見出し画像

パンドラ・イン・ジ・オーシャン -15- #ppslgr

ヌバタマの黒い影が炭屑となって焼け落ち、トンネル本来の白磁の色合いがあらわになるのを待たず俺達は最奥のシャッター壁へ駆け寄る。

もちろんここを開ければ水没する訳だが、ソウルアバターを水中に構築した後にコクピットに転送すればいい。そうすれば扉を開ける事無く海中へ戻る事が出来る。もっとも巣穴のど真ん中に飛び出す事になるので相応の覚悟が必要だが。

「と、と!待ってくれ!」

何ともウソが下手な顔でGが俺達四人を制止する。俺を含めた四人は既にスマホを取り出しており、ソウルアバターの起動準備に入っていた。

「取りに行っていいぞ」
「……!かたじけねぇ!」

誰よりも早く許可を出した俺に対し安堵の表情で駆け戻るG。しかし、彼の背を見送るLとDは、今度はため息はついていなかった。そんな彼らの信頼関係を信じる事にして先に戦闘に入る事にする。

「まず、俺達二人が先行して巣穴に空白を作る。3分後に充分なスペースが確保されていなければ引き返して救援を求めに行ってくれ」
「了解した」

Dの応答を得ると、即座に俺とM・Hは自らの機動兵器を壁一つ隔てた海中へと顕現させていく。

―――――

目を開けた俺の視界に移ったのは、一面の暗闇。海底の底の底である以上当然と言えば当然だが、俺の存在が現れた途端に仄暗く紅く星が瞬くように奴らの核がいくつも見えた。

すぐに殺到する触腕の壁を阻む為に、自機がまとう蒼光をみなぎらせるとその瞬間自身が爆弾になったかの様にエネルギーの奔流を解き放つ。波導エネルギーの活性によって塵も残さず消し飛んでいく影の群れ。

若干の間隙こそ生まれた物の辺りは相変わらずの暗闇だ。ここは相手の腹の中の様なものなので致し方ないが。

「そっちは無事か!?」
「ええ!出て来たばかりでやられるほどヤワじゃないわ!」

大太刀を手に振り向くとそこにはさらなる形態を披露したM・Hの乗機の姿があった。

海底のどん底にあってなお白く輝くその機体は美しい海月のドレスをまとった戦乙女のごとき出で立ちで、その手にイッカクの角を模したランスを握り一際大きな赤く光る暗黒水まんじゅうと対峙している。

あれこそが彼女の機体である「カルティマリナ」の戦闘形態だ。もっともその状況に応じて形態が変わるのであれが真の姿、と言う訳ではないが。

彼女はランスを、俺は太刀を構えると迷わず相対するヌバタマの核へと突貫!深々と双の凶器が暗色の異形を貫く!だが赤く点滅する核へと至らない!

「こいつ……!」
「肉を分厚くして急所を守っているの?」

核に達するよりも一手早くヌバタマ・クイーンはその有り余る質量を核を覆う被膜へと回し、急速に分厚さを増していく。俺達を取り囲む影の壁は女王を取り巻くと、暗闇の中でもわかるほど名状しがたい奇怪な球状生物へと変質した。

一筋の光もさす事さえない海底の奥底で今、白と青、そして仄暗い赤の三光が激突する!

【パンドラ・イン・ジ・オーシャン -15-:終わり:-16-へと続く

一話はこちらからどうぞ

まとめマガジンはこちらからどうぞ

宣伝

コミックマーケットC96_8月11日日曜日、西C40bのていたらく本舗様に同伴する形で同人誌を頒布させていただきます!

弊アカウントゥーの投稿はほぼ毎日朝7時夕17時の二回更新!
主にロボットが出てきて戦うとかニンジャとかを提供しているぞ!

#小説 #連載小説 #パルプ小説 #ロボット小説 #スーパーロボット #不幸な事件 #パルプスリンガー #れいのきかく #パルプスリンガーパルプ化計画 #人が死ぬ#パルプ #バイオレンス #マグロ #毎日投稿 #毎日小説 #毎日更新 #毎日Note #パルプスリンガーズ

いいなと思ったら応援しよう!

遊行剣禅@一週間全文無料
ドネートは基本おれのせいかつに使われる。 生計以上のドネートはほかのパルプ・スリンガーにドネートされたり恵まれぬ人々に寄付したりする、つもりだ。 amazonのドネートまどぐちはこちらから。 https://bit.ly/2ULpdyL