FC版ドラゴンクエストをやった話
いきなりですが、我が家の本棚にはこいつがあります
発売当時に母が確保していたもので、誰にも遊ばれないまま10年以上ホコリを被っていました
常々もったいねえなあと思っていたところ、推しの配信者がDQ1 (さすがにSwitch版ですが) をやり始め、「RPGとは、ドラゴンクエストとはなんて素晴らしいゲームなんだ」という気持ちにさせてもらえたので、自分でも今一度体験しておかねばなるまいと思い引っ張り出してきた次第です
初めに選んだのはSFC版のDQ1で、FC版ではありません
ロトシリーズ自体は既プレイで、1・2は今は亡きガラケー版 (EZweb) を、3はSFC版を実機でやったことがありました
ハードから察せる通りかなり前の話で、ぶっちゃけほとんど話を覚えていなかったので各地の謎解きにはしっかり苦戦しました
聖なるほこらに入らないと雨雲の杖のヒントもらえないのに、まずドラゴン倒さないとロトのしるしのヒント教えてもらえないの何?
で、SFC版のI・IIを楽しく遊び終えたんですけど、メニュー画面に戻るとFC版のタイトル画面が並んでいるわけですよ
HDMI入力しか持たないモニターが大半を占め、現存するハードの故障率が高まっていくことでレトロゲームの参入コストがどんどん増している昨今、ファミコンのゲームをそのままで遊べる機会を眠らせておくのはもったいないんじゃないか?
あとここでやっておけば、かの鬱陶しい「リメイク版の2はヌルゲー」おじさんに対する有効打が見つかるのではないか?
そんな感じの動機でFC版DQ2のクリアを最終目標に据えつつ、そうは言ってもひとまずUIに慣れておかないとストレスが凄まじかろうという思いから、とりあえず全てのはじまりを押さえておこうということになりました
前置きが長くなりましたが、そういうわけで、SFC版に比してFC版がどうだったかという部分を主軸に感想を書いていこうと思います
「その方向には誰もいない」
FC版DQ1は、容量不足からか、キャラクターのドット絵が画面の前のこちら側を向いている1パターンしか用意されておらず、したがって「キャラクターの向き」という概念が存在しません
そのため「はなす」コマンドを使用する場合、主人公から見てどの方角にいる人に話しかけたいのかを明示する必要があります
誰もいない方角に話しかけようとした場合に表示されるのが、DQ6くらいまで (およびそれらのリメイク作品) 使用されることになる上のメッセージ
「その "方向" には」とわざわざ書かれているのはこれが由来だったんですね
こんなんなので当然べんりボタンなんてものはなく、階段を降りる時にしか使わない「かいだん」コマンドや、宝箱を取る時にしか使わない「とる」コマンドなんてのも用意されています
これ、現代の感覚だとUIとしてめちゃくちゃ面倒なんじゃないかと危惧していたんですが、意外にも5分もやれば慣れました
そもそも話しかけるべき相手がそんなに配置されておらず、一人ひとりのセリフ量も少ないので、何なら現代のRPGよりテンポが良いんですよね
UIに対するストレスには必ず先立って情報の飽和へのストレスが存在するというのは個人的にめちゃくちゃ大きな発見でした
まずは47回戦闘に勝利する
みなさんはRPGで初めてフィールドに降り立ったらまず何をしますか?
ぼくはとりあえず行けるところまで足を伸ばすことから始めます
「こちらのレベルが低くても倒せるわりに経験値が多い敵」を見つけることができればかなり楽ができるからです
今回は先にSFC版をやっていたこともあって、スライムベスとドラキーあたりをたけざおでサクっと倒して進むつもりでした
が、たけざおではそもそもスライムにすらまともに打撃が通らない
スライムベスを倒しても1G多くもらえるだけで経験値は青いのと変わりません
ドラキーは満タンから殴り合って1回勝てるかどうかレベルで、そこまでしても経験値はスライム2匹分しかもらえないのでまったく割に合いません
必然的に、狩るべき対象はスライムとスライムベスのみということになってしまいます
こいつらの経験値は1しかないので、ギラを覚えるLv4 (EXP: 47) まではスライムを47回倒すのが最も効率的ということになります
現代のRPGで「まずは最も弱い敵だけを47回倒し続けてください、それが最速です」と言われたらたぶん半数のプレイヤーは別のゲームやりますよね
戦闘のテンポがかなり良いとはいえこのバランス調整にはびっくりしました
当時としては別に思い切った判断とかいうわけでもなく、当然の感覚だったんだと思います
レベルが1上がったらステータスが3割伸びる
そもそも最大レベルが30しかないってのもあるんでしょうが、レベルアップボーナスでもらえるステータスがたびたび異常な値を示します
主人公にどんな名前をつけたかによって成長パターンは左右されますが、Lv1の時に15だったHPがLv2に上がっただけで7増えて22になったり、Lv8の時に21だった力がLv9に上がっただけで8増えて29になったりとかします
ドラクエのダメージ計算は引き算なので、これはさっきまで10ダメージくらいしか与えられなかった敵に突然20ダメージ与えられるようになるとかそういう差です
