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ライフ・イズ・エンターテインメント!-9-

 カタパルトに据え付けられた戦闘機の如く力を溜め込んだ姿勢から、単眼鋼鉄巨人はとてつもない威力のタックルを繰り出した!コロシアムの壁に激しく叩きつけられる紅蓮巨人!

「ヌゥオワーッ!!?」

 壁衝突によりよろめいた紅蓮巨人は身構える事無くそのまま胴に組みつかれる!相手の両腕をへし折らんほどにホールドしたままブリッジから繰り出されるあれは……バックドロップ!

 闘技場ごと砕かんほどに勢いをつけたバックドロップによって、上半身を埋まるほど打ち込まれる紅蓮巨人!だがバロールの猛攻はこれで終わりではなかった!すべらかに胴ホールドを解いて無防備になった両脚をホールドしなおすとシーソーめいて真正面へと投げ放つ!

 大地から引き抜かれて再び大地へと叩きつけられた紅蓮巨人!全身に度重なるダメージに寄る亀裂が深まるがバロールは容赦しない!両脚ホールドしたまま繰り出したこれは……ジャイアントスイングだ!

 ここまで、タックルからのバックドロップ、変則型パワーボムにジャイアントスイングという四連コンボは当然ながらパイロットだけの機体制御で繰り出す事は難しい、これは紛れもなくH・MとK/Rの共同作業だ。

 台風の根源めいたとてつもない勢いの旋風回転は振り回される紅蓮巨人の色彩を反映して焔の竜巻へと変わり、トップスピードに乗った所で遥か彼方上空へと投げ放たれた!

「いくぞK/R!フィニッシュだ!」
「了解、ターゲットロック、落下軌道予測完了、マスター、いけます」

 逆バンジージャンプの様な全身のバネと脚部背部よりせり出した噴射機のブーストによってスペースシャトルの発射の如く上空へと射出されたバロールは遥か彼方に投げ飛ばされた紅蓮巨人へと到達!あやまたぬ正確な捕捉により紅蓮巨人を逆さまにホールド……まさかこの体勢は!?

「これが俺達のフェイバリットフィニッシュだーっ!!!」

 上空に視線を向けた俺の視野で、空中から高速回転する破滅的威力をもった隕石の如く螺旋運動を繰り出してバロールは落下!紅蒼の縞模様ドリルとなって大地へと突き刺さる!衝突エネルギーがコロシアムを、俺の駆る機体を揺るがす!

 鋼鉄コロシアム全体が即席のクレーターによる陥没に巻き込まれ崩落する中、俺は乗機を操りクレーター中枢部へと向かう。中には衝撃で粉々寸前までひびにまみれた紅蓮巨人が大地へと埋め込まれており、バロールはその傍らで両腕を突き上げ勝利宣言。

『ライフ・イズ・エンターテインメント!』

 通信に二人の勝利宣言が伝達されると中継を観戦していた観衆たちからも怒涛の歓声が返ってくる。俺のコクピットもあふれる声量で振動しっぱなしな中に、ほんのかすかなあのヒールの声が伝わる。

「ハッハァ……燃え尽きたぜ……」

 わずかに俺の聴覚に届いた彼の声は、なんとも満足感にあふれたように感じられた。もっともあれだけ暴れれて歓声を浴びたなら勝ち負けを越えて満足できたのもむべなるかな。

ーーーーー

「だーかーらーっ!ここはダブルインパクトナックルだっての!」
「私の推論ではトライアードドラゴンラッシュの方が観客へのアピール効果が高いと考えられます」

 いつも通りパルプスリンガー達が集うバーメキシコでは多数の読者の視線を集める口論が展開されていた。一人は一つ目アイコン覆面の大男、もう一人は10代くらいに見えるブロンドの少女アンドロイド。

「一体今度は何口論してんだ?」
「より盛り上がる試合展開について、だそうだの」

 俺ともう一人、J・Qの視線の先でH・MとK/Rはさらに口論をヒートアップさせていく。

「チッ、議論じゃラチがあかねぇ」
「同意見です、マスター」

 二人はそろって俺の方を向く。まて、その展開でこっちを向くという事は。

「デモンストレーションに付き合えR・V!」
「私とマスターの理論のどちらが正しいか実地検証にご協力ください、まっくろくろすけさん」

 予想通りの展開に俺は思わず頭を抱えた。俺だって暇じゃないのだがなぁ!

【ライフ・イズ・エンターテインメント!-9-終わり】

作者注記

本作はNoteに投稿しているパルプスリンガーをモチーフに小説を書く、という企画の五作目だ。参加者は23人?いるので後18本だ、ガンバレ俺。

 と言う訳で今回の主役はこちらの方。

 へるま=サンです。人生いずエンターテイメント!

 もうアイコンの時点で特徴的なので、一番こだわりを持っているとお見受けしたプロレスを下敷きに、単眼アイコン覆面レスラーとしてデザインしました。もう著作の端々までエンターテイメントにこだわりを持っているのが伝わってくるのでストーリーも其処に重点を置いた形に。

 パートナーである少女型アンドロイドはもちろん著作である『
カレン・ザ・トランスポーター』の主人公をモデルに、世界観に合わせて設定を再構築する形にさせていただきました。

 乗機である『バロール』はファイトスタイルに合わせてプロレスラーを模した機体としてイメージを構築し、ケルト神話の単眼にして強靭な肉体を持つ魔王バロールから名前を取りました。設定上だけは頭部単眼部からの強力なレーザー砲などの光学兵器を複数搭載しています。

 以上、ご参加、ありがとうございました。

第一話はこちらからどうぞ

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