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コラボ表現企画参加:スカーレット
*************** 本作はこちらの企画に寄せて作成したものです。 コンセプトが面白くて… https://note.com/sei_shyaran/n/nb27d7368d702 ********…
別のことをやっていてしばらく沈黙中…
【詩】台風前日の空に寄す
奥まるほどに秘密のような暗さを濃く
する空
ぐわらぐわらと増殖する乱層雲は
暗く燻んだラベンダー色で
突けば豪快に割れそうな
結晶質の気配もある
千切れた紙片のような雲と
スケートの軌跡めく弧を描く雲
を
引き連れていて
見上げればひとすじの冷気が
大振りな風にかぼそく混ざった
ひょうひょうと氷の笛のように
闇の気配を光の水と混ぜて
生まれた申し子
溢れんばかりのぐわらぐわらが
死した街にやって
【詩】二人のあいだの関係性
もしもの話をしよう。
仮に私があなたに迷惑をかけてしまったとき。
嘘をついたり、たんぽぽを摘んで渡しても、
許してはくれないだろう。
もしもの話をしよう。
仮にあなたが私に迷惑をかけたとき。
媚を売ったり、スミレを摘んで渡しても、
私は許さないだろう。
もしもの話をしよう。
辛く悲しいことがあなたを襲ったとき。
私はあなたに白く柔らかい猫を贈り、
それで頬を拭うように言うだろう。
もしもの話
第3回THE NEW COOL NOTER賞エッセイ部門参加
上記コンテストに参加してみることにしました。
普段は詩なのにエッセイ。文章を書く練習として。……なんだか古臭い文体ですがどうなんでしょう。
ロゴの張りつけは不要になって、タイトル画像をみんなのギャラリーから挿入すればよくなった、らしいですね。要項を満たせていることを祈りつつ。
よろしくお願いします!
【エッセイ】旅情、季節、雨。あるいはそれらの認識の誤謬について。
旅情だとか、季節感だと思っていたものが、実はごく身近な条件の有る無しによる変化に過ぎなかったという体験を、ここ数年で数回ほどした。
たとえば、早朝の町の空気。普段住んでいる街がまるで温泉街のように感じられた朝があった。
皮肉にもこれは「コロナ禍」のおかげなのだが、梅雨入りも間近に迫った時期のある朝、ふと変な時間(日の出前)に目覚めて、二度寝もできなさそうだったので、ベランダに面した窓を開け
【詩】ローカル線の旅(猫の多い町)
タタン、タタンと
一駅通過するごとに、猫が増えます
座席につるりと出現して鳴きます
次は七日町、七日町、と鳴きながら
前脚を舐めて顔を洗います
ゴトン、ゴトンと
割り合い強い走行の振動に
小さな首の骨を揺らしながら
窓の外に明るく煌めく
遠浅の海を眺めています
白飛びしたような陽光が
暑いけど冷たく目に刺さります
かき氷がこの辺の名物で
昔は氷室があったようです
暑がりな猫にはぴったりで
よく
【詩】かつて子供だった
おはようございます。
こんにちは!
起立、礼
あーさーのーかーいーをー
始めます
いいでーす
違いまーす
今日、先生が、教室に亀を放しました
かわいかったです
給食当番 カレーの鍋が重くて、重くて
ダストシュートが処刑装置に見えた
ごぎぎり、机の足が
床にこすれて震える震える
かーえーりーのーかーいーが
始まる
窓から流れ込む砂ぼこりのにおい
床用ワックスは柿の色、
柿の干したのの
【詩】モーニング•ティー
華やかな朝
時、刻んで
遥か
ウミガメの甲羅で
作ったティーカップで
✳︎
たゆたう時
伸び縮みする
須臾
懐中時計の
少し錆びた
蓋
ウミユリの苦味
に
角砂糖を添えて
✳︎
遠くのエイが
花のようにひるがえる瞬間
僕の目には
亀裂、
吹きこぼれて
カップをソーサーに置く
その硬質な音が
散る
聞く
放す
コラボ表現企画参加:スカーレット
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本作はこちらの企画に寄せて作成したものです。
コンセプトが面白くて…
https://note.com/sei_shyaran/n/nb27d7368d702
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星降るスカーレット 炎を求める蛹のひとは
たとえば鉄錆色の虹を浮かべた
油性の炎に縋られたなら
その目を見開き瞳孔の闇を
丸く広げるのだろうか
縁取る睫毛や自我ある眉の
一