【詩】未来都市
四天のまにまに 憚られる 大きな
夜空の 鳥の むくろがあって
天青のにごりを 涙として採取してから
科学者は踊る フラスコとシリンダーを崇めて
赤いデータを忌避し 青い罫線と踊る
瓶の底 光の屈折が 歌う
都市の果てを 海の音を 時のたゆたいを
銅板をひっかいた疵が 張り詰めて記録する
窓ガラスは 青空と まぼろしを映し
ちんけな明晰夢を 量産し 幇助する
惑わされれば 落ちる、黒い羽根と
道連れになって 鋭角に突き立つのだ
急ぐ、胡蝶の舞は もう間に合わない
黒い羽根を 総出で拾い集めながら
見上げれば 仄かに笑う くちばしがあり
しんと冷えた涙は 奔流となって
幹線道路の一切を 押し流してゆく