たかが着るもので運命が変わることがあるとしたら。
私は服が好きで、着物が好きで、衣裳の仕事もしている。
着るものの力というものを、信じている人間だ。
でも、子どもの頃は、服が嫌いだった。祖母の代からの洋服屋に生まれたくせに。
そんな私が、ファッションが好きになるまでと、ファッションで得たものにより人生が変わった話をしたい。
好きなものを選べない子ども幼少期は内気で、よく泣く、自分の意見を言うのが苦手な子どもだった。「好き」「嫌い」「YES」「NO」も言えない子だ。
ある程度の年齢になれば出てくる洋服の好みも、特にな