レベルを上げないと先に進んでも意味がない
以上の2項目から導かれる当然の帰結がこれ
レベルが足りなければ倒せず、レベルが足りていれば簡単に倒せるというバランスであり、しかももらえる経験値にそこまで差がないため、わざわざ敵が強い地域で頑張るメリットが何もありません
装備を調えればレベルが低くても強い敵を倒して効率的にレベルを上げられるというのがSFC期以来のRPG (およびハクスラ) のスタンダードになっていますが、FC時代にそんな楽はさせてもらえなかったという話ですね
厳密に言えば装備を調えることで先に進めるようになるシーンもあるにはあるのですが、お金の入手経路が敵を倒す以外にほとんどないので、実質的に経験値のサブパラメータみたいになってます
次第に立ち現れてくるネトゲの味
じゃあ大味でつまんないのかと言ったらそんなことはなかったのが面白いところ
ゲーム時間の8割以上を戦闘に費やさなければならない設計になっているので、世界観に浸りながら漫然と物語を食べていけるような選ばれた人種はともかくとして、それ以外のプレイヤーは否が応にも「効率的な経験値の稼ぎ方」を模索することになります
敵の出現率、1戦にかかる時間のブレ、獲得経験値、死亡リスクなどをフィールドワーク形式で学びながらより良い戦略を構築していくその感覚は、往年のネトゲにおけるMOB狩りを彷彿させるものがありました
時系列を考えればこっちが先なので、ネトゲ特有の異常にシビアな経験値テーブルの原点は初期のRPGにあったと言うのが正しいのかもしれません
突然始まる超不自由ローグライク
ダンジョンの構造が見慣れない感じだったという話もしておきましょうか
ぼくはポケモン世代なので、ダンジョンの迷宮要素っていうのは分岐路とか謎解きにあるものであって、マジもんの迷路をやらされることはまずないというイメージだったんですが、FC版DQ1のダンジョンは所謂あの "迷路" でした
知育とかでやらされるアレです
しかも、アイテムを使わなければ足元1マスしか見えず、たいまつを灯しても周囲1マスしか見えないので、通ってきた道を完全に覚えていない限り入口に帰り着くことはほぼ不可能
いにしえのRPGerは何も言われずともノートにマス目をマッピングしていたという話は聞いたことがあるけど、本当にこんなこと毎回やってたんですか??
こればっかりはさすがに「非常に古いゲームなのだから我慢しなければならない部分もある」という免罪符のパワーだけで乗り越えました
なんも楽しくないので二度とやりたくないです
感覚でなんとかすることはできず、マッピングとまでは言わずとも、キーの入力をいちいち真面目にメモるという作業をやらされることになりました
経験値稼ぎの効率追求といい、ずっとRTAみたいなことやらされるじゃんって何回も言ってた記憶があります
"ゲーム" の集大成としてのラストダンジョン
りゅうおうがもたらした闇はどこへ行こうとも人々の生活に影を落としており、以て「りゅうおうを打ち倒す」というゲームの目的は確かに果たすべき悲願であるとプレイヤーに感じさせる仕掛けになっています
少ないテキストでも、ストーリーテリングは下手な現代RPGよりちゃんとしてるかも、と感じさせるものがありました
このあたりは次作のDQ2でより顕著ですね
一方で、竜王の城は「このゲームでやってきたこと」をゲーム的に今一度再現する、たとえるなら謎解きの "大謎" としての役割が強い設計でした
街の人の話を聞いて覚え、調べるべきものを調べなければそもそもダンジョンに入ることさえできません
内部は今までに行ったどのダンジョンよりも複雑で、しかし見たことがある構造の再利用が多く、例えばガライの墓で下の階層から銀の竪琴の位置に回り込んだことを覚えていればロトの剣にたどり着けます (これを取らないとクリアに必要な経験値が1.7倍くらいに膨れ上がる)
最終フロア手前の罠もダンジョンのとある目立った特徴に気づいてさえいればそう難しいものではなく、最後のりゅうおう戦は「あと一撃が耐えられるように動く」「どうしてもそれができなければレベルを1上げる」というゲームの基本を徹底すれば最速で勝てるようにできています
総じて大謎としての美しさがすばらしく、RPGでなかなか味わうタイプのものではない感動がこのFC版の竜王の城にはありました
現代の複雑化したゲームでこれをやるのは不可能に近いでしょう
その他、細かい点を箇条書きで
・ロトの鎧が強すぎる (これはリメイクでもそうだが)、他のゲームの最強装備もこれくらいやってくれ
・一方でロトの剣はただの足し算だけで重要アイテムに仕立て上げている対比が美しい
・完全に交互に行動するシステムなので、パーティメンバーが1人しかいないのにすばやさ乱数でカスの運ゲーをやらされるSFC版りゅうおうより真っ当なバトルをさせてもらえた
・敵の攻撃力を味方の守備力が上回ったらダメージ計算式自体が弱くなる、というのは現代でも使えそう
・装備品が各部位1つずつしか持てず、先に持っていたものは強制的に売却される、という仕組みは容量の限界を感じつつもシンプルでいいが、やろうと思えばロト装備を上書きできてしまうのはどうにかならんかったか?
