ウナギのハードル下がりました
鰻を食べるって"幸せ"
電車に乗ってるとそんな広告が車内で埋め尽くされていました。
空腹をそそる悪魔のような広告でした笑
この広告のお店は、
フランチャイズジネスインキュベーション株式会社が運営する「鰻の成瀬」
長く続くお店ですが、近年急拡大しており、何故そんなに成長しているか興味をもったのでマーケティングトレースしてみました。
あと単純に食べたくなりました、、
鰻の成瀬の概要
「鰻の成瀬」は、伝統的な鰻料理の提供を続けながら、最新の技術革新やデジタル化に向けて成長し続けてきた企業です。
直近1年7ヶ月ほどで150店舗以上に拡大し、急成長を見せています。
ここ20年、特に2010年代以降に鰻の資源が減少し、養殖業界全体が転換を迫られる中で、鰻の成瀬は持続可能な養殖技術に積極的に投資して導入し、デジタル化にも対応して業績を伸ばしてきました。
直近の成長ポイント
オンライン販売の強化:自社ECサイトや楽天市場などのプラットフォームを活用し、全国に向けて商品を販売。 特にコロナ禍でEC市場が急成長し、成瀬もその波に乗る形で売上を拡大しております。
持続可能な養殖技術の導入:自然環境への配慮を強化し、鰻資源の保護を重視した養殖技術の開発に成功しました。これにより、ブランドイメージの向上やエシカル消費層からの支持を得ました。
PEST分析 鰻業界の現状
「鰻の成瀬」の属する鰻業界について、マクロ分析を行います。
PEST分析から市場環境について紐解いていきます。
近年、ニーズの高いエシカル消費や健康志向に合った商品、また最先端技術を活用した生産管理により、「鰻の成瀬」は安定かつ効率的な事業を作っています。
5FORCE分析 鰻市場で求められるニーズ
5FORCEから考察できることとして、「鰻の成瀬」長年培った伝統的な味、技術により、高価格帯ながらもニーズの高い鰻を提供しているが、時代の変化に合わせて低価格帯の代替魚介類や健康志向食品のニーズが若者を中心に全国的に広がっており、これらの層にアプローチをかけることが市場シェアの拡大につながる可能性が高い。
3C分析 成瀬の強みとは?
鰻の成瀬の顧客特徴
鰻の伝統的な味を好む中高年層、観光客、ファミリー層でたまの休みや観光で少し豪華に楽しみたい層で消費されていると推測。
優位性
独自技術による養殖産業のシステム、ECサイトや多方面の地域PR展開による全国流通、地域ブランドとしての地位の確立。
競合
他の老舗鰻専門店や全国展開するファストフード系の鰻料理店等があり、低価格帯を売りにする競合他社が多い。
STP分析
コスト面や健康志向を重視する若年層や近年のファミリー層等に対し、低価格帯ながらも伝統的な美味しい味を提供し、全国的な店舗展開とECサイトの強化による速い価値提供を実現することにより、鰻=高級・敷居が高いというイメージを覆し、「気軽さ」を伝えている。
4P分析
若年層や近年のファミリー層へ「気軽さ」を備えた鰻の提供を実現するためのマーケティングミックスを分析する。
商品(Product)
伝統的な味だけど安定的な低価格商品を実現
①機械化による人件費削減
②完全養殖技術
価格(Price)
高級路線を基本としつつも、幅広いメニュー展開により、観光客や高所得者層だけでなく、ファミリー層や若者にもアプローチして多様な顧客ニーズに対応。
①プレミアムメニュー⇒観光客、高所得者向け
②平日のランチセットメニュー⇒地域のファミリー層や若者向け
流通(Place)
地域向けの全国店舗展開のほか、ECサイトでのオンライン販売も強化してどこでも楽しめるような提供
広告(Prootion)
・SNSやWEB広告を活用した、安全性・低価格を身近に感じられる商品の展開。店舗でのQRコードを利用したデジタルクーポンやレビュー投稿促進キャンペーンにより、顧客のオンラインシェアを促進。
ポイント
・伝統的な味を維持しつつ、独自の技術で安定的な低価格商品の提供を、SNS等を活用してPRしている。
・店舗来店からオンラインへの取り込み、駅広告からオンライン商品の検索等、多方面からの消費導線を確立。
「鰻の成瀬」の組織構造・文化・経営方針
組織構造
伝統を重視する一方で、スキル化が問われる鰻の調理を機械化した革新的な技術導入や地域に根差したFC展開により市場拡大を推進する柔軟な組織体制を取っている。
