【『無能なナナ』第11巻ネタバレ考察】小野寺キョウヤ・リン兄妹の過去と「人類の敵」!
※注意※
※単行本派による考察です。
※もちろんネタバレあり。
※原作を確認してはいますが個人の妄想に近いものなので、信憑性は保証できません。
ちなみに前回の記事です↓
以上、それでもいいという方のみどうぞ。
1.人類の敵、顕現!
「人類の敵」おったわ……。
今回順不同でいきます。何でって、ラストにあまりに重大な新事実が明かされたからですよ!!!
第11巻288ページ、見開きで描かれましたね。人類の敵の姿が。見た目からすると、教科書にあった通りの化け物です。鶴岡曰く
とのこと。
いや、能力者=人類の敵っていうのは知っていましたよ。そうね、ナナちゃん言ってたもんね。だからこそ能力者は隔離されてたんだもんね。そして殺し合いを容認というか半ば誘発してたよね。知ってる。知ってる知ってる知ってたよ。しかしその変容は予想外でした。
結構王道設定な気はしますけどね。特別な能力は若いうちだけで、年を重ねると別の存在になるという人生観。それでも思い至らなかったな―――!!
はい! ではまずわかったことの整理!
「人類の敵」に関する新事実!
能力者が20代前半から40歳までに変容した異形の存在
能力は保持したまま
理性はなく(記憶もない?)、生きている者を襲うことが唯一の目的
退廃的な気分や善悪観の喪失が、変容の兆し
殺人衝動など内面の変化が先に表れる
(以上、294~297ページより)
こうやって並べると結構フツー。テストに出るぞ。覚えておけ。今後誰かが殺人衝動を感じたらそれは怪しいサインですからね!
考察1-1|ナナオは「人類の敵」化が近い?他のキャラは?
順当にいけばナナオが「人類の敵」化レースの大本命ですが、今の私はもうるーすぼーい先生なんか信じないモードなので、そんな誘導通りいくかなあというのが所感。寧ろ気になるのはナナオのキヨミへの意味深な詰め寄り(130~133ページ)じゃないですか?
というかそもそもですね、ナナオの能力が人間の善悪観に作用するものなんですよ。これは「人類の敵」化の第1段階と関係ないんでしょうか。能力者たちが今後様々な局面で自分の人間性を保ち続けられるのか、それとも殺人衝動に負けて化け物になってしまうのか、という話になりそうな気がするんですが。ナナが鶴岡から離反したのも同様の問題ですしね。
というキヨミの決意とも合致するし! どうでしょう。
あとは郡セイヤも怪しくないですか?
っていうのが人間性の喪失かも…という。明らかに伏線ぽいんだよなー。
他のキャラも可能性があるのでこれもまとめましょう。
次の「人類の敵」化候補
中島ナナオ←伏線描写あり
清水キヨミ←ナナオの能力に関する意味深な描写あり
郡セイヤ←モグオの説明が人間性の喪失と関係あり?
小野寺キョウヤ←年齢的に
橘ジン(変身)=小野寺リン←年齢的に
橘ジン(本体)←年齢的に
これだけ書いたらどれかは当たりそう。
考察1-2|「人類の敵」の正体から考えられる鶴岡の思惑
これ、鶴岡の目的も見えたんじゃないでしょうか。
何と鶴岡タツミは、能力者たちの「人類の敵」化を防ぐために行動していました。
ほら、鶴岡はちゃんと志のある人だった!! 大義のために動いていた!!! みんな、このときのために手首のストレッチちゃんとしてたかーーー!? ハイパー掌返しタイムですよ!!
といっても、相変わらずの悪人面(背景暗闇)に高圧的な態度(ナナオ君にね)。かつ結局は能力者を実験動物扱いなので、あまり彼の心証は好転しなさそうですが…。しかも実はこの大義、嘘である可能性もあるしね。
とか、演説っぽくていまいち信用できない感がありますよね。鶴岡はこれまで、青少年を思い通りに動かしたいときにこういう口調になりがちでした。緩急織り交ぜてね。
よく見ると人類の敵の研究施設でのシーンは、ナナオの服装が父を殺してしまった時と同じなので、その直後なのでしょう。鶴岡は弱っている彼に衝撃の事実を突きつけ、高圧的に畳みかけて上手く配下に置いただけかもしれません。高邁な目的はそのための表向きの理由と考えることもできます。
現時点では、能力者の「人類の敵」化を防ぐ意思はあるがその動機はもっと個人的なことではないかというのが私の考えです。根本的な解決が目的だったと考えれば、これまで鶴岡が委員会や政治家たちに辟易していた様子にも説明がつきますしね。多分それは嘘ではないのでしょう。でもそれだけの人ではないよねっていう。単純に国のためとかで動く人ではなさそうだし。
真の動機が大事な人を救うことなのか、もっと悪どいことを企図してるのかはわかりませんが。あ~~、実は能力者の妹ナナを救いたくて…とかだったらどうしよ~~。鶴岡-ナナ兄妹説もなくはないのでね! 可能性は低めですけどね!