・ホイミがなんぼなんでも弱すぎて笑った (MP4消費して15回復したら良い方)、さすがに敵のやつと設定逆じゃない?
・やくそうが最後の最後までめちゃくちゃ頼りになるのは新鮮で良かった
・眠らせた敵が即起きするのはどんなゲームでも好ましくない体験
・眠りの最長ターンが決まってないのも好ましくない体験
・敵の状態異常が必中するのも好ましくない体験
FC版DQ2も楽しんでやれそうだなという楽観が持てるくらいにはいいゲームでした
クリアしたらたぶんそっちもnoteにまとめると思います
付録: プレイ中に作った文書
最初にこんぼうとりゅうのうろこを購入
Lv4まではスライムとスライムベスだけを倒す
かわのふくを購入し、ラダトーム左下の山岳地帯の最南端1ラインでギラを連打してレベル上げ
お金が貯まり次第、かわのたて→どうのつるぎの順で買う
Lv6とどうのつるぎが揃ったらギラをやめて攻撃を連打、MPはホイミに回す
以降、メイジドラキーは逃げたほうがいい
560G貯まったらガライの町でてつのおのを買う
どうのつるぎの売却益でやくそうとたいまつも何本か買う
岩山の洞窟B2Fに100Gくらい入った宝箱があるので、出入りを繰り返してお金を貯める
道中の敵はラリホーかけて殴るか逃げるかする、倒せそうなら倒したい
死んでお金が減ったら元も子もないので、リソースが怪しくなってきたら早めにガライに帰ること
800G貯まったらてつのたてを買う
1400Gくらい貯まったらリムルダールに向かう
道中で見慣れない敵が出てきたらラリホー入れて逃げる (ラリホー効果中の逃げは必ず成功する)
着いたらすぐにはがねのつるぎを買って、街のすぐそばで狩りをする
まどうしにはマホトーン、それ以外にはラリホーを入れてから攻撃、危なくなったらすぐ宿屋
1000G貯まったらてつのよろいを買う
3000G貯まったらはがねのよろいを買う、以降ラリホーは逃げる時以外使わない
このあたりからは一回でも死ぬとかなりのロスになるので撤退の判断は早めにしたい
Lv11までは大きく街から離れないようにする
Lv12までは聖なるほこら方面へ向かう橋を渡らない
ゴールドマンが出たら逃げる
Lv13になったら橋を渡ったところでリカントマムルとキメラを狩る
以降、しりょうからは逃げたほうがいいかも
Lv14になったらルーラで一旦帰る
やくそうを買い足したらガライの墓に突入する
銀の竪琴を回収するのが最優先、次いで14800G貯めるのが目的
しりょうのきしはラリホー入れて逃げ (普通に戦ってもいいが殴りが痛いのは意識しておく)
あまぐものつえ、たいようのいし、ようせいのふえをまだ取ってないならこのへんで取っておく
特にようせいのふえは回収しておかないとメルキドへ向かう意味がない
やくそうを買い足したら、必ず復活の呪文か何かでバックアップを取ってからメルキドへ向かう
ドムドーラ砂漠以降の敵は全て逃げ、MPは全てホイミに回す
着いたらようせいのふえとやくそうを使ってゴーレムを倒し、みかがみのたてを買って宿屋
以降、お金の使い道がなくなるので死んでもリセットしなくてよくなる
やくそうを買い足したらドムドーラに行く
ロトの鎧の一歩手前に来たらホイミで全快してあくまのきし戦
最初になんとしてもマホトーンを入れ、やくそうで耐えながら頑張って殴る
倒したら絶対にその場から一歩も動かずに地面をしらべてロトの鎧を入手する
以降の狩り場はドムドーラ西の騎士がたくさん出てくるエリア
ここまで来れば、Lv14のままでもロトのしるしを拾って竜王の城でロトのつるぎを取ることもできる
不安なら鋼鉄の剣のままでもそれなりの効率にはなる
ロトのつるぎを後回しにするなら当然9800G溜まった段階でほのおのつるぎを買ったほうがいい
ロトのつるぎを先に拾いに行った場合、Lv18からはメルキド東の森の方が効率がよくなる
スターキメラは逃げ、それ以外は攻撃連打
無理をして死ぬとメルキドまで戻ってくる時間でかなり効率が落ちるのでベホイミは惜しまないこと
りゅうおう戦はLv18で勝率2割、Lv19で勝率9割といったところ
復活の呪文と中断セーブしかないという都合上、一歩間違えば全てが吹き飛ぶという緊張感があったのでこんなのを書き残しながらやってました