雑誌の読み方がわからない

先月だか先々月だかにdマガジンを使い始めた。
現状ただ毎月小銭がどこかへ流れ出ていくだけなのだが、契約した意味はあったのだろうか……。

そもそも僕は普段雑誌を読まない。
漫画雑誌ですら購読したことがないレベル。
そんな僕がなぜ雑誌を読んでみようという気になったのかといえば、「アンテナを張れる人間」に憧れているからだ。

あなたたちの周りにも一人くらい思い当たる人物がいるだろう。
なんかよくわからないけどいつも最新の情報をどこからか入手してきて、それっぽく知識を披露するような輩が。

あれになりたい。
なりたくない?

とはいえ現状そういうことができていないのだから、おそらく僕にはそもそもそういう素養がないのだろう。
漫然とツイッターのタイムラインを更新し続けるだけではダメなのだ。
もっと能動的に受動的な、例えるなら定置網漁のようなテクニックを習得しなければ、僕はアンテナ人間にはなれない。
だがどうすれば……。

そこでふと思いついたのが雑誌だった。

雑誌は毎月毎月何かしらの新しい情報を提供してくれる。
しかもジャンルごとに何種類も出ているから自分に合うものを読み比べして選ぶことが可能だ。
興味も何もない紙の雑誌を買うのは抵抗があるが、dマガジンならそれも大丈夫。ワンコインで何十という雑誌が読み放題だから、そのうち僕が興味を持てるものがあるだろう。

そして将来的には何らかのジャンルに詳しくなって、雑談の合間にそれとなく知識をひけらかすのだ。

だが現実は厳しい。
当たり前だが興味のないジャンルは紙で読もうが電子で読もうが関係なく興味など湧かない。
しかも僕は重度の飽き性だから、1冊読み終わるまでに「う~ん……もういいかな」みたいな気分になってしまう。
これじゃあいつまでたってもその道の専門家ぶることなどできやしない。 興味もないのに手を出すから……みたいな正論はやめてほしい。

それに僕にも一つ言わせてほしいことがある。
なあ、雑誌って読むの難しくない?


雑誌はある程度ジャンルや特集で内容は決まっているものの、頭からケツまで同じ話をしているわけではない。
単行本でないのだから当たり前だが、「メインの特集は興味あったけどこっちは全然だな」みたいなことがしょっちゅう起こる。
かと言って興味ないところを飛ばして次を読むのは気が引けてしまう。

それに雑誌は専門性の高さを売りにしているから、これから学んでいきたいです! みたいな不貞の輩にはあまりにも内容的な敷居が高い。
映画雑誌の白黒ページなんかがいい例だ。
名前も知らないような昔の映画の評論を載せられたところで、バカスカ爆発するアホアホハリウッド映画が見たいだけの映画好きにはわからないのだ。

けれどそういうところを飛ばし飛ばし読んでいった後には「雑誌を読み終えることができなかった」という敗北感だけが残る。
内容が頭に入ったかどうかなどは二の次。
ただ目の前の書物に負けたという事実が重くのしかかってくる。

そうなると、「もっと勉強してから読み直そう!」とか「別のジャンルなら読めるはず!」みたいなポジティブな思考はもう出てこない。
どうせ次もボコボコにされるに違いないんだ。
一言さんお断わりなんだろ。
俺には結局ツイッターがお似合いさ。
へけっ。


結局雑誌はわかるところだけを読めばいいのだろうか?
それともとりあえず全部目を通して、気力と根性で補完していくのがいいのだろうか?
一般的な雑誌読者が一体この問題とどう向き合っているのか、僕にはさっぱり想像もつかない。

試しにグーグル先生で「雑誌 読み方」と調べてみた。
出てきたのは「雑誌を読んで仕事に活かす方法」みたいな記事だった。
う~ん。

そういうことではないのだ。
僕はただただ雑誌を面白おかしく読んで、その上でちょっと博識ぶりたいだけなのに。

なぜ「読書術」とか「小説の読み方」とか「現代国語のなんだら」とかの本が世の中には溢れかえっているのに、「雑誌の読み方」を書いた本がないのだろう。
不思議で仕方ない。

多分雑誌にも読み方があるはずなのだ。
あるいは読む順序が。
あくまでも文章が主体なのだから、それは人間側のテクニックでどうとでもなるはず。
しかし生まれてこの方全く触れてこなかった文化に対して1からそのテクニックを編み出そうとするのは、さすがに骨が折れる。

誰か、お願いだから僕に雑誌の読み方を教えてくれ。ください。

ともかくそんな感じで僕は今日もdマガジンを前に唸っている。


PS.「100倍人生が豊かになる雑誌の読み方」みたいな単行本、出版社に持っていったら売れそうじゃない?

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