【『無能なナナ』第13巻ネタバレ考察】リンにとってのジンとキョウヤ、ナナによる脱出計画!
※注意※
※単行本派による考察です。
※もちろんネタバレあり。
※原作を確認してはいますが個人の妄想に近いものなので、信憑性は保証できません。
ちなみに前回の記事です↓
1.リンの過去と行動原理が明らかに!
まず前巻から続くリンの回想シーンから。これまで考察してきた内容が明らかになり続けていますからね。すごく大事。まとめていきます。
1-1.リンの能力とジン(変身)の正体
やっとはっきり描かれました……長かった……。
これまで何かとナナにつきまとっていた先輩こと橘ジン(変身)は、小野寺キョウヤの妹、小野寺リンでした!!!!!!!
もうジン(変身)とか(本体)とか書かんからな! そこんとこヨロシク!
①もちろん能力は変身能力(人に見られていなければ変身可能)
②生きている能力者と動物には化けられて、能力もコピーできる(35ページ)
③人類の敵がいると信じ込んでいる(19ページ)あたり、そこまで賢くはないのかも
④とはいえキョウヤの中から完全に自分の存在を消したやり口(第12巻)を見るに、目的の達成のためには何も惜しまないタイプではありそう
④については、ジンの意思を継ぐために彼の姿も人格も(おそらく)そのものを演じきっていることからも言えるのではないでしょうか。しかも長期に渡って。意志が強く根気強い女の子なのでしょうね。
1−2.リンがジンとして生きてきた理由と目的
今回リンの内心について明確になったのは、
①島に来た頃のリンはキョウヤを忘れたいが他に生きる目的を見つけられず、自分を見失っていた
②そんな中、強引に関わってくるジンには精神的に救われた(58ページ)
③協力してサイキックウォーを生き抜く中で、ジンとは運命共同体のような関係に(69ページ)
④リンを庇った怪我で重体となったジンの意思(政府関係者を問いただす)を継ぐため、ジンとして生きていくことを決意!(86ページ)
⑤手を尽くしてジンの治療と延命を行い、現在に至る(85ページ)
⑥兄への気持ちは断ち切ったため、会いたくないし兄からも完全に忘れられたい(131ページ他)
⑦その上で兄には安全と平穏、できるなら幸福を願っている
⑧以上の理由により、実験体として鶴岡に捕まる(150ページ)
前回の考察は、ふんわり合っているけど経緯や細部はかなり違いますね。私が思ったほど師弟関係ではなかった。思った以上にジンがリンに願いを託していた。あそこまで近しく思い入れの強い関係なら、言動まで完全に模倣できるのも納得かも。ケツアゴの男のこともいかにもジンがリンに大袈裟に話してそうだし。
ま、前巻で語られたリンの自己嫌悪からして、ある程度は読めて当然なんですが。
しかしこうして並べると小野寺リン……不器用な子!
どこまでも一点集中型なんですね。長年兄と2人きりだったことが影響しているのかな? 兄が自己犠牲型だったせいで彼女もそうなったとも考えられるし…。島でもまたジンと2人きりだったから、大事な存在を1人以上作れないのかな? やっぱり生育環境って大事。
だって現状ね、リンが鶴岡の実験材料として犠牲になればキョウヤが助かるかって、別にそんなことなくないですか? どう考えても鶴岡に従ったふりはするにしても、本当に実験材料になるより能力を活かしてみんなと協力した方が未来が開けるってもんですよ。
リンの視野の狭さと異常なまでの自己犠牲精神は、今後大いに改善の余地あり! 若いんだから変わりなさいよ! 変化するものが強いとか言ってたでしょ自分でも。
上のまとめが8項目もあるので最後に簡単にまとめますね。
リンの目的は
兄・小野寺キョウヤを生かしたいし幸せにしたい
橘ジンを健康体にしたいし幸せにしたい
このたった2つですよ! リンはちょっと物事を複雑に考えすぎ! お前が幸せになれ!
