『夏への扉』を令和の今頃、読んだ

何はなくともネコは友の『夏への扉』

有名な古典SFのアレ。作者が猫派なのですごい首肯する箇所が多かったけど主題としてはタイムトラベラーモノ。

書かれたのが1956年なので、その時代であるがゆえの未来空想が土台になっているんだけども、どうも2030年に入っても当時の2000年代のこうなっているだろう、には大分追いついてなく、哀しみがある。歩道はどこでも自動歩道じゃないし、家政婦ロボもいない。スマホはある意味よっぽど強いが、家事ロボットはやっぱ早めに出てきてくれたほうが良い気がする。お掃除ロボは出てきたし、徐々にロボットの活躍も家庭に踏み込んでいるからもうじきに出てくるかもしれないが。

やはり、シャーロック・ホームズと同様古典名作として話のひっくり返し方がとてもうまい。未来への切符として冬眠装置を使うことで、後半でどうひっくり返すか読者の意識を反らしている。伏線の配置も実に巧みで、読者に悲しい想像をさせる情報が最後の方でものの見事にひっくり返されるのはさすがの一言。

とはいえ、現代の感覚からすると女性の描写が大分わるい気もする。下手をしたら、愛猫の方が力の入った描写ぶりで、真のヒロイン(雄猫だが)といえるかもしれない。

しかしながら、フレデリカも主人公にとっての最愛であり救いであることには疑いがなく、彼女の行動からすれば第三者が茶々をいれて水をさすのはいかにも空気が読めない感じもするな。

SFにおける空想が青天井になった今でも、物語としての骨子が強固で、面白い作品なのは間違いがないです。

戦場へ

小説力を取り戻すために、兎にも角にも数を読んでます。もっと暇がほしいものだなぁ!

今回はここまで、またな。

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