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「私たちが治るわけ」ができるまで

この、生態系のお気に入りの絵は、
僕は趣味で絵を描いたりしているわけではなくて、
実は、5、6年前に、精神障害の地域啓発事業の講演会を頼まれた時に、
そのスライドで使うのに、描いたものでした。

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「風景構成法」という、中井久夫先生が考案した心理療法があります。
箱庭療法をするように、画用紙上に指定されたアイテムを描くことで、
心の風景を投影して、治療者とともに解釈したり発見する方法です。

僕は、しゃべるのが苦手なので、
僕は自分の脳みその中にあったイメージを、
自分のために風景構成法を施行して、
それを通して表現しようと思ったのです。

自分の心理所見をオープンにするので、
それを見て、どうぞ自由に解釈してくださいと(笑)

大勢の前での講義や講演会は、多分、それが最後。
僕はあがり症なので、人前で話すのは大苦手。
苦手なことは、もうしないことにしているのです(笑)

精神科医療、精神保健、地域啓発活動の中で、
精神科医が講演会をすると言うと、

こころの病気の種類には、、統合失調症、うつ病、依存症、発達障害、、とかがありまして、、、
治療には、薬物療法、心理社会療法、環境調整が大事で、、
特に薬には、セロトニン、ドーパミンを調節する働きがあります。
病気の知識を学んで、偏見を持たずに理解してあげましょう。

という、疾病教育の話が、スタンダードだと思うのですが。
僕は、そういういわゆる、病気にフォーカスする話には、さらさら興味がないし、特に当時はRカフェの活動で、医療の脱中心化をテーマにしていたから。講演会の依頼があっても、全力で、断ろうと思っていたのです。

でも、なぜか、その時、病気の話しではなく、
回復へのおとぎ話だったら、伝えてみたい、と思いついて、
うっかり引き受けてしまったのです!

引き受けたはいいものの、講演前からドキドキして、
スタッフに泣き言を聞いてもらったり、何度も発表練習に付き合ってもらったり、もう、大変でした(笑)

その講演会のタイトルが、

「私たちが治るわけ」

これ、ちょっと、我ながら、いいネーミングですね。
本のタイトルにして、一冊かけそうなくらい(笑)


手術や抗生剤など、医療がどこまで進歩して病気を治しているように見えても、私たちに元々働いている、回復のちからを補助したり、邪魔しているものを排除したり、しているだけ。
医療や病院が治しているのではなく、治るちからを持つ主体は、私たちの方にだけある。

知らなくても、意識してなくても、忘れてても、拒否しても、
既に完璧に働いている、広大な自然の調和の働きの中にいる。

こうして、この、子どもの落書きみたいな、
紙芝居みたいなスライドができたのでした。

精神病で苦しむお子さんを持つお母さんたちの家族会、
当事者のみなさん、地域で当事者さんを支える苦労を知っている現場の福祉施設の職員さんを中心に、たくさん集まる会だったので、

絵空事のような話に聞こえるかな、と思ったけれど、
後で、そんな話は聞いたことがなかった、面白かった、と、家族会のお母さんが喜んでくれていて、嬉しかったです。

そして、当日はもちろんテンパっていて(笑)、
僕は何を話したか記憶に残っていないのですが、
後日、家族会のお母さんが、講演内容を会誌に残してくれていました。
そんな、いい話し、話した覚えないけどな…(笑)
と思うくらい、端的にまとめてくださった。

それを、天才当事者スタッフほたて氏が案内ボードを作ってくれて、
Rカフェに掲示していたものが、これ! 

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