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パンドラ・イン・ジ・オーシャン -17- #ppslgr

海底を照らす光に脅威を感じ取ったか昏くたゆたう深淵の勾玉は一斉にその身から触腕を眼前の敵対者へ殺到させる。

「させませんよ!」

深海ギリースーツ潜水機二機は一足先にサイドに展開し、ニードルガン高速掃射で迫りくるラセン回転触手を撃ち抜ぬき防ぐ!なおも迫る数え切れないほどの仄暗い檻杭!

全神経をイクサ・プロウラと一体化させ、五感を超スローモーション撮影めいて低速化。まずは頭部を狙った一本を最小限のスウェーで回避、続いて脚部を狙った二本に飛び乗るように足蹴に!そのままモノレールの真似事で触腕の上を滑りながら前進!

当然目の前を埋め尽くすほどの物量でもはや槍の壁と化した直線距離を居合の前兆動作を保ったままにすり抜けていく。ほんのわずかに装甲が削られていくが、耐圧機能を損なう程ではない。

蒼光をまとった流星と化して異形の黒星の懐まで飛び込めば、機体が持つ波導を握りしめる太刀に注ぎ込む!輝きが集約された、夜明けの暁にも似た剣を裂帛の気合と共に振り抜く!

「光明遍照……塵刹一閃!」

墨で塗りつぶされたも同然の暗闇の海底が一転白夜の様に輝きに満たされる。だが、都市一区画程度ならたやすく斬り裂く一撃をもってしても、イクサのセンサーは俺のニューロンに敵が健在であることを入力してくる。そしてそれは予想の範疇のうちだ。

すぐに再び修復に入ろうとするヌバタマを前に、太刀をつかんだまま機体の左腕を斬撃の間隙へ可能な限りねじ込む。

水中では熱エネルギー系統の兵器は役に立たない。だがそれは、敵との間に水があればの話だ。零距離であれば熱エネルギーはそのまま敵本体に直接作用する。

「この鬱陶しい寒天、残らず剥ぎ取らせてもらう……!」

先程の一太刀と同様に再び左腕を介して太刀が輝きを帯びる。取りも直さず、左腕そのものもだ。次の瞬間、機体の持つエネルギーを解き放つとヌバタマ内部で莫大な光熱が出現し、この名状しがたい寒天を内側から焼いていく。

「ルゥゥウウウリャアアアアアアア!!!!!」

無限熱量でもって暗きヌバタマの被膜が全て蒸発したのとほぼ同時に、その身を光り輝く巨大な銛のごとく猛進したカルティマリナが隙を与えぬ二段構えで不気味に脈打つ中核、そのど真ん中を貫いた。

焼け落ちそうな左腕を切り離す俺の視界に、間髪入れず追撃として友軍の二機からありったけの魚雷が撃ち込まれていく。普通に考えればダメ押しもいい所だが……俺の直感がさらなる危機を告げる。

「疾ッ!」

健在だった右腕で脇差を振り抜けば、爆発の最中より飛び出しDとLを狙った何者かを斬りはらう。ヌバタマのそれにもまして奇怪な感触がセンサーへと伝わった。

『アハッアハッアハハハハハ!!!』

海中その物を震わせ、新たなる姿を披露したヌバタマは笑う。その姿は人型を模したピンクのヒトデにヌバタマの黒寒天が魔女の衣めいてまとわりついたさらなる名状しがたい異形であった。

「ここに来て第三形態とは、中々にサービス精神が旺盛だな」

はっきり言って状況は余りよろしくない。イクサ・プロウラは既に左腕と大太刀、さらには余剰エネルギーを犠牲にしてしまった。ギリースーツ潜水機の二人も今の追い打ちで撃てる弾は撃ちきった、健在なのはカルティマリナだけだ。

万事休す……かと思いきや、俺の命運はまだ尽きていなかったらしい。

闘志尽きる事無く獲物を構える俺とM・Hを制するように、水中に有ってなお威力が保たれた奇妙なレーザーがヌバタマクイーンを薙ぎ払った。

「おうおう!ちっとばかし遅れちまったが俺の目の黒いうちは仲間も!ゲストも!魚の奴らも!やらせはしないぜ!」

【パンドラ・イン・ジ・オーシャン -17-:終わり:-18-へと続く

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