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メモから備忘録 / タスクリストとカレンダー / WorkFlowyのカスタマイズ / マージマンションとWIP

Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~ 2024/09/02 第725号


はじめに

ポッドキャスト、配信されております。

◇BC097『生産性が高い人の8つの原則』 | by goryugo and 倉下忠憲@rashita2

今回は倉下が『生産性が高い人の8つの原則』を紹介しました。細かいテクニックというよりは、考え方・アプローチをまとめた本で、これこそライフハック的だなと思わされる一冊です。

よろしければ、お聴きください。

〜〜〜重ねる・並べる〜〜〜

企画案について考えをまとめようと思い、ルーズリーフを新調しました。マルマンの、方眼ルーズリーフです。

◇書きやすいルーズリーフ 方眼罫 100枚 <B5> | 製品情報 | Maruman マルマン株式会社

◇Amazon.co.jp: マルマン ルーズリーフ 書きやすいルーズリーフ 5mm方眼罫 A5 L1307H 5冊組み : 文房具・オフィス用品

一枚を埋めたら新しい一枚を取り出し、それを埋めたらまた新しい一枚を取り出す、という形でどんどん書き込んでいきました。机の上には5〜6枚のルーズリーフが並んでいます。

ぴったり重なるわけでもなく、グリッドに整理されているわけでもなく、少しだけ頭の部分が空いた状態で重ねて配置されている。

こういう「ビュー」は、デジタルノートではなかなか得られません。グリッドの整理がほとんどで、ごくたまに自由配置ができるくらいです。それで"不便"はないのですが、物足りなさもやっぱり感じます。

重ねて並べてあるノートは、基本的には目の前のページに注意を向けているけれども、ほんのわずか、自分が書いてきたものの「履歴」が知覚されるのです。

これはなかなかよいものです。

〜〜〜異なる軸が重なり合う図〜〜〜

ブックカタリストの読書会で紹介してもらった読書メモに感動を覚えました。

◇2024年8月読書会メモ(yasumi) - BCBookReadingCircle
https://scrapbox.io/BCBookReadingCircle/2024年8月読書会メモ(yasumi)

大枠では二×二の四象限が構成されています。しかし、よくよくメモを「読んで」いくとそれだけではないことがわかります。

たとえば、祝詞、長歌、和歌、連歌、俳諧、発句、俳句・短歌というフレーズの連鎖。これは四象限に事象を分類しようという意思の下には統一されておらず、あたかも語句そのものが持つ連想力が、二軸の分類を超越していくような躍動感が感じられます。

言い換えれば、「図」を見ているよりも、「絵」を見ているような感覚。

整合性という観点で言えば乱雑だと断じられるメモかもしれませんが、セイゴウ性という点ではすばらしい評価になりそうなメモです。

〜〜〜茄子との関係性〜〜〜

最近、茄子を使った料理をよく作っています。一般家庭では日常的な風景でしょうが、わが家ではほとんど異常ともいえる事態です。なぜなら、私は茄子がアンライクだったからです。

子どもの頃から、茄子を見たら避けていましたし、どうしても食べなければいけない状態ならば顔をしかめて飲み込んでいました。

当然のように、大人になってからも茄子が入っていることが連想される料理を注文したことはありませんし、わが家の夕食は私が作っているので、自分で作ることもありません。茄子と無縁な人生を送ってきた、と言っても過言ではないでしょう。

しかしあるとき、ほんの気まぐれで──自分自身についての天の邪鬼の発露で──、茄子のてんぷらを食べたのです。で、「えっ、何これ、おいしいじゃん」と"発見"してしまいました。

