プロローグの様な|「それ」にもなれなかった子ども達へ#1
たとえば、家がまずしかったり、介護の必要がある家族がいたり、虐待が起きていたり。
そうしたなかで「大人」に代わる役割を担う子が「ヤングケアラー」なのだとすれば
そんな理由がなく、家事や家業を担う子は、やっぱり「いい子」なだけで、ヤングケアラーでもなくて
あの時の我慢や、自己犠牲は、誰にも見つけられないまま、スポットが当たることもなく
ただ、「嫌と言えないあなたの心が弱いから」「反抗できないあなたの意志が弱いから」ってだけで
どこかの谷に放り投げられて落ちていくだけなのかと思うと、それが不憫だったから。
だから、ひっそりと、ろうそく程度の炎で照らしてみようと思ったのです。
明日のご飯がないわけじゃない。
清潔な服がないわけじゃない。
サンタさんを信じられないほどでもない。
だけど
湿気る洗濯物を気にして、友だちの誘いを断ったことを
夕食の献立を考えながら歩いた帰り道を
お店番の時間を優先して友だちを「見ないふり」した放課後を
家の都合で「休日」を知らなかった日々を
朝の弱い弟がグズっているのに「泣かせるな」と一喝された時間を
あなたが小言も言わずに過ごしたのを、私は知ってる。
部活も友だちも、学校も勉強も、あらゆる自分の希望を「家」を優先して決めていたことを
私は知ってる。
そんな「たくさんの私」に、「知ってるよ」、「あなたは頑張ってるよ」が、どうか届くと良いと思う。