腎臓タッチ、
数を100から逆に数える、
感情が刺激されない、単調な作業をする、

とのこと。
また、診察室で聞いてくださいね。

今日の言葉

神経を調整できるようになると「今ここ」に集中できます。
「今ここ」度が上がるほど人生は快適なものになります。
ー 浅井咲子


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