「自立とは依存先を増やすこと」~熊谷先生の言葉から
自立とは依存先を増やすこと!
依存症という病気があります。
依存症というと、世間的にはあまり良いイメージがないのですが、
最近読んだ本で、ハッとしたところがありました。
困ってる、助けて、が言えなかった人。
人を頼って依存することができなかった人。
でも、人は誰でも、
たくさんのものに依存することなしには生きれない。
依存先が少ないと、自分ひとりで頑張るしかない。
だから少ない依存先に、依存度が深くならざるを得ないのが、依存症。
だとしたら、自立はとは?
ほんとに、そうだなぁ、!
と思ったのです。
わたしもあなたも依存症!
依存症は、人ごとじゃないですよ~。
わかっちゃいるけどやめられない、
スマホがないとソワソワする、スマホ依存。
仕事が忙しい、家が忙しいと、
本当に大切なことは見ないようにしてしまう、
ワーカホリック。
パートナーへの依存もある。
不満や怒りを抱えつつも、健康さえ害してまでも、
なぜかいつも距離が取れない。
求められる立場への依存、
放っておけない!、自分がいないと大変!
という怖れにとらわれて、
世話係を譲れない、共依存。
やることがないとソワソワする、
何かしていないと、どうしていいかわからない、
やることのない休日、定年後が怖い。
誰かに割り振られた、役割に依存して生きてた。
。。。全部自分の事のようです。
依存症は、僕たちに多くのことを気づかせてくれる。
僕たちは依存症ではない、のではなく、
むしろたくさんの依存症にかかっているお陰で、
深い依存症にならず、薄まっていただけですね。
依存症からの回復とは、依存先を増やすこと。
自立と依存をカン違いしてるなぁ、と思うのです。
自立をカン違いした私たち!
学生さんや若者たちはどうでしょう。
社会に出て一人前になるとは、自分一人で生きていく力をつけて、人に頼らずなんでもできるようになることだと、思ってませんか。
そして孤立し、かえって苦しくなっていませんか。
そこの働くお父さんは、どうですか。
大人として自立することとは、一人の社会人として強くなること、職能を高めること、何か勝ち得ることと思って、周りと比較して、マウントの取り合いしかなくなって、もうそんな競争社会に疲れ果てていませんか?
若いママさん、
いつもニコニコ、褒めて育てる、いいお母さんになることだと思って、しっかりものにならなきゃって。弱音も言えず、ヘルプも言えず、たったひとりで頑張って、コントロールできない感情を抱え込んでいませんか?
そこの患者さん、
社会復帰とは、自分でできることを増やして、人に迷惑かけず、なんでもちゃんとできる人間になることだと思って、力を入れすぎて身動きとれなくなっていませんか?
みんなそうやって、どこかカン違いした自立を、
カン違いした大人から教えられて、世代間連鎖して、
そんな孤独な世界を作ってしまったんだと思うのです。
ほんとうはみんなチョー弱い!
カン違いの自立に向かって行くほどに、
孤立し、より深く分断され、
ほんとうの繋がりが見えなくなってしまった。
でも、僕たちは元が、とんでもなく脆弱な動物です。
食餌も水も、住むところも、寒さから身を守ることも、
何一つ自分で準備することができない。
農家のヒトや、工員さんや、街の多くのヒトに頼らないと、
一日たりとも暮らしが成り立たないんです。
本当は、人間、みんな弱い。
弱いから、人と人が繋がり、
助け合って、共同体を作り、
かろうじて絶滅せずに済んでいるのが人間。
依存することが、人類の強さの秘密だったのに、
なぜか頼ることが恥ずかしい感じになって、
見せないようにしたのでした。
人間は弱いからこそ希望!
ヒト種は単体であれば、ヨワヨワで、
ほんらい絶滅危惧種な立場にある存在です。
絶望的に弱くて、そもそも一人で生きていける希望なんて、
最初からなかったのです。まぼろしです。
かわりに、すごい依存的な生態系を持っていて、
誰かに頼るしなかく、一人で生きていけない、
ロクデナシのスネカジリは、人の本性なのです。
そんな残念な自分に絶望するのも、
当然と言えば、当然にも思えてくるのです。
診察室で、いつも思うんですが、
正気な人ほど、この絶望に気づき、
目を背けずに、真剣に生きている。
その絶望を聞いている時、
僕はどこかで、患者さんに依存している。
だって、その絶望を分かちあってくれる人に出会えたから。
人は絶望するものなのでしょう。
絶望してもいい。
熊谷先生は、こう言っています。
ここまで絶望的な状況で、
助けられながら、たまたま生かされている、
そしてそんな人同士が出会うことができる、
そんな体験ができる、唯一の動物。
絶望を分かち合える誰かがいることが、
人の持つ根源的な希望なのだということなのですね。
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人と人のつながりを取り戻せる場、
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みんなでご飯を作って、
過ごすひとときです。
一緒に何か繋がりを持ちたい~!という人、
クリニックに声をかけてくださいね。
・熊谷先生の参考記事
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