養殖技術や生産管理に関する最新の研究を積極的に導入し、IT部門はECサイトの運営やデジタルマーケティングを担当。
官公庁や自治体とも連携強化し、売上だけでなく天然鰻の保全と養殖による安定供給を全国的に展開。
文化
「伝統を守りつつ、革新を恐れない」経営が根付き、職人の技を継承しつつ、若手社員が新たなマーケティング手法や技術を導入し、時代に適応。
社員教育においても、鰻の調理技術だけでなく、マーケティングやITスキルの習得を奨励。
調理も機械化による安定化。
経営方針
・顧客満足度を最優先し、高品質なサービスを提供。
・環境負荷を減らすための養殖技術や資源管理を重視。
・国内外の市場をターゲットに、地域と協力したブランディングと観光客向けサービスの強化。
収益ドライバー
高所得者や外国人向けの高価格帯メニューの販売により1店舗あたりの売上を上げつつ、SNSや駅広告等により、若者のリピートを上げる。
オンラインでの関連メニュー販売でクロスセルしつつ、店舗にも呼び込んで回転率アップ。
・観光客向けの売上:観光地の店舗展開やオンラインプロモーションによる売上増加。
・オンライン販売の拡大:ECサイトでの家庭用・ギフト用鰻の販売が急成長しており、オンライン経由の収益が増加。
成功のポイント
持続可能な養殖技術の積極的採用⇒環境保護と高品質な供給を両立。
伝統と革新を両立し、高級志向の顧客層/観光客と地域の若年層/ファミリー層の両方をターゲットにした戦略の成功。
地方自治体との連携による地域ブランドの確立と、自治体観光促進施策との共同PR、公共交通機関での広範囲な宣伝広告による認知度向上。
もし自分がCMOなら?
海外向け、高所得層向けのPRによる高級路線のさらなる強化
海外での地方向け商品のPRイベントで、養殖鰻の試食会やタレント・インフルエンサーによる広報を行って、高品質かつ低価格の鰻の認知度アップ。
観光客向け(都市部・海外店舗限定)の限定コースや季節限定メニューの展開。
サステナブルな取り組みの推進
鰻の資源問題を背景に、持続可能な養殖や資源保護に注力し、エシカルなブランドとして展開している。
官公庁や自治体のイベント等で積極的にPRするほか、SNSやメディア等で、味や低価格だけでなく、「健康に良い」「たくさん食べても自然を害さない」をさらに広報する。
グローバル市場の開拓
アジア諸国や北米市場での日本食の人気が高まっており、鰻料理のニーズも高い。
海外への店舗展開において、海外限定メニューを出すほか、高級レストランやホテルとの提携により、ブランド拡大していく。
地域観光とのコラボレーション
鰻は未だに「高い」という認識が高く、地元観光地と連携し、観光客向けのPRや地域限定メニューの開発を進めることで、地域住民の鰻に対するハードルを下げ、チェーンの寿司屋やファミレスレベルの気軽さを認知させる。
特に、自治体が進める観光促進キャンペーンや「地方創生プロジェクト」への参加を通じて、地域の観光資源と連携しながらブランド認知度を高めていく。
顧客体験の強化
オンラインで楽しめるといっても、やっぱり店舗での顧客体験の方が重要したい。高級鰻のイメージであった非日常性の空間をFC展開するほか、高い栄養価、低価格を全面的に押し出し、「敷居が高くないのに、満足」「ふらっと鰻が食べられる」を実感できるような手軽さを提供
予想される収益インパクト
上記の戦略により、成瀬は以下の収益インパクトを見込める。
高価格帯商品の売上拡大:プレミアム商品ラインや特別メニューの展開により、高価格帯の売上が増加し、利益率が向上。
新市場での売上成長:グローバル市場や新たなターゲット層(健康志向、エシカル志向)への進出により、新規顧客の獲得、売上の多角化が見込める。
観光客の需要拡大:地元観光と連携したPRを通じて、国内外の観光客の需要を取り込み、店舗の来客数や地域での売上が増加。
鰻の成瀬は、鰻=高いを覆し、親しみやすいものとして根付けました。
これは、高い技術による安定的な養殖鰻の供給と地域住民等の多方面へのPRの成果だと思います。
私も明日、足を踏み入れたいと思います。
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