お爺ちゃんの代から受け継がれる、未来を実らせるぶどう農家
湯前町で葡萄やお米を栽培している久保田ぶどう園さん。現在、父・母・祖母そして息子の大翔さんの4人で家族経営をされています。息子の大翔さんに就農の経緯や今後についてお伺いしました。(2024年7月)
久保田 大翔さん(23歳)プロフィール
南稜高等学校を卒業後、葡萄の勉強をするために岡山県の農業大学校へ。卒業後は、家業を継ぐため地元に戻り、家族で葡萄を1町3反、米4haの栽培に励んでいます。現在3年目、だいぶ作業にも慣れてきたそうです。
地元の人に長年愛されている葡萄
お爺ちゃんの代から3代目。もう50年ほど葡萄を栽培しています。7割ほどが直売所で販売され、あとはJAやふるさと納税で販売しています。ネット販売も良いとは思っていますが、地元の人へ販売を大事にしたいと考えています。
毎年8月から販売がスタートします。たくさんのお客様に直接購入してもらえて、反応をダイレクトに感じることができるので嬉しいです。やっぱり良いものをつくりたいと思いますね。チラシを作り直売所で直接購入される方にお渡ししています。口コミも広がっており、ありがたいです。今は、なるべく地元の人に売りたい、食べてもらいたいのが一番ですね。
研究熱心な父。わたしはやっと栽培が慣れてきた
私はまだ3年目なので農作業で精一杯ですが、父はとても研究熱心です。YouTubeで調べたり、農水省に新しい情報などが出てくるとすぐに購入して試しています。とても楽しんでいるなと思います(笑)現在は26品種あり、15品種を販売しています。残り11品種はまだ試作段階です。雨が少なければいいですが、こちらは雨が多いので、すぐに腐ってしまう。そういう品種を大量に作ると手間がかかってしまいます。そのような品種を減らして、栽培しやすく単価が高い品種を作れるようにしたいなと思っています。そのために新しい品種に挑戦して転換しています。
葡萄は種なしぶどうにするジベレリン処理もそうですが、栽培に手作業が多い品目です。特に「切る」作業は手間がかかります。「切る」というのは粒を大きくするため100粒ある実を40粒程度に減らす大事な作業。慣れている人は一房1〜2分ほどでできますが、どの粒を減らすか経験も必要な工程です。それを2万房。とても手間がかかる作業ですが、うまくいくと嬉しいです。
高校生までは手伝いをしたことなかった
高校生までは部活をしていたこともあり、1度も手伝いをしたことがなかったです。「葡萄をつくってるんだ、、」と思っているくらいでした(笑)
家業を継ぐつもりもなく、小さい頃から親も「継がなくていい」と言っていました。そんな甘いもんじゃないと、苦労をさせたくなかったのかもしれないですね。しかし、中学生の頃に口では継ぐなというのに、興味をそそるようなことを言ってきました。車も買えるんだよとか(笑)頭の片隅にはあって、継ぐのもありだなと気持ちが変化してきました。
今後挑戦したいこと
両親とも話をしていますが、父が趣味でやりたいといっているのがサクランボやブルーベリーをプランターで栽培をすることです。直で植えるのではなく、プランターで植えることで直売所でぶどうを販売しながら収穫するという構想をしています。SNSでみて自分もやりたいと思いました。
他に私が考えているのは、人を雇うのではなくパートナーとして同じ年ぐらいの人と共同経営をする形も面白いのかなと考えています。まだ今は父がメインでやっているので、私の代になってから考えたいです。
ぶどう栽培の世界に入って3年目の大翔さん。ぶどうを楽しみながら育て、地元の人との交流も大切にしながら農業を行っています。できることをできる分だけ。地産地消で、結果的に消費者も生産者も笑顔になる農業だと感じました。
人吉球磨・農業未来プロジェクトでは引き続き地域の若手農家さんの取材を続けていきます。次回の取材記事もお楽しみに!