それ以降、どのような調理法が茄子のおいしさを引き出せるのかの研究に余念がありません。妻からは「だから茄子はおいしいって言ったじゃん」という顔をされておりますが。

〜〜〜無理しない〜〜〜

ここ一年くらいの自分の生活を振り返ってみると、あまり無理をしなくなってきた傾向が見えてきます。

慌ただしい出来事が連続していて、それまでの自分のスタイルなら働きすぎ、動きすぎ、考えすぎでバタンキューしてしまってもおかしくない状況だったのですが、そこまでの事態には至らずに済んでいます。

ただ、それは「無理をしなくなった」という行動の結果としてあるのではなく、一つひとつの判断において、「今は休むことを選ぶ」ことができるようになった結果としてあるような気がします。

というのも、「どこまでいけば無理」なのかが事前にはわからないからです。むしろ「無理」というのは、ある行為をした結果として破綻がやってきたら、遡及的にその行為が「無理だった」と判定されるものでしょう。

ということは、事前に「無理しないようにしよう」と思っていたとしても、結果として無理してしまう(無理だったということが発覚してしまう)ことが起こりえるわけです。

そう考えると「無理しない」はモットーというか掛け声としてはとても有用なものの、それだけでは実際の行動においてはあまり効果を上げないでしょう。

「喫緊の仕事がある、しかし体がすさまじく疲れている」というときに「休む」という選択肢を検討し、それを選べるようになること。

このような具体的な行動への変化が起きてこそ、はじめてモットーが活きてくるのだと感じます。

皆さんはいかがでしょうか。モットーや心がけを、行動に変換するための仕組みをお持ちでしょうか。もしお持ちなら、ぜひ教えてください。

では、メルマガ本編をスタートしましょう。今回は、備忘録、タスクリストとカレンダー、Workflowyのアレンジ、WIPについての四編をお送りします。

メモから備忘録

ノートは連続的なものを扱う。「メモ=思いついたこと」の中でも、一つの流れ、文脈に置かれた方が効果を発揮するものをノートとしてまとめる。

この種のノートは、利用されてすぐに用済みになるメモや短期的なリストと違い、長期的な運用が想定される。人の記憶能力では対応できない時間の幅に立ち向かうために綴られるのだ。

このノート以外にもう一つ、長い時間を意識する情報の形式がある。それが備忘録だ。

■静止的な備忘録

「備忘録」という言葉の意味は広いので、ここでは限定的に使っていることに注意して欲しい。

イメージして欲しいのは、個人のアドレス帳や、ビジネス手帳の巻末についている郵便料金表や度量衡換算表のようなものだ。ある種の情報源になるようなもの。それをここでは備忘録と(ひとまずは)呼んでおく。

こうした備忘録もまた、短期的に利用して用済みにするのではなく、長期的な利用が想定されているのはわかりやすいだろう。しかし、プロジェクトの情報を記録してくのとは違っている感じもあるはずだ。

プロジェクトの情報は、連続的でありながら、固定的ではない。どんな情報が追加されるのかは、進めてみないとわからない。また、たいていのプロジェクトは、はじまりとおわりがある。つまり、あるタイミングで「もうこれ以上情報は増えません」という状態になる。

備忘録の情報は、それとは違う性質を持っている。基本的に固定的であり、たまに追加や修正が行われる程度であり、そこにははじまりもなければ、おわりもない。静止的な情報だと言える。

■メモの備忘録化

アドレス帳や郵便料金表のような例を考えると、着想を書き留めたメモはあまり備忘録に変じないような気がする。たしかに、その予感は当たっている。

着想=思いつき=アイデアは、未完成のものであり、逆に言えば完成に向かって開かれたものなので、変化してこそという特性を持つ。固定的な備忘録とは相性がよくない。

逆に、メモの中でも、誰かの電話番号をメモしておくとか、ちょっとURLをコピペする、という形で取られたものは、それを備忘録化しておくことで、自分なりの情報源ができる。「よく参照するURL」という備忘録があれば、探し回る手間が省けてGoodだろう。

しかしながら、考え方を広げれば、着想メモでも備忘録化しておくことに価値があるものは見出せる。

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