ここまで書いたけど、もしかしてリンが少数で行動したがるのは人に見られてると変身できないのと関係ある? あるかも。ないかも。
2.橘ジンに関する新事実
①強力なサイキッカー(41ページ)
②多趣味で多くの夢と野望を抱く意志の強い若者(34ページ)
③人とは気が合わないことが多いため1人で生きるのが気楽(69ページ)
④どうやら動物が好き
⑤小野寺リンとは長く共同生活をしても飽きなかった(69ページ)
⑥政府の関係者をとりあえずは引きずり出して問い詰めたい(66ページ)
⑦ジンの両親はジンを置いて自殺した(59ページ)
大事なのは⑦ですよね!!!!!!(⑥はだいたい予想通りなので)
2−2.橘ジンは柊ナナの兄なのか
⑦からね、結局ここにくるわけですよ。ジンは果たしてナナの兄なのか? そもそも私の『無能なナナ』考察記事は、小野寺キョウヤと柊ナナそれぞれの兄弟関係の考察に端を発していますからね。
改めてナナの家族に関する情報を挙げます。
ナナには父と母と年の離れた兄がいる(第4巻16ページ)
父は能力者関連の庶務を扱う省庁勤め、母は幼稚園教諭(同上)
兄はナナが物心つく前に家を出たので、ナナも兄のことはよく覚えていない(同上)
ナナの両親はナナが小学生の時に強盗らしきものの手によって殺された(第4巻55ページ)
一方、ジンの家族についての描写はこう。
幼いときに両親を自殺で亡くした(59ページ)
おそらくその後、祖母と2人暮らし(第3巻274ページ)
少なっ!
祖母と2人暮らしの情報は、リンがあまりにジンになりきっていたことから正式情報と判断しました。リンがジンの姿で語ることは全部ジンのことだよ。
並べてみましたが、結局そうとも考えられるしそうでないとも考えられる以外の答えは出せませんね。でも多分兄妹だよ。
このまとめを見て何か答えが出た方は、教えてくださると捗ります。
2−3.動物
ジンはどうやら動物好きなことがわかりました。これ絶対リンがこっそり動物に化けて、ジンに甘えたり寄り添ったりして大胆になってるところで、実はジンは気づいてましたっていう二次創作出るやつだよね。
個人的には、リンがジンと会う前から動物になれる能力に気づいていたことが意外でした。完全無気力なリンにジンが能力の使い方を教えたのだと思ってたので。
3.小野寺キョウヤついに妹に気づく!
「リンの行方を知り
リンの言葉を代弁する返信能力者…」
「リン…」
やっとかよ!!!!!!
本当に待ちくたびれた……。
橘ジンの姿のリンがリンだとやっと理解したキョウヤ。しかし元々妹の顔を覚えていないんだし、リンの姿で妹と認識した時点で、ジンの姿でも分からせておいてよかった気もしますが。
そしてリンの現状を明確に理解した途端、キョウヤさん動く動く。第1巻の人殺してそうなな彼とはまるで別人ですよね。剰え初対面の人間に「頭悪そう」なんて言われる(176ページ)キャラじゃなかったのに…。監視員として再登場したときから若干キャラの変わった感じはありましたが、ここに至って流石に突き抜けすぎでは……? ここでレッドたちの仲間になるために、作者が計算してキャラを変えてきていたのでしょうか……。
というわけで、「よっ」と軽い挨拶でナナとも合流!(210ページ)
4.ナナと仲間たちの島への脱出計画
リンの回想が繰り広げられ、キョウヤがリンの現状に気づいた一方で、ナナたちは記者藤島の協力を得て、キャンプ内の能力者たちを脱出させる計画を立てていました。
なんだかんだあって、キョウヤとも合流し(240ページ)新キャラのレッドたち一味とは協力関係を築き(221ページ)、逃亡先はかつて能力者たちが集められていた島に決定(232ページ)。問題は大勢の人々の輸送方法だが、それも下水道の見回り中にナナが名案を思いつくーー大雑把にいえば第13巻はそんなところですね。
4−1.脱出計画における本当の問題は第14巻で!?
