猫と暮らせば、2

訳あり女の姉と姪っ子と猫2匹を連れて、今暮らしている家に引っ越してきた。
下には同棲カップル、犬3匹。彼女さんはだいぶ馴れ馴れしい感じだった。友達にはなれないタイプ笑

まぁ、それは置いておいて。

姪っ子は保育園に通い始め、東京生活が長かった姉は自動車学校に通い始めた。
各々が新しい生活でテンテコ舞いになっている最中、エルが痩せ始めた。
元気は元気、走ったり飛んだり。ご飯もしっかり食べて、出すもんはしっかり出す。
ただお水をたくさん飲むようになった。
もうそうなってからは手遅れなのだ、と当時知る由もなく、「おぅおぅ、羨ましいな、デブよ」とデブが元デブに言った。

動物系の大学に通っていた姉に頼まれて動物病院に連れて行った。

腎臓の数値が悪い。

はぁ、腎臓の数値ですか。

気の抜けた返事。
無知って本当どうしようもないね。我ながら。

坂道を転げ落ちるように急激にエルの体調は悪化していった。
最初はとにかく動かなくなり、やたらとベタベタしてくる。ご自慢の毛並みもベタベタしてきた。

何度も動物病院に通って、点滴を打つ。
一瞬は元気になるものの、すぐにまた動かなくなる。

正直、この頃のことはよく覚えてない。

とにかく彼の体調よりも、ただただ長生きさせることに躍起になっていたと思う。

けれど、ある日突然、ふいに思う。

これは彼を苦しめるだけの行為だということ。
自分勝手で、自分よがりで、ただの自己満足。

先生に伝える。
返事は覚えてないけど、
あれから先生には会ってない。

エルが逝ったのは、土曜の朝だった。

車で20分ほどのお寺で火葬してもらった。
暑くも寒くもない曇天模様の日曜のこと。

ああすれば良かった、こうしてあげたかったなんて今更思ったって遅くって。
けど、エルが教えてくれたこと、ちゃんとやるよ。
これからもっともっと四足歩行の家族を大切にしていくからね。

また何処かで出会ってくれよな。

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