いじめ・虐待の誘発要因は環境にあり
何故、そういう事態が発生するか考え込んでいる人が多いので、ちょっくら回答を書いてみよう。コレに関してはもう原因が明確なので、問題解決の方にリソースを回してほしいとか思っているので。
前提1:人間はストレスが増すと攻撃性も増す
大前提として、人間を初めとする生物は、ストレスがかかると防衛本能から攻撃性が増すように出来ている。これは不安定な環境に置かれた人と、安定した環境に置かれた人を比較するとすぐに分かる事だ。
例えば、猫ちゃんでも飼われて優しく育てられている猫と、野良で一日一日を必死に生きている猫では他者に対する反応は、後者の方が苛烈になる。人間も、同様の性質があるのだ。
また、歴史を鑑みても、人間の攻撃性が増すのは過酷なストレスがかかった時であるのは明白ではないだろうか。一揆、米騒動など、日本史だけでもこの様な暴動が発生するのは、生存に対して重大な不安がつきまとっている事が根幹にある。
まずこれが前提の1となる。もちろん、個体差など他の要因も絡んでくるが、大きいのはここだと認識しておいて欲しい。
前提2:増大した攻撃性は、周囲の「弱い」個体に向けられる
いじめにしても、虐待にしても、根本的なギミック・構造は同じだ。
ストレスによって増した攻撃性は、通常もっとも身近な、抵抗能力の無い個体に向けられる。学校であれば孤立していたり、余り強くなさそうに見える人。家庭であればそれは子供が対象になる。
これは社会や会社でも同様の事象が起こっている。人種差別であったり、障害者排除、今だと流行り病を根拠に煽ったりとかも入るだろう。後は政治理念の差から対立者を攻撃したりだとか。
人間も生き物なので、生理機能から生じる衝動をコントロールするのは難しい。というか、ストレスが溜まっているのに無理に表に出さずに我慢しすぎた場合は、今度はウツになる。しかしだからといって周囲にあたり散らすのも迷惑な訳だが。
これが前提の2だ。
前提3:ストレスの発生要因は環境にある
ストレスが発生する要因は、基本的にその人が置かれた環境にある。
現代社会は、ストレス社会と言われるほどの状態だが、それは社会環境全体がストレスを誘発しやすい構造になっているからだ。
人間同士の距離の密接さ、競争が過熱する社会、血縁関係は薄くなり、子育ては核家族化で他者の支援が受けにくい、などなど。まあ中々生きにくい世の中だ。
だが、学校内のいじめ、家庭内暴力、後は会社内の抑圧とかも入るが、それらはエスカレートしやすい傾向がある。これには二つ共通の理由がある。細かい差異についてはちょっと置いておこう。
まずひとつ、閉鎖環境に勾留されることは、それだけで人間にとって結構なストレス要因だからだ。しかも人間同士の距離感が近すぎるし、自由を奪われるのも多大なストレス要因になる。
例えば、刑務所などでは囚人の攻撃性が増すが、これは閉鎖環境での抑圧、自由の剥奪、人間同士の距離の密接さなどが絡み合って多大なストレスを与えているからだ。このことについて、囚人を手厚くもてなす刑務所なんてのがあるのだが、ここでは囚人の攻撃性は大幅に下がり、出所後の再犯率も低下したという。
つまり、同様の環境要因が学校、家庭、会社にも潜んでいるといえる。
これが前提の3だ。
前提4:ストレス耐性の低い人から爆発する
人間には個体差がある。日本人は個人差、個体差を無視したがる傾向があるが、個体差があるのが現実だ。それは取りも直さず、個々のストレス耐性についても、個体差があるという事でもある。
では、同じ様に一律でストレスをかけた場合、誰から爆発するかと言うと当然、ストレス耐性の低い者から攻撃性が発露していく。これがいじめ、虐待が表面化するタイミングだ。
