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≪rayout Deep Stories No.24≫馬場 航 - 仕事中毒の人格に潜む光と影


2025年1月某日、rayout社内、21時過ぎ。

一般的に、ベンチャー企業や広告業界は夜遅くまで働くというイメージがつきものではあるが、時代は令和。rayout社内もこの時間には静まり返っている。




1989年に「24時間戦えますか。」のCMが放映されたハードコアな時代から
35年が経ち、今やリゲインも「24時間の戦闘力」から「未来の健康の大切さ」にRebornした、そんな時代。





毎晩遅くまで、静まり返るオフィスで不気味な鼻歌を歌いながら鎮座している男がいる。





馬場だ。

こぼれ落ちそうな目玉でこちらを見つめ返す馬場さん




馬場さんの基本情報だよ


時計は21時を既に回っているにもかかわらず、出社したばかりだと言わんが如く、この男は1人で低音の鼻歌を奏でていた。



※ 写真に写ってしまっている堀井さんもいつも遅いのだが、この子は闇が深そうなので今回は触れません。





馬場さんの印象について社内でアンケートを取ってみたよ


一般的に馬場さんといえば、ワーカーホリックであること以外に知られている情報は限定的である。


そんな謎に包まれた馬場さんの生態系を、今回私吉田が紐解いていきます。









吉田
: 馬場さんっていつも帰るの遅いですよね?


馬場:そうねー、最近は結構遅くまでいるかなー。

目を合わせることなく淡々と返事を返してくる馬場さん


吉田
: 大体この時間までいる人って馬場さんくらい?



馬場
: 厳密に言うと堀井ちゃんもいるけど、あの子はちょっと闇が深いから。


吉田: 普段のプライベートというか、息抜きってどうしてるのかなって。


馬場: よかったらちょうどこれからだからついてくる?

徐に立ち上がる馬場さん


おもむろに立ち上がった馬場は、オフィスを出て慣れた足取りで歩き始め、一件の居酒屋に入っていった。


こちらの密着に気を使う様子は全くなく、迷いなくカウンター席(撮影のしづらい席)に鎮座する姿勢からは「誰にも自分の行動は決めさせない」という強い意志を感じさせる。


そんな厳かな雰囲気のもと、密着取材は始まった。



吉田:えーと、馬場さんの好きなものってお酒っていうことで良いのかな?



馬場
:ちょっと浅いなー。お酒自体がめちゃくちゃ好きってわけじゃないんだけどさ。お酒を飲むとさ、1日が終わる感じがするんだよね。



取材に対し、警戒感を示す馬場さん


乾杯を機に、自分の世界に入り始めた馬場。安直に自身を解剖しようとした筆者に対し、軽いイラつきを見せ始める。



吉田:今日の忙しさが肴になるみたいなことかな?



馬場: んー、全然違うなー。
歯磨きや風呂みたいなルーティーンというか、終わる事自体に意味があって。お酒を飲むことイコール、1日が終わるという事なんだけどわかる?



吉田:ちょっと難しいです。今日は馬場さんの好きなものを聞きたいんだけど、そういうテーマだと難しいのかな?




馬場
: 正月期間にさ、自分の好きなものについて考えてみたんだよね。俺ってお笑いとかマッサージが好きじゃん?




吉田
:そうなんだ。




馬場:なんで好きなんだろうって考えて考察してみたんだけど、そういう考察している自分がちょっと気持ち悪くなってやめたんだよね。だから好きなものを掘り下げられたところで俺には通用しないと思うけどな。




自身の行動を「好き」という枠組みで捉えられることに強い嫌悪を感じていることは明らかであった。



一方で、自身の感情を考察する馬場さんの横顔からは、「誰か俺を理解してくれ」「ひとりにさせないでくれ」そんな悲痛な心の叫びが、垣間見えるのである。



おしぼりで顔を拭いた後の哀愁を感じさせる表情の馬場さん



吉田
:馬場さんが人よりも「こだわっていること」ってなんか無いの?いつも白黒の服着てるとか、ずっと同じ髪型だとかなんかこだわりがありそうだけど。



馬場
:こだわりではないけど、これって決めているものはずっと変えない。白黒の服を選ぶ理由は、万人からみられた時にダサくない最大公約数だし髪型もそう。



吉田
:んー、なんとなくわかるような気がしないでもない。


話は平行線をたどり一向に要領を得ないのである。



しかしここで突然、隣の席からの乱入者により、話は急展開を見せる。



榎木:馬場さんって、「馬場さんらしい」ことから外れたこと絶対しないですよね?


馬場の後輩でもある彼は、タダ飯を目的にこの密着取材についてきたのであるが、この日初めて口を開いた。





榎木:馬場さんっぽくあり続ける姿勢というか。そういう一貫性みたいなものをすごく感じます。




馬場
:確かにそういうことかも。こだわりがあるとか、好きとかじゃなく、自分がダサいと思う自分には絶対ならないように心がけているかも。




取材に対する警戒感を見せていた馬場はここに来て初めて表情を緩め、1日を終わらせるというお酒への本来の目的を取り戻したように見えた。




吉田
: 確かに馬場さんって服装や髪型もそうだけど、「後輩にはお金を出させない」とか「絶対に遅刻しない」とか、”馬場然”としていることにすごいこだわりがあるよね。



馬場:そうそう、自分の行動に縛られているわけじゃなくて、自分の軸がある感じのイメージだからその辺のミスリードだけ気をつけてね。




吉田:「好きな自分である」ということ自体が好きみたいな感じでいいのかな?




馬場:かなり解像度が上がってると思うよ。これ以上こっちで言及するのも野暮だからさ。あとはうまくまとめておいてよ。








筆者の幼少期に一世を風靡したZARDは、Oh my loveの曲中にて


「あなたといる時の素直な自分が好き」


という言葉を残しているが、彼が訴えたいことは果たしてそういうことなのかもしれない。



自分自身を好きでいられる為の全てが好きなのであり、そこに根源的なこだわりや好き嫌いはない。


「俺を知りたいのならまずはZARDを聴け!」



彼のメッセージをまとめるとこう言うことだろう。



馬場さんの溢れそうな目の焦点が朧げになってきたところで、彼への取材も終わりを迎える。


一時は暗礁に乗り上げそうになったこの取材であるが、無事、彼の「好き」を言語化できた良い時間となったのである。


帰り際に見せる無邪気な笑顔は今日の「終わり(お酒)」がうまくキマったことを物語っていた。



そして彼は明日からも、いつも通りの「馬場」として在り続けるのだろう。





馬場航、32歳。



彼の人生に幸あれ!


(完)



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