パンドラ・イン・ジ・オーシャン -7-
かざした右腕の掌底から放たれたニードル掃射が、食い下がるブラック海坊主達を穴あきチーズの様に変えていく。
だがやはり敵の数は圧倒的な上、一部小型の個体は想像以上に速い。速く、的が小さく、そして接触すれば確実にダメージを与えてくる。実に厄介な相手だ。ダメージがかさみ、減速すれば今度は大型の個体が追い付いてくるのは目に見えている。
「M・H、もう少し速度を出せないか?」
「この形態じゃ駄目ね、もっと速い姿に変える」
言うが早いか、俺が鎖を巻き付けて牽引されていた白鯨は見る間に3DCGが湾曲モーフィング変形するかのごとく形を変え、その姿をアルビノイルカへと作り替えた。途端、グンと速度があがりブラック海坊主達との距離が空いていく。
更にはイルカの体表がウロコがはがれるように開くと、鋭い巻貝を模したマイクロ魚雷が一斉に飛び立ち、噴射煙めいた軌跡を残しながら水中を湾曲遊泳。しつこく追いすがってきた一際大きな影に残らず突き刺さったかと思えばすぐさま爆裂が巻き起こり暗緑色の空間をオレンジの爆風で染めていった。
「このまま離脱するわ、離れないでね!」
「もちろん、このまま暗黒の海底に置き去りはごめんこうむるからな」
力強く遊泳するイルカに連れられて海をたゆたうのはこんな状況でなければ多少ロマンチックかもしれないが、残念無念。環境は海の底で追手は得体のしれない怪生物の群れである。ランデブーの甘美さなど絶無であった。
―――――
追いすがるブラック海坊主の影が見えなくなったのと入れ替わりに、コンソールの一部に浮かび上がるソナーの3D図上に多数の反応が点灯する。俺の機体に積まれているソナーの性能では反応の詳細までは判別できない。
「敵か?」
「いいえ、さっきのマグロ達……でも何でここに」
愛機の顔を前方に向けるとマグロの群れが待ち受けるかの様に回遊している。確かに、俺達を待っていたかのように見受けられるが先ほどまで捕獲されていた立場の彼らがわざわざ待ち受けている理由が思い当たらない。まさか恩義に感じているとでも言うのだろうか。
構わず前に進むアルビノイルカが通り過ぎると、マグロ達は追随するかの様に着いてきては一部の個体はイルカの前方を誘導するかのように先行している。
「もしかして、誘導されてないかコレ」
「そう、みたい。敵意はないみたいだし……ついてってみる」
「頼む、知性マグロの件もあるし何かの手がかりにつながるかもしれない」
そこまで言って、俺は自分の今言った内容を反芻しこめかみを抑えた。まさかマグロに手がかりを求めることになるとは……だが人語を理解する個体が他にもいるのならば、潜水したばかりの俺達よりもマグロの方があのブラック海坊主について何か知っている可能性は依然として存在する。
マグロの目指す先を暗視すると、コンソール上に先の見えないほどの山脈が映し出された。その海の中の山のふもとに、ソウルアバター二機とも入れるほどの空洞。彼らが誘導しているのはそのうろらしい。果たして一体何が潜んでいるのか……
【パンドラ・イン・ジ・オーシャン -7-:終わり:-8-へと続く】
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