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[生汁日乗]文化的日曜日:2025年1月12日(日)
曇り。午後遅く、少しだけ晴れ間。陽が弱く、肌寒さが増す。
息子殿は、都の「高等学校文化祭音楽部門中央大会」なるものへ。地区ごとに、近隣地区複数高合同で、吹奏楽の演奏に出場するとうことで、ここのところ練習に出かけていた。スタッフ業務もあるということで、今朝も朝早くから上野へ出かけて行った。「東京文化会館」という立派なホールで演奏できるという、そんな機会は滅多にないらしい。
私は、少し遅めに起床し、軽く朝食を摂り、洗濯機を回す。
娘殿は、友人と新宿へ映画を観に行くと言うことで、少し早めのお昼。
午後はカミさんとふたり、息子殿の演奏を聴きに上野へ。休日の中央線は駅をバンバン飛ばすので、とても早く移動ができる。そして、上野の高台は人もたくさんだったが、空が開けていて、とても気持ちがよい。
演奏は夕刻からだったので、生まれて初めて「東京国立博物館」(通称「東博」。名前ややこしい)へ行ってみる。本当は、「国立西洋美術館」(こちらにも行ったことが無く、ずっと行きたいと思っている)でモネを観てみたかったのだが、チケットが取れなかった。
「東博」は広い。演奏まで、2時間程あったけれど、全部見切れず。本館1、2階をザラーっと眺めていたら時間切れになってしまった。浮世絵や、海外の人が取った明治期の江戸城の写真、水墨画などなど、素敵だと思うあれこれが並んでいて飽きない。ミュージアム・ショップで歌川広重のポストカードなどを求める。カミさんは尾形光琳の画をデザインしたブックカバーを買っていた。洒落てる。常設展示の内容もしばしば変えているようなので、また来てみたい。ちなみに、キティちゃんの特別展もやってて、(我々は入ってないけど)こちらはムッチャ混んでた。
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片手に本が良い
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陽が落ち始める頃に「東京文化会館」へ。私はここも初めて。とても大きくて立派な建物。そこの「大ホール」という一番大きなホールでの演奏。準備や談笑に勤しむ高校生たちの愉しげで華やかな熱気が行き交う。
関係者の演奏しか聴けないとのことで、チャールズ・カーター作曲「クィーンシティー組曲」1曲を堪能して場を辞す。力強くて、清々しき、良い演奏でした。あんなに大きなホールで、あれだけ大勢で演奏するのはさぞ気持ち良かったことでしょう。ご馳走様でした。
カミさんは高校の頃、同じ中央大会に出て、このホールで演奏ができるはずだったのに、雪で中止になってしまったという残念な思い出があるそう。何年越し分からないけれど、子供はその場に立って演奏ができて、良かったと言っていた。
ホクホクしながらJRで帰宅。途中、荻窪に寄って、あれこれ買い物。東京の美術館や博物館をもっとぷらぷら訪れたいね、ーと前々から言っていたので、今日は良き機会ということで、『東京ミュージアムガイド』(朝日新聞出版)というガイドブックを1冊購入。後は子供の衣類や、無印良品でリモートワーク様にクッションを1つ買い足したり、私は増えてきた本のためにブックエンドを少し買い足したり。
夕食は簡単に。キャベツたっぷりの野菜スープを作って、荻窪で買ってきた神戸屋キッチンのサンドイッチと一緒にいただく。帰宅した息子殿は「すっごく気持ちよかった、楽しかった」と御満悦であった。
夜、頭木弘樹『絶望名人カフカの人生論』(新潮文庫)を読了。大晦日、ハツケンと寄った「今野書店」で「もすこしカフカが読みたい」と、ふと手にした一冊。文字数も少なく、サラリと読めた。カフカの手紙、たまに日記の記述の短文に、頭木さんがコメントを添えたもの。引き続き、『カフカの日記』をじっくり読んで行きたい。
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あとは、『生成と消滅の精神史』、『庭に埋めたものは掘り起こさなければならない』などを繰る。『庭に埋めたものはー』の壮絶さに引き込まれる。
内田樹さんが新聞に寄せたコラムの内容に鬱々となる。
「トランプは自分で何をするかさえわかっていないために、他人がその行動を予測するのは非常に難しい」とある政治学者は書いている
(スティーブン・コトキン、「ドナルド・トランプと米国の未来」、FNo.12)。それが「強み」だというところまで米国も窮しているのである。日本の政治学者でここまで正直な人は少ない。だから日本が今どれだけリスキーな状況に置かれているのか日本人の多くは知らない。
『米国の弱気と狂気』内田樹