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後ろにいる人

同じ区内で「手仕事市」というのがあって、面白そうなので行ってみた。同区内とはいえ、電車とバスを乗り継いで行かなければならなくてちょっと不便。

でも、行ってみたら、畳敷の宴会場のようなところに、バッグ、衣類、アクセサリー、おにぎり、お茶、ハチミツ、竹細工などなど、いろんな手作り商品が並んでいて楽しい。

私はミノカサゴがプリントされたTシャツを衝動買い。前身ごろに2匹、背中にも1匹ミノカサゴが泳いでいて、「このミノカサゴが目に入らぬか」と啖呵を切りたくなるようなゴツさ。。。ウツボ柄もあったが、さすがにウツボは。。。というわけでミノカサゴにした。ただ、前身ごろのプリントが下の方にあって、これだと背が低い私はますます背が低く見えるんだよね。。。でも、面白いので買ってしまった。

この夏、ミノカサゴを背負ったウツボみたいな顔したオバはんが歩いてたら、私やもしれませぬ。

ところで、ここで「チャネリング手相」というコーナーを見つけて、「はて(懐かしい)」と思った。しかも、10分1000円!ですと。そういうのが大好きな私は観てもらうことにした。

そのチャネラーでもある占い師さんは私の手相を見ながら、私の性格的なことや健康面、外国暮らしをしていたことなどを言い当てた。私の手相は右と左がけっこう違っている。生まれ持っての性格はわりと慎重だが、後天的な性格は向こう見ずなところがあり、それでなんとかバランスをとっているそうだ。「だから海外に行こうとも思えたんでしょう。両方この向こうみずな手相だったら、かなり無鉄砲なことをしていたかもしれません」とのことで、思い当たる節々がポキポキ鳴った。

「最後に何か質問はありませんか」と聞かれたので、すかさず、「死ぬまでお金に困らずにやってけますか」と聞いた。実はこれです、いっちばん聞きたかったのは。今さら恋愛運でもないし。

すると、そのチャネラーさんはちょっとの間目を閉じてから言った。「後ろにいる方が『なんとかなる』と言ってます」

私は思わず吹き出しそうになった。「これから思わぬ大金が転がり込んできます」みたいな、あわよくば、の言葉をダメもとで期待していたのだが、そうかあ、なんとかなるか。。。

フリーランスとして働くようになってから、ピンチになるといつも「なんとかなる!」と自分に言い聞かせていた。いよいよなんとかならなさそうだという気配が濃厚になってくると、「なんとかする!」と開き直っていた。いつも、「なんとかなる」か「なんとかする」と自分に言い聞かせ続けて三十猶予年。振り返れば何がどうなってこうなったかよくわからないか、気がつくとなんとかなってはいた。

でもさ、これからもこれが続くのかよ〜。老後はラクしたかったのにぃ。「悠々自適な人生」を人様のためにではなく、自分を修飾する言葉として使いたかったぞ。

でも、多くは望むまい。なんとかなるなら雨つゆをしのげる場所で死ねるんだろう。それだけでもよしとしよう。あんまり欲張ってもね。。。

なんだか初詣で「大吉」を期待しておみくじを引いたら「小吉」だった時のがっかりしたようなホッとしたような、めでたさは中くらいなり、みたいな、あまりに身の丈に合いすぎていてつい苦笑。そうか、やっぱり死ぬまで凡人か。。。

ところで、私の後ろにいる守護霊さんって誰ですか?

と問うたところ、チャネラーさんがいうには、どうやら私の母方の祖父であるらしい。私は亡くなった父か、双方の祖父母、または私をかわいがってくれた、私がよちよち歩きの頃に亡くなった曽祖父のうちの誰かだろうと思ったが、母方の祖父であったか。でも、「なんとかなる」と一番いいそうなのは、確かに母方の祖父であるような気がしておかしかった。




らうす・こんぶ/仕事は日本語を教えたり、日本語で書いたりすること。21年間のニューヨーク生活に終止符を打ち、東京在住。やっぱり日本語で話したり、書いたり、読んだり、考えたりするのがいちばん気持ちいいので、これからはもっと日本語と深く関わっていきたい。

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