「わたしはなにになりたい」
ーもう人間に産まれてこなくてもわたしはいいなー
ーきっと立ち回り次第でもっと違う人生があったかも知れないけど、生まれ変わってとかはないわー
ー綺麗なものも
ーそうではないものも
ーそこそこ見られたものー
ー俺も人間はやだなー
ートンビがいいねぇー
ートンビになりたいねー
ーえ、トンビがいいの〜
ー鳥だって食べられちゃうかもしれないよ
ーじゃあ、わたしもトンビならいいかな
ーふたりでトンビになって飛んでもいい
ー鳥だったらあと一度くらい、いいかなー
ぴゅいー
青い
時間が止まったみたいな空に
風の透明な膜を羽に張って
トンビが二羽
くるくる
まわってみせる
世の中には
こんなところで終わりはしないけれど
こんなもんで終わる存在じゃないと思っているけれど
ここでのし上がることしかなくて
それがまあ、1番なんだろうなぁ
なんて人はまあまあいる
めんどい
犬の世話をしていると
ずっとこのまま1日、遊んで
散歩していたいねぇー、って思う
でもそれは出来ないから
可愛いがられていても
入る部屋はあっても
ご飯を与えられても
やっぱりどこか可哀想だな
情が湧いてしまって
顔を見に行きたいし
行けないと姿を思い出してしまう
それなのに体のどんよりとした重たい疲労感に負けて、あの子たちのところに行かなかった
健康でなければ命を預かる事出来ない
具合が悪くても飼う人は世話をするしかない
生半可では愛せない
口で可愛い、可哀想とは簡単に言える
猪と闘って
命を落としたりしませんように
隣の隣の町の海辺で
熊が出たと聞いた
今度は海のほうか〜
まあ、車で2、30分のところだが…
年に1、2度はある話
最近、なんて自分はおこがましいんかな〜
と、思う
綺麗事とか、いい人ぶる、とかじゃなくて
幸せなのに
(自分のむかしに比べたらはるかに)
もっともっと苦しんで
飢えたり
満たされずに
物理的に経済的に
打ちのめされている人たちがいる
かつては自分もそうだった
苦しかった
絶望と後悔と恥ずかしさで狂っていたのかも知れないけれど
今はまた違った後悔の念もあるけれど
乗り越えて来たからと言うのも
少なからずある
神様がもういいよ、と言えば
神様がまだだよ、と言えば
わたしはそうするだけ
立つ鳥は後を汚さず
飛ぶ鳥は跡を濁さず、か
それはそうなんですけれどねぇ…
発つ前なのに、まだ水回りの掃除全然やる気が起きないんだよねぇ…