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祖父がいる球磨村に10代で就農、球磨川水害を乗り越え

今回は、球磨村で栗、タケノコ、米などを栽培されている若手農家・平海斗さんに就農の経緯や今後チャレンジしたいことなどを伺いました。( 2024年2月)


平海斗さんプロフィール

10代で就農し4年目。球磨村でたけのこ、栗、米、しいたけなどを栽培
4Hクラブ(農業青年クラブ)に所属

テレビ朝日「二十歳の挑戦」

AGRIくまもと「フレッシュな人たち」

祖父からの熱烈なオファーと両親の後押し

ここ球磨村に就農して、現在4年目になります。元々は、大学卒業後に就農する予定だったのですが、祖父からぜひすぐに継いで欲しいと言われ、高校卒業後すぐに球磨村に来て就農しました。「大学の分まで俺が教えてやる!」と祖父からとても熱烈なオファーがありましたし、自分自身も早くやってみたいという思いも強くなり高校卒業後に就農しました。父が佐賀出身だったこともあり、高校までは佐賀に住んでいました。父の実家よりも、母の出身地である熊本・球磨村の方が子供のときから遊びに来ていたので私自身親しみがありました。また、母が生まれ育った家やその農園が、そのまま無くなってしまうのは寂しいという思いが両親にもあり、ぜひとも私に農家を継いで欲しいという後押しもありました。


就農1年目に襲った水害

球磨村に来て約3か月後、西日本を中心とする大雨災害が発生し、自分の家も大きな被害を受けました。川そばにある家は基礎や石垣が半分くらい川の水流でえぐられて川の方にいつ崩れてもおかしくない状態でした。棚田もあちこちの石垣が崩れたり、川にかかっていた橋も流されたりしました。災害直後は、両親と連絡できましたが、1日過ぎると電話が繋がらなくなり、約3ヶ月間音信不通になりました。農業を始めたばかりで、まだ慣れていない時期だったので、右も左も分からない状況になりとても大変でした。そのような大変なスタートでしたが、なんとか軌道に乗り今は楽しく農業を続けています。

令和2年7月豪雨:球磨川水害
 

若手農家の試行錯誤や喜び

現在は主にたけのこ、栗、米、しいたけを育てており、メインはたけのこと栗です。販路は主にJA(農業協同組合)さんですが、個人での注文にも対応しています。私がJAさんの広報誌に掲載された時、それを見た方がぜひ作物を使いたいと言ってわざわざ東京からご連絡をくださいました。その方には、今でも継続的に購入いただいております。

お米の栽培に関しては、収支は厳しい状態です。球磨川の水を使っているのでお米が美味しいと買いに来てくれる人もいるのですが、川の水だと病気が発生しやすく、それを抑えるために農薬を使うのですが、農薬が高く赤字の原因の1つになっています。そのような状況もあるため、米を減らして薬用生姜を作ってみたいとも考えています。生姜は収益率も高く田んぼでも栽培できるので、無理にお米を現状維持するよりも食べる分だけ作って方向転換をした方が現実的ではないかなと思っています。

また、乾燥椎茸も扱っています。その乾燥機を使いタケノコを乾燥させて、メンマなども販売していけたらと思っています!4Hクラブ(※)に入っているのですが、そちら経由で、広報誌や新聞への掲載、テレビの取材・放映などたくさん取り上げて頂きました。球磨村に10代の若い農家が来てくれたことが珍しかったみたいです。

※4Hクラブ(農業青年クラブ)
将来の日本の農業を支える20~30代前半の若い農業者が中心となって組織され、農業経営をしていくうえでの身近な課題の解決方法を検討したり、より良い技術を検討するためのプロジェクト活動を中心に、消費者や他クラブとの交流、地域ボランティア活動を行っているのが、4Hクラブ(農業青年クラブ)です。 https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/4hclub.html

いろんな作物を栽培していますが、収穫の時期が一年で最も楽しい時期です。作物は、手をかけた分だけちゃんと応えてくれますし、そこが農業の一番の魅力です。量が多ければ多いほど作業は忙しくなりますが、今まで育てたたくさんの作物を収穫する時が一番やりがいを感じる瞬間です。

機械化で作業を効率的に

現在、お米の栽培に関しては、主に人力で作業をしているので、もっと機械化を進めていきたいと考えています。この地域は、山間地で、棚田ということもあり、大型の機械は導入できませんが、人力だととても時間がかかっており、機械化できると、その分空き時間ができ、別のことに時間を有効活用できると考えています。田んぼをおこして田植えするまでに大体1ヶ月近くかかり、田植えが終わってからもかなりの作業時間を要しており、さらには、祖父が心臓の手術をしたので、現在は、1人で作業を進めており、その分より時間がかかっているので、機械を導入して、効率化を図りたいと考えています。
機械がない時代は、満月の夜は月の明かりで作業をしていたと聞ききます。夜の綺麗な情景の中で、時代の流れに逆らい、かつてのように人力で農作業するのも悪くないかもしれませんね(笑)


今後チャレンジしたいこと

耕作放棄地を活用して農地を拡大したいとも考えています。地域の跡継ぎがいない田畑を放置していると荒れてしまい、イノシシやシカなどによる鳥獣害が増えている現状もあります。耕作放棄地の活用により、田畑を守ることはさることながら、地域活性化にも繋がると思っています。今はまだ情報収集の段階ですが、耕作放棄地を活用して、カボチャなど新しい品目にもチャレンジしていきたいです。

また、今後、村おこしにも関わっていきたいです。このままいくと球磨村は、人が減っていくばかりです。農業視点からでも、村を盛り上げていきたいなと考えています。人吉球磨地域でも、若手農家が増えていたり多い地区もあります。自分の強みでもある若さも生かして積極的に活動出来ることはしていきたいです。

若手農家としての取り組みや考えを伺うことができた貴重な取材でした。
人吉球磨・農業未来プロジェクトでは引き続き地域の若手農家さんの取材を続けていきます。次回の取材記事もお楽しみに!


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