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パンドラ・イン・ジ・オーシャン -16- #ppslgr
ある光と言えばヌバタマが持つ核の怪しい瞬きばかりの闇の底、なおかつ過大な水圧が生のセメントめいて動きを阻む海溝においてなおこちらが怯む通りはない。
カルティマリナはその白海月のフリルを翻し水圧の圧迫を感じさせない勢いで同胞を取り込み膨張するヌバタマへ迫る!
「ルリャーッ!」
うず潮めいて水流を巻き起こすイッカク・ランスを掲げて突貫すれば、機体その物が巨大な銛の様に凶器となってヌバタマを貫く!凄まじいラセンベクトル偏向回転は見る見るウチに暗色の被膜を剥ぎ取る!
片やこちらも壁の様に重い水をかき分け駆け抜け、カルティマリナの反対側より渾身の斬撃を振り抜く!
双方向から破滅的な一撃で挟み撃ちされてなお、ヌバタマの被膜の膨張速度が上回り見る見るうちに空いた大穴がふさがった。そればかりか、こちらが追撃を見舞うよりも早く高速回転する触手の一突きが襲い掛かってくる!
「チィッ!」
ままならぬ環境で辛うじて上半身を逸らし直撃を逸らすと胸部の装甲がガリガリと削られ散った。こいつは実に不味い、わずかなダメージでもこの海のどん底ならば水圧が後押ししてくる。機体の耐圧能力が低下すればその時点でペシャンコだ。
暗闇の勾玉は一本のみならず周囲から同様のドリル触手を量産しこちらに差し向ける。その一本一本がこちらを沈めるに足る脅威だ。
眼前に迫った一本を横薙ぎに両断!続いて迫りくる二本を前方回転跳躍ざまに斬り落として両側から迫る複数を回転斬りでカウンター切断しつつ身をひねり直撃を回避!さらに迫る無数の槍に対して、太刀を横に構え対抗するように高速回転!
「ウウウウウオオオオオオオオオオオォォォォッ!!!」
災禍の竜巻に身を変えて、迫る異形の槍の群れを刃の嵐でもって打ち払うも防戦一方となった俺に対し、救いの手はすぐに現れた。
白き槍の戦乙女がその獲物を振るうとまるでタコ刺しめいてあっさりと背面側の触手が切り離され、正面の槍のやぶは高速射出されたニードルの雨でずたずたに撃ち抜かれる。
「無事か⁉」
「おかげさまでな!一発でも喰らったらアウトだ、気をつけろよ!」
ようやく姿を見せた暗緑色のギリースーツ潜水機の二人に感謝すると改めて太刀を構えなおす。海底と言うシチュエーション、とてつもなく分厚い防御膜、そしていくらでも替えが利く触手による猛撃。長引けば後がなくなるのはこちらだ。
「インチキすぎません?あの肉団子!僕達全員で総攻撃しても貫けるかどうか」
「弱音を吐くな、生きて帰りたいだろう?」
余裕も見せてかゆらゆらと揺蕩うヌバタマを前に俺は覚悟を決める。
「M・H、俺があの防御膜を吹き飛ばす。とどめを後ろの二人と一緒に頼む」
「ええ、わかったわ」
乗機であるイクサ・プロウラが俺の決意に応え、その心臓を高鳴らせる。その身にまとう蒼光が輝きを増し、暗黒の深淵を見通すほどに瞬いた。
そしてカルティマリナもまた、機体の出力を引き上げれば白い輝きと共にその鋭き槍を構える。その様はまるで闇夜に浮かぶ月の様だ。
この勝負は一瞬で決める。
【パンドラ・イン・ジ・オーシャン -16-:終わり:-17-へと続く】
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