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地学メモ:幌満かんらん岩、花十勝(黒曜石)、湯河原沸石

2024浅草石フリマ春クレタミネラルさんのブースにて鉱物を3点購入したので、ここに記録を残します

幌満かんらん岩

かんらん岩(レルゾライト)

北海道様似町幌満挟で採取された「かんらん岩」です。
北海道様似町のアポイ岳は「幌満かんらん岩」でできた山として有名です。

幌満挟はアポイ岳の東方に10キロにわたって続く峡谷で、こちらでも「かんらん岩」を多く見ることができます。

「かんらん岩」は水と反応して蛇紋岩になるため、アポイ岳のように「かんらん岩」でできた山は珍しい存在です。

ちなみに、この反応を化学式で書くと以下になります。
5Mg2SO4 + 4H2O = 2H4Mg3Si2O9 + 4MgO + SiO2
カンラン岩 + 水 = 蛇紋石 + (水溶性物質)

かんらん岩は地上では珍しいですが、地球内部の厚さ2900キロメートルもあるマントルの上部は「かんらん岩」でできており、ある意味では最も普遍的な岩石と言えます。
40キロの地殻を掘り起こして、その下にあるマントルの「かんらん岩」を採取するのは現在の技術では不可能ですが、プレート同士が境界でぶつかり合って地上に押し上げられることで「かんらん岩」が地表に露出することがあります。
アポイ岳もそうやってできた山です。

かんらん岩を拡大してみると、黄緑色のかんらん岩の他にも、濃い緑色の斜方輝石、明度の高い緑色の単斜輝石が含まれているのが分かります。
これらの単斜輝石と直方輝石を全体の10%以上含む「かんらん岩」をレルゾライトと呼びます。
今回に購入した「かんらん岩」も表面に濃い緑色の部分を多く見ることができます。

表面がオレンジ色に風化している

「かんらん岩」は風化するとオレンジ色になりますが、今回に購入した「かんらん岩」のもう片方の表面はオレンジ色になっています。

花十勝(黒曜石)


黒曜石、花十勝

北海道の上士幌(かみしほろ)で採取された黒曜石です。
以下のサイトによると、音更(おとふけ)川、士幌(しほろ)川、居辺(おりべ)川で採取される黒曜石を花十勝とも呼ぶようです。

黒曜石は、シリカ成分の多いマグマが地表で急冷してできる火成岩の一種です。(急冷以外の要因もあるそうです。)
ちなみに、このタイプのマグマがゆっくり固まると流紋岩になります。

内部がガラス質になっており、欠けた部分では透明感のある貝殻状の割れ口が見られます。
現代では観賞用の水石として利用されますが、旧石器時代には鋭利な石器として利用されました。

黒曜石の表面にはしわがあり、白っぽい色をしています。

湯河原沸石

湯河原沸石は「神奈川県の石」として認定されている有名な鉱石です。

湯河原沸石(静岡県の大洞林道で採取されたもの)

私は以前に生命の星・地球博物館が主催するイベントで、昭和初期に描かれた「神奈川県鳥瞰図」や「湯河原温泉案内図絵」を見ながら、現在の湯河原温泉の地形を観察するイベントに参加したことがあります。

そのイベントでは地層だけではなく町の歴史についての解説もあり、地域の自然と歴史を人々に伝える博物館の役割の大事さを改めて感じることができる良いイベントでした。

そのイベントにおいては、不動滝へも行き、湯河原沸石についての解説も聞きました。
アマチュア鉱物研究者の櫻井欣一氏が、温泉場近くの不動滝で新発見したのがこの湯河原沸石です。
後に、氏はこの湯河原沸石の研究により博士号を取得しました。

湯河原沸石の成分はカルシウム、アルミニウム、ケイ素で、これらの鉱物と温泉の化学反応によりできます。
化学組成は CaAl2Si6O16 + 4H2O です。

不動の滝の湯河原沸石は天然記念物に指定されており、現在では採取が禁止されています。

ですが、他の場所でも採取は可能で、静岡県土肥町の大洞林道のものが有名です。
今回に購入したのも大洞林道で採取された湯河原沸石です。

とは言え、大洞林道でも湯河原沸石の採取は難しく、滅多に市場で見かけることはない石です。
フリマでこの石を見かけた時は、とても驚きました。(しかもものすごく安かったので、2度驚きました)
こんな希少な石が格安で販売されているとは、さすが浅草石フリマだと感心しました。