とりあえず可能性ありそうなものを挙げてみましょう。
鶴岡の根本の動機案
国のため、社会のため→なさそう△
誰かとの約束のため→あるかも〇
大事な誰かの利益のため(妹が能力者とか)→ありそう◎
能力者も化け物も従えて世界を手中に→なさそう△
ってとこですかね。いずれにせよみんな、引き続き手首のストレッチは怠るなよ!
考察1-3|ナナオが鶴岡に与した理由と今後の動向
そういうわけでナナオが鶴岡側についたのは、自分の異形化を恐れたからというのがしっくりきますね。父親を亡くしたエピソードだけだとあまりにチョロいと思っていましたが、今回の描写で納得です。にしても若干鶴岡にしてやられてる感は否めませんが。
第11巻では、ナナオがナナにつく可能性も示唆されましたね。個人的にこれはとてもありそうだと思います! なぜなら、そうでないとナナオが救われる展開が見えてこないからです。
原作の方の作風からして、若者には更生の余地が残されると思うんですよ。しかし鶴岡の下で自覚なく小役人をやっているようでは、ナナオは無駄に罪を重ね、更生の道から遠ざかっていくでしょう。
そんな中、ナナがナナオを味方につけようと思い立ち(279ページ)、ナナオ自身は現状に不安を膨らませている(304ページ)と。2人が組む可能性が高まっているように思えます。だからこそ裏切る展開がくるかもしれませんが。
しかし以前も書きましたが、ナナオって能力は高いけど小物ですよね。第11巻だけでもナナに出し抜かれていることに2回とも気づいていないし、それを鶴岡に仄めかされてもまだ気づかない。チョロいというか、小物。ナナの懐柔にだけは絶対乗らないという強い意志だけは感じるのがまた…。しかしこれはナナへの執着の裏返しっぽくもありますね。
鶴岡談。まず的確でしょうし、これちょっと今後に関わってきそう。
考察1-4|先生…
人類の敵について教科書通り教えていた先生ですが、彼は人類の敵が本当に存在すると思っていたのでしょうか。
いないと思いつつも仕事なので教えていた
いると教えられたので見たことはないがいると思っていた
実際に見たことがあっていると知っていた
さあどれだ。これは今後全く関係ないのかなあ…。先生…。
2.小野寺リンについて
こちらのネタの方が興味のある読者が多いんでしょうか。第10巻で初めて姿を現し、一気に名前まで明らかになった小野寺リン。まずは今回判明したことを整理しましょう。
小野寺リンに関する確定事項
小野寺キョウヤの(最愛の)妹である
生まれつき心臓が弱く学校生活にも大きく支障が出るほど(第11巻12ページ)
兄を想い、兄の中から自分の存在を消した(第78話)
現在(第11巻時点)では鶴岡によって収監され、投薬で能力を抑えられている(第11巻6ページ)
小野寺リンに関する不確定事項
変身能力を有している?(第11巻80ページ)→リン=ジン?
母は能力者だったらしい(第11巻31ページ)
兄キョウヤとはあまり年が離れていなさそう(回想において兄が大学生で妹はおそらく高校生)
1は今のところ仄めかしですが、ほぼ確定でしょうね。つまりリン=ジン(変身)。2は今後に大きく関わって来そうですし、
この「変な死に方」というのが非常に意味深なので考察!
考察2-1|能力者だった母の「変な死に方」
これは明らかに、「人類の敵」化と関係するでしょう。さらに
とあることから、能力者が「人類の敵」化する前に委員会などによって処分されていると考えるのが自然です。
ということはつまりナナの父母、そして兄も処分対象になったのかもしれません。父母はこれまでの描写から、離反がバレて殺された方がありそうですけどね。まあこれはあくまで可能性ということで。
キョウヤについてわかったこと
リンの回想などから、ついでにキョウヤについてわかったこともまとめておきましょう。
キョウヤは手触りで妹の存在を思い出せるようにしていた(第11巻85~90ページ)→だから妹の存在を覚えていても名前はわからなかった。納得
キョウヤの能力の代償はやっぱり記憶喪失(第11巻59ページ)
キョウヤは母の不審死の真相を暴くために警察官になるつもりだった(第11巻31~32ページ)→だから検死などの心得があったのかも
キョウヤ、どうやらかなり頭がいい(第11巻16・28ページ)
こんなとこですかね。リンについてよりキョウヤについて多くのことがわかって、やっとこれまでの色々に納得がいきました。釈然!
3.その他の新情報と疑問
まとめていきます!
