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ヒトよ、ネコと和解せよ -10-
ビル屋上に上がったM・Nの叫びに応え、空の彼方より流星の如く一体の機動兵器が飛来する。獅子頭のスフィンクスめいたその物体は、ビル上空に黄昏の尾を引いて到着すれば見る間にその姿を可変させた。
まず、香箱座りの様にそろえられた前足は両側に開き人間の腕の如く展開され、胴体が下方にスライド、この時点で前半分が人間の上半身の様な構成になり獅子の頭部は胸部を覆うエンブレムと化す。
後ろ半分もまた二つに分割されると重厚な装甲をまとったかの様な両脚となり、背についていた翼を模したスラスター部は雄々しく広げられ、獅子頭とは別に人間の頭部が胴体からせり出す。
変形が完了すればそこには金色に輝く獅子をモチーフにした巨大な人型機動兵器が姿を現した。
「ようやく到着したか」
そして一連の召喚・変形シークエンスを見ていた俺はどうしていたかと言うと、愛機である黒騎士の如き人型機動兵器『イクサ・プロウラ』ごとネコ型メカ兵器の群れに滅茶苦茶齧られていた。つらい。
まだオフィスビルを中心とした事件現場エリア外周からは避難が進んでいなかった。その為、周辺への被害を避けるためにドーム型波導防壁でもって敵対兵器を閉じ込めたのだ。その結果、閉鎖空間を構築している俺に攻撃が集中したという訳だ。
「あちゃー……ゴメンゴメン」
「俺の方は気にするな、それよりも親玉を頼む!」
「了解!」「にゃおーん!!!」
俺の求めに応じて向き直るセクト・マキナの正面上空には古代伝承である文福茶釜のタヌキをネコに置き換えたかのような、茶釜にこもったネコが如き巨大浮遊要塞が出現していた。茶釜後尾からあの九尾を展開させ文福茶釜ネコ要塞は瞳を金色に輝かせる。
『有象無象が、貴様ら二人と一匹程度に止められるこのネコマゲドンではないわ!』
そのネーミングはどうなんだと突っ込む前に、羽をはやしたメカネコ兵器の群れがネコマゲドン上部の蓋隙間から幾重にも出撃する。シュールな光景だが、その戦闘力は決してお遊びではない。こちらが負ければ大量殺戮待ったなしだ。
「お前らの相手は……俺だっ!」
機体全面にかじりつくネコ兵器を、装甲前面からの波導衝撃でもって吹き飛ばし、続いて両掌底と背部翼型波導制御ユニットよりたなびき綾なす星虹でもって迎撃する!空をネコ兵器の爆発が埋め尽くした。
「ちょっとやりすぎだよう!?」
「転移脱出装置はネコチャンにも機能している!既に確認した!」
『この期に及んで敵の心配などと悠長な事だな!』
文福茶釜型要塞ネコマゲドン頭部の目より、紅色の魔眼光線が空中を薙ぐ!狙う先はセクト・マキナだ!だがM・Nも即座に反撃する!
「セクトマキナ・ビィイイイイイイム!!!」
セクト・マキナ胸部の獅子エンブレムからも黄金色の閃光が茶釜要塞に向かって放たれ、空中で金紅の帯が正面から激突!波導防壁内をエネルギーの衝撃が暴れ狂う!
【ヒトよ、ネコと和解せよ -10-終わり:-11-へと続く】
第一話はこちらからどうぞ。
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