第14巻の予告(257ページ)を見るに、どうやらシズカに過酷な展開になる模様。
「なあ姉貴いいの?
あたしが相棒で」
いつになく気弱なシズカの様子。
私は『無能なナナ』は、少年少女たちが自分の過ちに向き合って未来へ進む物語だと思っているので、この予告には「お!? まずはシズカから解決か!?」という感じなのですが、予想外ではありました。
贖罪に近いくらいの更生が必要なキャラといえば、今生きている中ではナナとナナオに続くのがシズカなので当然といえば当然か。そしてシズカの心を救うことが、ナナ自身の贖罪にもなるという展開でしょうか。ここでシズカが登場した意味が出てきましたね! モエはこれまで人を殺していないし、能力者たちを痛めつけたわけでもない。キョウヤもそういった描写はないので、そこでシズカという弱い心で言われるままに悪事をはたらいたキャラが必要だったということですね。なるほど。
さらにいえばその先に、ナナがナナオを救う展開もある……? 結局そうなんですよね。今のところ救いが見えないのはナナオなので。
4−2.能力者はいずれバケモノになるーー対策は?
ナナオの口からナナの仲間たちにはっきり伝えられました(95ページ)。同時に鶴岡がその対策として能力者で人体実験を繰り返し、一定の成果を上げていることも語られます。よってナナオは能力者を隔離する鶴岡のやり方を支持していると述べ、暗に能力者たちに鶴岡のキャンプに戻るよう勧めます(96・97ページ)。
しかしナナはそれに真っ向から反対。
「鶴岡さんは
怪物化による犠牲者を出さないためと言いつつ
犠牲になる人をいとわないのです
これが
世界を救おうとする人の姿勢でしょうか?」
(↑ここちょっと日本語がおかしい気がしますがまあそれはおいといて)
「鶴岡さんと対決します
キョウヤさんたちを救うためにも
怪物化の解決策を探すためにも」
と、鶴岡との全面対決を決意! 仲間たちも想いはひとつのようです。
しかし今のところナナ陣営に怪物化の対策の道筋は全く見えませんよね。鶴岡の研究結果を手に入れる気なのでしょうか。何にせよ今回の全面対決宣言から、これ物語的には怪物化を止める何らかの方法があるんだなと私は思いましたよ。
4-3.ナナオの行方と行く末
ナナオは話が終わると、1人ナナたちの潜伏先を後にしました。本人曰くキャンプに戻るそうです(142ページ)。
「怪物になってみんなを殺すかもしれないのに?」
という台詞からするに、どうやら自分の命は諦めているようですね。少なくとも理性では。しかしやはり死は本能的に怖い、というのが表れたのが前巻での振る舞いなのでしょうか。まあ、そうかな。あんまり深く考えることはなかったようです。というわけで、鶴岡人心操作術者説、没!
それを抜きにすればやはり気になるのはこういった台詞。
「僕は酷いことや恐ろしいことをたくさんしてきた
今さらいっしょにはいられない」
中略
「キミのようにはなれない」
自嘲と厭世観と諦観。まあ信じた女の子に裏切られて殺されかけてうっかり父親を殺してしかも自分の末路は怪物化だとわかっていたらそうなるか……。並べて書くとほんとひどいですね。
しかし「ナナのようにはなれない」というのがナナオの中ではかなり大きなウェイトを占めている様子。これ以上自分の醜さや「無能さ」を見たくないという気持ちと、自分は変われないという気持ちの両方が読みとれます。
リンの超能力やナナの更生、そしておそらく次に描かれるシズカによる自分の過去との対峙など、『無能なナナ』は明らかに青少年たちに何度でもやり直して変わっていくことを、強く訴える物語です。今回は拒絶されても、いつかナナがナナオを明るい道へと導くことができるのでしょうか。というか、できる筈だし、今回のナナオの態度の軟化でちょっと見えてきた気がします! 管理キャンプで横暴だったのは事実ですが、彼なりに正しさを信じて鶴岡に協力していたわけですし!
