見出し画像

パンドラ・イン・ジ・オーシャン -14- #ppslgr

また一体、両断されたイカの吐く墨めいてヌバタマが解け落ちる。
ヌバタマには数、伸縮自在な身体など、脅威となる点は幾つもあるが今の所陸地はそこまで得手ではないのか俺とM・Hの猛攻を阻むには至っていない。

「俺達はここに引きこもってていいのかよ!」
「さっき扉を開ける前に説明しただろう、五人で中に入った場合なら三人が銃器持ちかつ他二人はああも飛び回る達人だ。射線を限定しなければたちまち誤射していまうぞ」
「それに僕達は弾数限られているのもありますし、ここは彼らを信じないと」

俺がうちもらしたヌバタマが三人が待機する出入り口へと這い寄ると、たちまち銃弾が何発も撃ち込まれた後、トドメのショットガンによる一撃で上半身を爆ぜさせて散った。

「それでいい!俺達の心配よりも居住区へ侵入するヤツが居ない様に迎撃してくれ!」

押しかためられた砂を薙ぐような感触と共にまとめて三体を横薙ぐままに三人にはそのまま迎撃態勢を維持してもらう。

M・Hはと言うと今度は何処から取り出したのかカジキマグロを槍めいて突き出し、そのクチバシでもってうごめく影を五体まとめて串刺しにした後壁に叩きつけて粉砕!さらには投げ槍めいてカジキマグロを投擲すると奥の大型ヌバタマに大穴が空く!

「これだけ斬ってようやく半分ってとこか」
「まったくどれだけ中に詰め込まれていたのかしら!」

大分数を減らしたヌバタマの群れを前にして刀を構えなおすと、影の群体も対抗するようにひと固まりに集約しだす。ヤツラは見る見るうちに奥の行き止まりを覆いつくして影のるつぼの様に姿を変えた。

「おい、不味いぞ!奥を塞がれちまった!」

Gの一声に返事する間もなく前方から殺到した触腕の群れをがむしゃらに斬りはらう。切断された影の腕が宙を何本も舞っては崩れ散っていく。しかして残りの個体を全て足した質量のヌバタマはちょっとやそっと切り取って破壊した程度では減った様に見えない。

こちらの目的を理解する程度の知能があるという事か、はたまた完全な偶然か、いずれにせよこの暗闇のるつぼを破壊しなければ奥に進むことはできない。最奥の盛り上がった部位が鈍く紅く光る、あの部位が核にあたる部分だろうか。

「R・V、あの光る部位に切れ目を入れる事は出来るかしら」
「任せてくれ」

間合いにしておよそ15M。当然、本来であれば刀身が届く訳もないが、この程度の距離を斬れぬとあらば剣客の名が廃る。奥ゆかしく刀を鞘に納めると身を前のめりにし、全身の感覚を制御する。

「……斬ッ!」

裂帛の気合と共に放たれた居合の斬撃は真空を巻き起こし、見えざる刃となってはるか遠くのヌバタマを切裂く。黒ずんだ水まんじゅうみたいな中核に深々と切れ目が走った、だがそれだけでは浅い。

「ルリャーッ!!!」

だが間髪入れずにM・Hもまた両腕の袖から黒光する細長い何かを取り出す……エレクトリックイールだ!ブーメランめいて投擲され放電する恐るべき発電生物!

明らかに自然界のそれとは一線を画すアニメーション的放電をまとったウナギブーメランは、未だふさがらずにいた切れ目にドンピシャで叩きつけられるとトンネル坑内がまばゆくなるほどの電撃を放出。合体ヌバタマの隅々に至るまで感電させては稲光が収まった後にはばらばらと炭屑が崩れ落ちるばかりとなった。

「俺はいま、アンタ達が敵じゃなくって心底よかったって思ってるぜ……」

Gの呆れ混じりのつぶやきについては、聞かなかったことにしておいてやる。

【パンドラ・イン・ジ・オーシャン -14-:終わり:-15-へと続く

一話はこちらからどうぞ

まとめマガジンはこちらからどうぞ

宣伝

コミックマーケットC96_8月11日日曜日、西C40bのていたらく本舗様に同伴する形で同人誌を頒布させていただきます!

弊アカウントゥーの投稿はほぼ毎日朝7時夕17時の二回更新!
主にロボットが出てきて戦うとかニンジャとかを提供しているぞ!

#小説 #連載小説 #パルプ小説 #ロボット小説 #スーパーロボット #不幸な事件 #パルプスリンガー #れいのきかく #パルプスリンガーパルプ化計画 #人が死ぬ#パルプ #バイオレンス #マグロ #毎日投稿 #毎日小説 #毎日更新 #毎日Note #パルプスリンガーズ

いいなと思ったら応援しよう!

遊行剣禅@一週間全文無料
ドネートは基本おれのせいかつに使われる。 生計以上のドネートはほかのパルプ・スリンガーにドネートされたり恵まれぬ人々に寄付したりする、つもりだ。 amazonのドネートまどぐちはこちらから。 https://bit.ly/2ULpdyL