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1人の旅行の話

 刺激がほしくて旅に出た。

 何だか最近、仕事もマンネリ気味だし、休みの日もだらだらと過ごしがち。

 こんな日々、変えないといけないと思いつつほぼ無意識でつけたテレビで海外旅行特集がされていた。

 それからは早かった。ホテルとチケットを取って、有給申請して荷物詰めた。

 そして今、ついにスペインの空港に着いた。既にヨーロッパの雰囲気が漂っていてドキドキする。

 それと同時に一気に不安になった。比較的治安はいいとはいえ海外。トラブルに巻き込まれないかとても不安になった。

 タクシーかバスかどっちかで悩んでいたら、男性に声をかけられた。

 「あんた、日本から来たのかい?」

 「は、はい。」

 めちゃくちゃ綺麗な日本語に驚きながらも返事すると、その人はタクシーを止めて私に言った。

 「乗りな。」

 私がキョトンとしている間に、キャリーケースを押し込められ、ついでに私も乗せられた。

 その人は助手席に乗って運転手に何かを話している。

 変なところに連れていかれたらどうしよう、と思っていたら、着いたのは何と私が泊まるホテルだった。

 何で?!と思っていたら彼がこちらを見て微笑んだ。

 「あんたが持ってるメモ見えちまってな。俺、日本に行ったときに同じ事してもらったんだよ。そのときに困ってるやつがいたら助けてやれって言われたんだ。」

 そう言って荷物まで下ろしてくれた。せめてお代をと渡そうとしたら断られた。

 そして、彼とタクシーの運転手はこう言って去っていった。

 「スペインへようこそ。」

 まだ着いてから1時間も経ってないけど、私はこの国が好きになりそうだ。

 以上、らずちょこでした。

 ※この物語はフィクションです。

 ここまで読んでくださった皆様に感謝を。

 ではまた次回。

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