ひとつ気になるのは、彼、どうやって管理キャンプに帰る気だったんですかね。
5.今後の展望(考察と期待)
深刻な真実が突きつけられたものの、増えた仲間も含めた一致団結を見せるナナ陣営。具体的な計画は逃亡先しか決まっていない(しかも敵に知られている場所)のに、彼らは皆明るく未来に向かっているようです。
ということは!! 次は絶対暗い展開くるじゃん!?!?!?!?
それはシズカの試練なのか!? むしろナナの試練!?
しかしここまできて、シズカのためだけにページを多く割くことはないと思うんですよねー。同時にナナがもっと辛い目に遭う(その結果解決の道筋を掴む)か、いっそ即鶴岡と対峙するか! そういった複合的な展開でないとダレると思います。
最後に解決するのが何かってのがポイントですよね。候補としては
1.鶴岡との対決(鶴岡を説き伏せるかどうあっても相容れない存在として倒すか)
2.リン救出(リンの心の枷を解く)…おそらくジンの救出とセット
3.ナナオの精神的・肉体的な救出…怪物化のワクチン的なものができる
4.ナナがこれまでの罪を償う…何気に1番重いラストになりそう
順当に考えたらこの4択ですが、
5.鶴岡と共闘して苅尾を倒す
もあると思っています! ていうか個人的な希望は絶対5!!!!!! そして是非、鶴岡は苅尾と差し違えてほしいところ!!!!!! それでナナの腕の中で事切れろよ。
「ナナ
お前は無能なんかじゃない」
ってナナの頬を伝う涙を力無く拭えよ。私はずっとそれを待ってるんだからよおおおおおお!!!!!!!!!
ナナには鶴岡の屍を超えて強くなってほしい!!!!!!
そのためにはまず苅尾が鶴岡の研究の邪魔をしてください。鶴岡側の雲行きが怪しくなったのを見て(あるいは完全に研究所の解散を告げられて)、自分の進むべき道を見失いナナを訪ねるナナオ。一緒に過ごすうちにナナたちのために自分のできることを見つけ、自然と仲間になる。そしてナナ陣営は鶴岡との対決へ。そこに現れたのは死んだはずのミチルちゃん。鶴岡が研究所の閉鎖に伴い実験体を全員解放したのだった。それで何やかんやでミチルちゃんとキョウヤとリンから怪物化のワクチン的なものができるけど、既に数人怪物化が進んでいて、ワクチンを打つためには彼らを抑えなくてはならない。危機的状況のナナを、すんでのところで鶴岡が救う。実はこの状況を招いたのは苅尾たち。奴らはこの地獄絵図を高みの見物中。ナナを庇って瀕死状態の鶴岡が、苅尾を倒すための策を授け、代わりに自分の妹(か娘)を助けてくれるよう頼む。鶴岡が妹(か娘)とナナを重ねていたことが示唆されつつ、鶴岡死亡。ナナたちは全員の能力を活かし、総力戦で苅尾を倒す。
で、全て解決したら能力者の能力は失われ(多分ナナオの力の作用で)、実は能力者だった鶴子(鶴岡の妹か娘。今後鶴子で)も能力を失うことで怪物化から逃れ、助かる。ナナは鶴子を育てることにし、その際鶴岡から学んだ大事なことは教えつつ、間違いは間違いとして教えていく。過去の全てが、養育のために無駄にならない。実はナナは全てが終わったら死んで償おうと思っていたが、鶴子を育て上げることで贖罪になるかーーーみたいな。途中でリンが、兄にもジンにも甘えていいよ!みたいなことを言われて救われるよ! そしてお前が必要だ(みんなを救うのに)みたいに言われてちゃんと仲間になるよ! ナナオはやっぱり死なないかも。ナナの育児に協力するかも。というか、能力がなくなってみんな無能じゃない、今は何もできなくてもこれからいくらでも成長できるし、協力できるーーーーって感じで締めてくれませんかね?
うん、これ考察じゃなくて二次創作だね!
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あ、依然カズハのことは気になっています。彼女の存在意義とは!?