幻想旅行
脳は空想と現実の区別をつけることができない。
だから空想をすると、それが意識の中で現実になる。
だから、色鮮やかな空想の練習をしてみよう。
…たとえばここに桃色の薔薇がある。
薔薇に唇をつけると、甘い蜜があふれだす。
その蜜を飲むと、自分の背中に紫色の透明な羽が生え
あなたは昇り始めた朝日に向かって
吸い込まれるように飛び立つ。
体がふわっと浮き、
太陽に近づくほどにあたりに黄金色の香りがたちこめる…。
…イメージが浮かんだだろうか。
このとき、あなたは本当に飛び立ったのだ。
わたしは小説家。空想を提供するのが仕事。
これから順次このページに小説を載せていくが
美しい空想、少し怖い空想、
あなたは好きなタイトルを選んで、幻想旅行に出かけることができる。
男性が女性になることもあるし、
もちろんすてきな恋人も待っている。
そして幻想旅行から帰ってくると
あなたはかつてと違う自分になっている。
小説はそういう作用がある、甘くて少し苦い薬なのだ。