3-1|モエとキヨミとサチコの動向
モエとキヨミが再登場しましたね。これまではサチコの瞬間移動能力を生かして上手く逃げ回っていたようです。今回、ナナと合流してナナと能力者たちを助けるためにあえて出頭してきたとのこと。
その作戦は、モエとキヨミが潜入して能力者たちの特別区域に潜入し、内部の映像をサチコに送ることでサチコの瞬間移動を可能にするというもの。
モエはナナを救う役目を担うだろうと予想していたので、これは期待通りの嬉しい展開。モエ、3年間もナナのために頑張っていたなんて、人間的に成長したね…。
3-2|ジャーナリスト藤島
自らを「おばあちゃんの子」と称するジャーナリスト藤島(第11巻113ページ)。彼は子供の頃サチヨさんに育ててもらった恩と現在の社会への問題意識から、モエに協力しているそうです。
個人的には、多分悪者ではないと思います。
ただ気になるのは、サチヨさんの昔の知り合いという点ですね。鶴岡とは!? 鶴岡と面識や因縁はあるのか!? 彼から鶴岡に関する情報が出ないかと期待してしまいます!
3-3|ナナの癖
ナナって、何かを企んでいるときの態度があからさまじゃないですか? 張り付いたような笑顔で急に素直になったと思ったら、大体こっそり何か仕込んでるんですよね。(第11巻134~141ページなど)
これまではナナのこの癖にナナオは実は気づいているのかも…?と思えましたが、どうやら本っっっっ当に騙されてるようですね! チョロい。チョロすぎるぞ中島ナナオ。
3-4|鶴岡の表情
今回、鶴岡タツミが実は志ある人だということがわかった(よね?)のですが、にしてはやけに悪い笑みを見せています。
このあたり。まんまと騙されているナナオがおかしいのはわかります。その後、呆れ顔すら見せていますしね。わかる。私も呆れたわ。
でもリンとキョウヤのことはそんなにおかしいでしょうか? 必要以上の悪意を感じますよね。兄弟愛に対してシニカルなのでしょうか。しょっちゅうリンのことを見に来ているし。気になるぅ。
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他にも板倉アキラとか色々あったような気もしますが、個人的にはどうでもいいかな…。あいつ多分怪しくないし。
3-5|橘ジン(本体)が眠っている理由とは
これまでの情報から橘ジン(本体)が能力者であることは確定であり、今回得られた情報を加味すると、彼が眠っている理由についてひとつの仮説が立てられます。サイキックウォーの負傷以外の理由が今回浮かび上がってきました。
能力者ジン(本体)はナナたちの前の世代の能力者ですから、20代以上と考えるのが妥当ですね。それなら「人類の敵」化を防ぐためにジン(変身)が眠らせているという可能性はないでしょうか。
負傷したジン(本体)を運ぶより、「人類の敵」化の兆しを察知して眠らせることを選択した方がまだ自然な気がするんですよね。負傷で眠ってるって理由だと若干必然性が薄いというか。
先輩世代のサイキックウォーで「人類の敵」化は少なからず見られたのではないでしょうか。そこから理性を失う前にジン(本体)も自ら気づき、変身能力などを駆使して本土に渡って睡眠薬などを投与したという案。もしジン(変身)がキョウヤの妹、しかもあれだけ周到に自分の痕跡を消す彼女ならそれくらいできそう?
しかしここまで来てもジン(変身)がリンなのは確定ではないのだ…。なぜそんなに引っ張るんだ…。
3-6|ミチルの遺体の行方と利用価値(追記項目)
強力な能力者(ジン(変身)だとすれば)リンのみならず、「人類の敵」化した能力者すら堅牢なケース(コストかかってそう)に閉じ込めて生かしている鶴岡。かつ、ナナオの細胞は能力の無効化に活用しているようです。じゃあミチルちゃんの遺体はどうしたんだよ!と疑問に思うのは私だけではないはず。
遺体と書きましたが、本当にミチルちゃんは死んでしまったんですかね。前々から言っていますが、実は生き返らせたりしていませんかね?
ナナオの細胞が能力者の能力の無効化に利用できるというなら、ミチルちゃんの治癒能力も充分利用価値はありそうです。もし本当に死んでしまっていたとしても、遺体を処分はしていないでしょうね。生き返らせるつもりなんじゃないの~~~~?
4.総括と次の展開予想
大きな新事実が2つも明らかになった第11巻。「人類の敵」化はかなりショッキングでしたし、長年の「キョウヤは何故妹を探しに来たのに他のことにばかり時間を割いているのか」という疑問も解消されました。すごい!
さしあたって次の第12巻は小野寺リン救出ですかね。鶴岡が仕事そっちのけで通いつめている節もある小野寺リンですよ。キョウヤの最愛の妹ですよ。そしておそらく橘ジン(変身)ですよ。このあたりの理由や事情が明らかになるのでしょうかね! 十中八九救出できると思っているので私はあまり心配はしていません。
ナナオの「人類の敵」化はまだ早い気がしますが、どうでしょう。セイヤはそろそろ出てくるんでしょうか。
ではまた!
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