攻撃性が増した人物は、周囲の攻撃してもいい相手に対して攻撃を行うことでストレスの発散を試みる。この時、攻撃対象から反撃が無かった場合、攻撃がエスカレートする性質がある。喧嘩はいけませんとか言って反撃を封じると、いじめがエスカレートするのでご注意いただきたい。後々の事を考えれば、喧嘩に落とし込んだほうがまだマシである。
家庭についても、かかっているストレスが強すぎるか、あるいは耐性が低い者は攻撃性をあらわにし、子供にあたるようになる。しかも閉鎖空間なので、表沙汰には中々なりにくいのが実情だ。
結論:いじめ・虐待は環境が誘発する
個体差がトリガーになっている所はあるものの、基本的にはいじめ・虐待を誘発しているのは加害者の置かれた状況、環境だ。そのため、精神論や倫理論をぶつけた所で、一切解決はしない。環境改変にメスを入れなければならない。
解決の為のプラクティスと実例
机上の空論では無いか、と思われるかもしれないので、実例を上げてみようと思う。東京都世田谷区立、桜丘中学校の話だ。
桜丘中学生では、新しく赴任した校長先生の方針により、それまでの規則が徐々に撤廃され、生徒に対して行われる抑圧が大幅に減少した。
その結果どうなったかと言うと、赴任前に多発していたいじめや不登校は減少したという。これは、上記の俺の推論を裏付ける一例だ。
もちろん、ウチは厳格に管理することで品行方正に努めてますよ、と吹聴するところもあるだろう。だが、それはあくまで教師の眼の届く範囲の話。家庭内暴力と同様人の目の届かない所で爆発するだけと、俺は推定している。
問題は、家庭内暴力の方だ。ストレス要因が多岐に渡る為、一律にコレをすればいい。という銀の弾丸はない。ケースに合わせて、ストレスの緩和措置をとる必要がある。
その際に重要になるのが、辛いこと、苦しいことを表沙汰にしてはいけない風潮だ。その結果として、他者に相談することも、原因を取り除く事も出来ずにストレスをためてしまった結果、暴力に走ることになる。
まず、辛いこと、悩んでいることは早め早めにオープンにして、共感を求めたり、具体的な解決策を模索する方向へと社会の風潮を倒して行く必要があるだろう。以下に、よくあるパターンの解決策を考えておいておく。
・赤ちゃんの養育が大変すぎる
>赤ちゃんの世話で睡眠時間が削られ、ストレスが緩和しないのがでかい。他者に頼って、両親の睡眠時間を確保する日を作ろう。育児の悩みとかも、早めに共有出来る仲間をもつと良い。
・夫婦間の不和
>黙ったままストレス要因を放置すると巨大化するので、イラっとしたらその場で何についてイラっとしたか説明して、可能であれば以後回避してもらうようにしよう。
・職場のストレス
>劣悪な職場環境や、人間関係なら転職するだけで解決することもある。
もう少しまともなとこを探すのも立派なストレス源の解消だ。
・子供が思うように成長してくれない
>子供は生まれたときから独立した一個人。過度のコントロールはやめよう。その方が親側のストレスも減る。もちろん倫理観などの最低限の教育自体は必要なのだが……
上記以外にも、人間が体験する悩みは、大体どっかしらで先人が体験していることでもある。おなかに抱えて溜め込むより、早々に表沙汰にして、理解と協力を得よう。
戦場へ
環境がストレスを溜めさせ、ストレスが人間をいじめ・虐待に走らせる。
この仕組さえ把握できれば、解決の方向も見えてくる。環境を少しでもストレスフリーにすることが一番の方策と言えるだろう。
この内容がちょっとでも、周囲の暴力を減らす一助になれば幸いである。
今回はここまでだ。またな。
現在は以下の作品を連載中!
弊アカウントゥーの投稿はほぼ毎日朝7時夕17時の二回更新!
ロボットが出てきて戦うとかニンジャとかを提供しているぞ!
ドネートは基本おれのせいかつに使われる。 生計以上のドネートはほかのパルプ・スリンガーにドネートされたり恵まれぬ人々に寄付したりする、つもりだ。 amazonのドネートまどぐちはこちらから。 https://bit.ly/2ULpdyL