『void tRrLM(); //ボイド・テラリウム』は高度にシステムと体験がマッチしている #ボイド・テラリウム
ゲームにおける、体験、システム、世界観、ビジュアルがマッチしているのはそうない。『void tRrLM(); //ボイド・テラリウム』はその稀少な一本になりうると見ている。
よう、兄弟。俺だ。今日も良く来てくれたな。
俺:パルプスリンガー、禅僧。降り積もる、積みゲー。
今日はツナ缶食べたい氏の以下のエントリィから、『void tRrLM(); //ボイド・テラリウム』の体験版をやってみたのでゲーム内容を解説してみようと思う。知るきっかけをいただいたツナ缶氏に感謝を。
1:『void tRrLM(); //ボイド・テラリウム』とは介護
かなり乱暴な圧縮を行うと、ボイド・テラリウムとは介護を行うゲームだ。
環境は、人類が絶滅した重汚染世界。主人公である君、すなわちロボットは奇跡的に巡り合った人類最後の生き残りの少女を生き延びさせるべく行動する事になる。
何せ人類がほぼほぼ死滅する様な汚染環境なので、少女が自力でさばいばるとかそういうのは無理。その為、命の危険などがないロボットが少女を活かす為の資源を収集していく必要がある。
つまり、ボイド・テラリウムのもたらすゲーム体験とは即ち『介護』の一言に集約できる。どういう体験を得てもらうか明確にデザインされているのはとても重要で、この後の話にも密接にかかわってくる。
2:ローグライクに介護対象を加えることでゲーム性に厚みを持たせている
まず、ローグライクゲームとは何かから説明しよう。
ローグライクゲームとは、一回ゲームをプレイする度にステージの構造が変化するゲームだ。元々はローグというゲームが祖となったシステムで、最近ではステージ構造が変化すれば何でもかんでもローグライクと呼ぶ風潮がある気がする。
端的に言うと、ローグライクとは『不思議のダンジョン』で呼称されるタイプのゲームの事だ。特にボイド・テラリウムについてはその認識で居ておいてもらって構わないだろう。
さて、ローグライクゲームで肝となるのが、手持ちの資源、リソース管理だ。管理するリソースはダンジョン内で活動するための食料に始まり、敵からのダメージを受け止めるライフ、減ったライフを回復するための治療薬、あるいは戦うための武器防具など、適切なタイミングで活用する必要がある。無駄遣いは、油断ならない迷宮においてすなわち死だ。
ボイド・テラリウムは、ベースのゲームシステムにこのローグライクゲームを採用している。一見介護というゲーム体験には不要な要素に思えるが、決してそうではない。以下で解説しよう。
介護対象である少女は、人間なので生きていくために様々な資源を必要とする。最低限食べ物は必要だし、重汚染世界なので汚染から身を守れる環境構築のための資材も必要だ。その資源はダンジョンでロボットが回収する事になる。するとどうなるだろうか。
答えは、プレイヤーが管理すべき資源と数値が増え、よりひりついた、切羽詰まった探索が求められるようになる。これが非常に大きい。
旧来のローグライクゲームでは、最悪自分の身さえ守れればよかった。パーティメンバーを構成できるゲームでも、独りの方が安定して探索できるなどという声さえあった。自分さえ生き残れれば全て解決するのが既存作のローグライクゲームなのだ。
しかし、ボイド・テラリウムはここに刻一刻と衰弱し弱っていく少女という保護対象を付け加える事で、より一層慎重な資源管理をプレイヤーに求める様にデザインされている。ゲーム目的が少女の介護である以上、ロボットだけが延々ダンジョンをさまよっていてもダメだからだ。彼女を活かせる資源を回収し、なおかつ自分の身も守らなければならない。カワイイ見た目に反して、その実タフな判断を求められるという事である。
プレイヤーに対して、提供するゲーム体験とゲームシステムがマッチしているのはとても重要な事だ。
3:『介護』という体験を軸に、適切なゲームデザインがなされている
体験版の範囲だけでも明確に読み取れたのが、ボイド・テラリウムはまず『介護』という体験をあたえる事が土台にあり、その為に必要な要素としてローグライクと世界観を割り当てている。適切なデザインが、ゲームに統一感を与え、齟齬を生じさせていないのだ。
ここで、制作側が与えたい体験と、ゲームシステムが食い違っているとプレイヤーに対しては甚だしい不快感として立ち上がってくる。基幹システムは良いけどサブシステムがダメとか、ゲーム部分に世界観やストーリーがマッチしていないといった状態は、作品の質全体をさげてしまう。各要素がしっかりと組み合わさっているボイド・テラリウムは非常に丁寧なデザインニングが行われたと言って良いだろう。
後は本編部分のバランスがしっかり調整されている事を祈るばかりだ。
体験版部分はチュートリアルという事で緩めながらも、ローグライク部分も適切な判断が求められるピリッとした難易度に仕上がっていたので本編部分にも期待したい。
戦場へ
今日び、ここまで丁寧な設計がなされているゲームは中々貴重と言えるのではないだろうか。『void tRrLM(); //ボイド・テラリウム』の発売は1月23日である。本編が出たら購入して再レビューするつもりだ。
公式のリンクも貼っておくので興味が湧いた方は是非チェックしてみていただきたい。
今回はここまでだ。またな。
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主にロボットが出てきて戦うとかニンジャとかを提供しているぞ!
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